コンテスト
校内コンテストが開かれるそうだ。
「何のコンテスト?」
人だかりができているところで、全く見えない私は、すぐ横に居た友達に聞いた。
「んーとね、写真だってさ」
「写真のコンテストってこと?」
「そう言うことみたいだね」
私がいるこの高校は、何年も連続して写真部が日本一を取っている。
顧問の先生がいい腕をしているらしく、そのおかげだという。
「でも、たまには新しい目っていうのもいるんだろうねぇ」
友達が私につぶやいた。
「写真かぁ……」
そう言えば、家に、使っていなかったデジカメがあったのを思い出した。
「参加しようかなぁ」
「お、いいんじゃない。一眼レフでも、携帯電話のカメラでも、デジカメでも。何でもいいみたい。被写体は人間以外だって」
「じゃあ、風景写真とかかな」
言いながらも、私はどんな写真を撮ろうかとわくわくしていた。
それからというもの、一眼レフを構えて学校へと通学するようになった。
一瞬を切り取り、それを永遠に記憶する。
それが写真だと思っている。
二度とない瞬間だからこそ、その瞬間がいとおしい。
写真を撮っていたのは、それが楽しかったからだ。
でも、いつの間にか、その心を忘れていた。
それを、再び思い出させてくれた。
校内コンテストの結果は、私は、3位だった。
「すごいじゃん。応募総数300枚だって」
「ねぇ、たまたまだけどね」
私は驚いてその結果を二度見していた。
でも、どう見ても3位だった。
「何か秘訣でもあるの?」
秘訣というものは特にない。
「……楽しむこと、かなぁ」
3位をとった写真を前に、私は言った。
それは、一面晴れ渡り、中心に太陽があるという構図の写真だった。