一走目
今日も久我ちゃんの怪談でクラスが静かになる。
静かな教室で久我雅の怪談話が響く。
「十一年前、俺らが小学三年生の頃に起きた話。」
「え、実話なの?」
中山ひかりが口を挟む。
久我ちゃんが「嘘なんじゃねーかな?」と言った後、話を続けた。
「とある少年がいて、その少年は二つ年上の四人の女子に苛められた。少年は抵抗することも出来ずただ苛めに耐えていた。」
久我ちゃんの怪談の語りは上手くて、
イメージが出来る。
「そろそろ苛めに耐えられなくなったある日、学校に呼び出された。とある事をすれば苛めを止めると四人は言った。」
「そ、その条件は…?」
恐る恐る聞くと久我ちゃんは言った。
「二階から飛び降りる事。勿論少年は奇跡に助かった。だけど打ちどころが悪く、失明してしまった。」
久我ちゃんは続ける。
「少年は家族の笑顔が大好きだった。でも目が見えなくなった。それに絶望した。彼は耐えられなくなり…
自殺した。」
自分が少し震えてることに気付いた。
「その後を追うように二人のいじめっ子は謎の病にかかり、死を迎えた。」
久我ちゃんがいつもより不気味に話してゾッとする。
そう言えば、語りを練習してると聞いた。
だからいつもより不気味に見えるのだろうか?
「え?でも後の二人は?」
久我ちゃんは答えた。
「さぁ…その二人は…呪いで殺されたんじゃないか?」
そう静かに呟いた。
「あ、それとなその死んだ少年。鬼ごっこが好きだったらしいからさ、今度皆で夜学校に忍びこんでやろうぜ?二時丁度にやると出てくるんだって。」
付け足して久我ちゃんは言った。
強制参加な?
と…。
「雅がやるんだったら俺やるわ。」
中山終は言う。
男子は結構乗り気だが女子は数人しかやりたい人が居ない。
「嫌なんだけど俺。」
俺榎本杏理は、同じクラス、同じ美術部の小田真由に愚痴る。
「まじそれな…私も嫌なんだけど。」
真由はとても可愛くモテる。可愛い系女子。
「え!?何なに!?何話してんの!?」
このうるさい声は…
「果鈴…。」
福山果鈴は、美術部の副部長。もう三年生は引退したから果鈴が仕事をしてる。
真面目何だけどたまに頭可笑しいんじゃないの?っていう行動をする。
「クラス全員参加の肝試し的なやつの話。」
「え、やりたい!二年の美術部全員で参加しよう!」
「は?」
何言ってるんだ?俺達嫌だっていう話してたんだけど?
「真由ちゃんがやるなら私もやる!」
と余計な事を言ってきたのは、山里百合。いつもテンションが、高く笑ってる。こうみえて頭が良い。
「よしやろう!じゃ真由、杏理ちゃん頼んどいてね!」
面倒なことになった。二人で顔を合わせそう思った。
あとの美術部員何も知らないのに、大丈夫か?
呑気な考えを持つ俺はまだ知らない。
この先の絶望と恐怖を……。