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記憶  作者: 一之瀬 輝
2/15

本音

 「ご紹介を預かりました札幌支社営業2課から異動を

  してきました瀧瀬 真です。今後ともよろしくお願いします。」

 

 「かっこいい!」


 「いいわね〜」


 「イケメンだわ〜」


 「けっこうよくない?美雪」


 恵梨花まで…… 


 「よ〜しみんなに自己紹介してもらうか!」


 課長の馬鹿でかい声が聞こえる


 佳澄と藍さんの期待に満ちた笑みがこちらに向けられた。







 日本最大のゼネコン会社、佐山建設営業2課のオフィスにいる。

 3年前もがき苦しんでいた俺に手を差し伸べてくれた"上官"の

 恩に報いるため……


 「滝瀬君、みんなから挨拶があるから一歩前へ出てくれ。」


 「ハイ」







 ようやく終わった。意外と人数が多く大変だった。

 特に上林さんと言う人は印象深かった。いきなり俺の手を握り

 上林創だ。はじめと読む、趣味はアニメと自分を紹介していた。

 この人が自分の上司となるが課長は仕事に関しては問題ないと

 耳打ちしてくれた。

 嬉しいこともあった。初めて部下を持った。鈴木君と西村君である。

 気が弱そうな顔をしているのだがここ一番の"押し"は強いらしい。


 「滝瀬君、そこにいるOL君たちからも挨拶があるからいいかね?」


 「ここはOLからも挨拶をうけるのですか?」


 俺のちょくの感想だった。女は黙って男の言う事を聞くもの、

 そう思っていた。


 「まぁそう硬いこといわずになっ!」


 「課長がそういうならば……」


 OLが6人やってきた。最初の3人の挨拶は強烈だった。

 西嶋さん、中川さん、大熊さん

 そして村木さん、風見さん最後に……


 「浅尾美雪です、よろしくお願いします。」

 細くて長い足、ウエストはキュッとしまっていて胸もそれなりに。

 深々と礼をしていた顔を上げるとそこには懐かしい顔がいた。


 「恵子っ!」


 「え!けんこーこつ?」


 「あ、やっキレイな肩甲骨してるなっと思って」


 「あ、そうですか有り難う御座います。不思議な方ですね。」


 恵子にそっくりだった。笑っているところまで。

 ただ抱きしめたかった、愛していると。

 でもそれはちがう恵子ではないのだから


 「よし、自己紹介も終わったし通常業務にもどるぞ、

  今日も張り切っていこう!」


 おぉ!と掛け声が聞こえた。


 「滝瀬君、早速仕事だが頼めるかい?」


 「はい喜んで、課長」


 「うむ、我々が設計した建物の寸法が下請け会社で数値を

  勝手に変えたらしいんだ。それでクレームと同時に

  新しい寸法値と強度のグラフを作ってもっていって

  欲しいのだができるか?」


 「はい、大丈夫です課長。お任せください。」


 「あぁちなみにそこのOLさんにグラフの制作を頼めるぞ。

  ちなみに君の担当は浅尾くんだ。彼女は仕事ができるから

  頼もしいぞ」


 「わかりました課長。これから取り掛かります。」







 


 

 「浅尾さんこのグラフよろしく」

 

 瀧瀬さんがグラフを渡し早々と立ち去ろうとしていた


 「あの、いつまでですか?」


 「ならべく早く」


 「私は瀧瀬さんの他にも受け持っているので期限を設定

  してくれないと出来ません。」


 「じゃあならべく早く」


  ブチッ  

      

 「ふざけないで下さい!私はあなたのものだけでは無いんです!

  だいだい期限を決めないで私たちはどうやって仕事をするんですか!」

   

 「うるせぇよ」

 

 オフィスの空気が凍りついた


 「たかが営業補佐の分際で正社員になめた口聞くんじゃねぇ。

  お前は黙って俺の言うことを聞けばいい。何度も言わすな、

  期限はならべく早くだ。」


 他人の干渉を一切拒否する冷たい声だった。


 「最低ね」 


 恵梨花の声が聞こえた

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