parte.3 同窓会
ガタンゴトン・・
ガタンゴトン・・・
列車に揺られること
小一時間・・・
私は故郷に向かっていた。
私の名前は塩原恵美子、
今、向かっている大井町は私が生まれ育った所だ。
高校までをそこで暮らし、大学は地元を離れた所を選んだ。
そこで先生になるための免許を取って、
今では地元から2つ先の町で教師をしている。
中学校の先生になってからは忙しくなり
地元の同窓会も何回か出席できない事があったのだけど・・・・
幼稚園の頃からの親友から連絡をもらって、今回の同窓会の事を知った。
その親友には
「出なかったら何回も電話してやるんだから〜〜〜(泣)」
と、ある意味脅迫めいた事を言い始めたので(汗)
仕方なく、同僚の先生にお願いして出席しに向かっている。
「・・・変わったわね
この町も・・・」
私は列車から見える大井町の風景を見てそう思いを馳せた。
私が先生として頑張っている間に、
この大井町は大規模な水害に遭ってしまった。
私の実家はまだ山奥いあるために無事だったのだが、町を流れる水良川周辺は氾濫した水流により多数の死者と家屋の損害があったらしい。
そのためか、川の両端には今まで見たことのない大きな堤防が出来ていたのだ。
変わりゆく町を見ていた私は
ふと列車のブレーキ音に我にかえる。
気がついて前を見ると
列車はもうすぐ大きな駅にその身を休めようと停車しようとしていた。
その駅の停車場に一際、
手をぶんぶんと降っている
女性がいるのを
私は列車の窓越しから見つけた。
その顔に昔の面影をみる。
そう、同窓会に出席しなかったら何某〜と脅迫してきた
親友である。
「・・・・ホント、
変わらないなぁ...」
私は顔に笑みを浮かべて苦笑していた。
『まもなく〜大井駅〜
大井駅です〜
御降りの際には
お忘れ物のないように
御注意下さい。』
聞き慣れていて、
それでいて懐かしいアナウンスを耳に刻みながら
私は手荷物を持って降車口に向かって歩き出した。