序章「ネオン街ととんこつラーメンバリカタ」08
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「って、よかとや!?」
幸良が隣にいるリアの方を向いて言った。
彼女は当然きょとんとする。何かまずいこと言っただろうか? という具合だ。
店主は苦笑いを浮かべながら作業に入っている。
「まあいきなりバリカタはハードル高いと思うけどな、俺も」
「ですが、ベッキーはこれを食べているのですよね?」
「いや、まあそうやけど……」
それを聞くとリアはにっこり笑う。
「ならば問題ありません。彼が好んで食べるのでしたら、美味しいはずですし」
「いや、そうは言うばってん」
「じっ……」
想いが籠もった瞳が幸良を射抜く。なんというか見かけによらず、頑固者な感じだ。
「まっ、俺はとっくの昔に作業に入ってるけどな」
店主はハハハと笑っている。
程なくして2人の前に二杯の丼が上がった。
「はい、ラーメンバリカタお待ち!」
「ありがとうございます」
「まあ食うか」
2人はカウンターに置いてある箸を取る。
「頂きます」
「いただきます!」
リアは行儀よく、幸良は元気に手を合わせる。
ずずっと麺をすする音がする。これは幸良の方だ。
対して、リアの方はするすると音が立たず上品である。
「お、おお……」
思わず男二人が見惚れた。
なんというか未だかつてここまでラーメンを食べる姿が絵になる人はいただろうか……。
「んむ!?」
しかし、リアはするすると食べていたはずなのだが、眉間に軽くシワを寄せた。
ちょっと……いや結構堅い。
自分が想像していた、というか知識としてのラーメンはもう少し麺は柔らかいものだったはずなのだが……。
しかし、これはどうだろうか?
アルデンテと言うには堅い。いや、ラーメンの麺は生麺なので芯が残ってるというわけではないのだが……。
「やっぱ、食いなれんやろ?」
困ったように幸良が言った。
「えっと……ちょっと固麺ですが、美味しいです!」
ううむ、やっぱり頑固者だ。いや、頑固というよりも負けず嫌い?
「そういえば、リアちゃんはなんで中洲なんて行ってたんだい?」
「そうたい、俺も気になってた。なんで追いかけられとったん?」
「えっと……実はあの人はこれを手に入れようとしていたんです」
リアは首にかけていたネックレスを見せた。赤緑色の石のネックレスであった。