6 薬屋 8
どうだ、流れで話してみると出会った時のことも思い出すだろ? 嬉し恥ずかし三年間の愛のメモリアル……
……あれ? おーい、寝ちまったか? おーい、おーい……こんなところで寝てたら風邪ひくぞ……
仕方がない、俺がお姫様だっこでベッドまで運んで美味しくゲフッ……イテェなんだよ殴るなよ……寝てたんじゃないのか。いや、そんな邪なことなんて考えてませんよ。
ホントダヨ。
だれが卑猥な顔だ、暴言にも程がある。って言うかお前どこでそんな言葉……あ、前世と師匠か。
あ、そうそう大事なこと忘れてた。俺、今日はおまえに言いたいことがあって来たんだよ。うん。
あのさ、おまえいつも客が帰るときに愛想笑いするじゃん。アレやめた方がいいよ。ちょっと怖……え、ちょっとそんな沈むか!? まだ最後まで言ってないぞ! あ、いや、俺は可愛いと思うが、一般受けはしないと言うか……なんだ、その……
は? その笑い方師匠に教わったのか?
ガッテム師匠!
ってかお前それ完全に師匠に遊ばれてんぞ! ……ちょっと普通に笑って見せろ……いや、照れるな。これは真面目な話だ。薬屋の今後に関わる。 じゃぁ、せーので笑うんだぞ、いいな?
せーの!
………………いや、それいつもの愛想笑いだよ。どうやればいいんだって……こう、口角をあげてだな……いや、白目むくな。前を見ろ! その白目が髪の隙間から見えて恐怖感をあおるから、前を見るんだ!
あとそんなに限界まで顎を引くな、二重アゴになるから。眉尻下げるな、髪で隠れて見えないけどヤメ!
……師匠は何でこんな笑い方教えたんだよ……誰得だっての……
え? 師匠曰く?
上目遣い+ちょっと困ったような笑顔=サイコー
何その公式、あざとすぎるだろ……え、いや、おまえに関してはその公式成立してないぞ!? 何一つ成功してない、上目遣いと白目は別物だ!
……いや、もっとこう……ニコッと、かるくだなぁ……そう、それ!
出来るじゃないか、可愛いぞ! ……はは、照れるな照れるな! じゃぁもう一回だ、せーの!
……いや、だからそれ愛想笑いだよ。
くそ、反射で出るようになってんのか……しかし俺はめげない諦めない! ゆっくりでもいいから直すぞ、それ。
あ、そうだ忘れてた。俺今日はちょっと変わったもの持ってきたんだ。南第五区に外国の甘味を売ってる店があってさ、買ってきたんだ。食おうぜ!
お? 新しいお茶作ったのか、そりゃ楽しみだ。
……っと、お客さんだ。
いらっしゃい
……いや、だからそれいつもの愛想笑い……




