序章「ネオン街ととんこつラーメンバリカタ」03
すみません。金土日とお休みしてしまいました。
またしっかりと書き始めます!
その格好を男は面白そうなものでも見るかのような表情をする。
「なんだぁ? それは?」
ニタニタと気持ちの悪い顔だ。
少女は男の背中越しからでもわかるそんな不快感を感じた。
しかし、それは少年には無意味だった。彼は目つきを鋭くし、男を睨む。男の一挙手一投足見逃さんとしている、そんな眼をしている。
「よかけん、来んね」
「へっ! 言っておくが……」
男は自身の右側の壁へ手を伸ばす。バチバチと音を立てたかと思うと――
「俺もスキルホルダーなんだぜ!」
男の右手には野球ボールほどのサイズの石の塊が握られていた。
それをサイドスローで少年に向けて放る。ぐんぐんと加速して、彼目掛けて一直線にひた走る。
「俺のスキルは『ロックショット』! 石やら砂やらでできたものを自在に形づけて、操ることができるのさ」
ご丁寧な解説をしてくれた。
スキルには様々な種類があり、一つとして同じものは存在しないと言われている。つまり、男のロックショットもユニークなスキルというわけだ。
男は壁から握れるほどの大きさの石を抜き出し、それを固めたのだろう。
そして、簡単に投げた割にはプロ顔負けスピードで投げた。
つまり、ただ石の塊を作るだけではなく、それをどう扱うのかまで、スキルの能力の範疇であるということがわかる。
少年は避けない。右手で刀の柄を握り、左手で鞘を持っている。居合の構えのまま微動だにしない。
「あ、危ない!」
思わず少女は叫んだ。
その声をトリガーとしたのか、それともいいタイミングで石が来たのか、定かではないが少年が動いた!
「チェストォォォォ!」
耳を劈くばかりの声を上げて右腕を振り刀を逆袈裟に引きぬいた。
刀の煌きが月明かりに照らされ神々しく輝く。そして……。
「なんだと……」
少年の目の前で石は真っ二つにたたっ斬られ、ゴトッと音を立てて同時に地面に落ちた。
もちろん少年は無傷である。
男は目の前の現実に呆気に取られた。無理もない。少女も同じなのだ。
少年は刀で石を切ったのだ。スキルによって作られた石をだ。
「どがんしたとや? もう終わりか?」
少年は勝ち誇った顔で刀を一度振るうと、再び鞘に収めた。
恐らく、いや確実に、この場でこの状況を完全に理解できているのは斬った少年、ただ一人だろう。それ以外は誰一人とて、理解できないでいる。
男は冷や汗を流す。ここに来て初めて見せた焦りの表情であった。
スキルを斬る?
一体どういうことなんだ……。何かカラクリが……。いや、それともあの刀がスキルなのか……。
様々な憶測が男の脳内を駆け巡る。しかし、何一つとして、真実へと至る答えは導き出せなかった。
「な、何をしたのか知らねえけど! これならどうだよ!」
今度は地面へ手を伸ばし勢い良く叩く。
すると、畳返しよろしく、石が畳一畳分の大きさで捲れた。