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記憶  作者: 一之瀬 輝
3/15

出会い

 

 その後も何も無かったかのように過ぎていった。

 ただOLからの冷たい視線が痛かったがな。

 だが勘違いをしていたのならこれでよかったのかもしれない

 俺はこういう人間だということをわかってくれたと思う。


 終業時間になった。次々と帰っていく。俺は始めての仕事

 でもあって残業を選んだが流石にずっとは疲れるから

 休憩室で一息つけることにした。


 休憩室は中々大きくでかい窓がありそこから東京湾が

 一望ができる。


 「・・・」


 懐からマイルドセブンを出し火をつけ、紫煙を吐き出した


 「……うまい」

 

 東京湾が見えるが俺には違う海が見える。


 それは……


 「相変わらず潮っ気がぬけないな、君にも見えるかね?

  東京湾とは違う海が」

 

 そこには声の主、課長がいた


 「3年ぶりか?」


 「いえ、正確には3年と186日ぶりです」


 「そうか、久しぶりだな元気だったか?」


 「お久しぶりです課長、いえ・・・・・・潮崎 海将補」


 「久しぶりだな瀧瀬1尉」


 ひさしぶりに敬礼をした。課長も昔と変わらず敬礼をしてくれた。

 そう彼が俺を救ったくれた"上官"である


 「あなたがイージスの艦長だったとき」

 

 「私はあなたの艦の砲雷長だった」


 「私が情報機関の長官だったとき」


 「君は私の優秀な工作員だった」


 「そして今、あなたが課長のとき」


 「私は部下でいる」 


 「あなたのもとで再び働ける事ができてとても嬉しいです」


 「私もだ、嬉しいよ」


 課長が一つ咳払いをして別の話を話し始めた


 「……しかし君が初めてだよ」

 

 「と、いいますと?」


 「いや、OL君の"洗礼"を跳ね除けたのは君が初めてでね」


 「そうですか……」


 「まっ、彼女たちにも君と同じように誇りがあるわけだから

  最大の敬意を持って接してあげなさい」


 「OLの誇りですか」


 少し自嘲気味に言ってみた。


 「そうだ、OLの誇りだ。彼女らがいないと会社が成り立たん。

  艦は艦長だけでは成り立たないだろ?副長・砲雷長・航海長

  そしてクルー……」


 「人一人じゃ社会の歯車は何一つ動かないという事ですね

  アイ・サー。以後気をつけます」


 「うむ、そうしてくれ」


 懐かしいやり取り、俺が俺でいれた最高の場所……海上自衛隊


 「しかし、浅尾くんは恵子ちゃんにそっくりだな。俺も

  間違いそうになったよ。」 


 「自分もであります。」


 「浅尾くんには間違っても恋に落ちるなよ。浅尾君を狙っている

  男は多いし、それに・・・まだ来て1日なのに君のことを

  狙っている……」


 「えっ?」


 「まぁいい、今の事は気にするな。それよりOL君たちには」


 「最大の敬意を表す、ですね?」


 「その通り。では後は頼んだぞ〜お疲れさん」


 敬礼をしようとすると会社ではさすがにだから脱帽敬礼で

 別れの挨拶をした。


 「課長のこと尊敬してるんですね」


 まだ身体を90度下げて深々と脱帽敬礼をしていた俺に声を

 かけたのは浅尾さんだった


 「あぁ、あの方は海自の未来を背負っていかなければいけない方

  だった」


 「カイジ?」


 「いや、コッチの話だ」


 「そうですか、じゃあコーヒー置いておきますよ」

 

 そういい彼女は休憩室から出て行こうとした


 「あ!あの。」


 「えっ何ですか?」


 「いや、あの、え〜とさっきはちょっと言い過ぎた。スマン」


 「どうせ課長に言われたんでしょ?」


 「え?」


 「私待っていますから。瀧瀬さんからゴメンの一言が出るのを」


 そう言葉を残し彼女は出て行った


 「恵子……」


 なぁ、恵子。お前はいったい何のために彼女と出会わせたんだよ

 怒ったところまで面影がの残っちまってさ


 「はぁ……」


 このままじゃお前にそっくりな"恵子"に恋しちゃいそうだよ……


 「どうしよう?恵子……」

 

 誰が聞いているわけでもない。ただむなしい俺の声が休憩室に

 響き渡っただけだった

 

三点リーダが多いのが多少気になりますが……

気長に見てやってください(笑


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