parte.12 爆弾..作動
「・・・・・っ!!」
私は息を呑んだ。
窓の外に広がる光景はある意味信じる事が出来なかった。
外には人が倒れていた、いや人達が
ここから見えるのは5~6人くらいなのだけど・・・・・
それはもう驚愕の光景だった。
まず倒れている男達は皆ピクリとも動かない。しかもその倒れている格好が人知を越えている。
左側に倒れている男はもう――倒れているではなく、会場をぐるりと囲むツツジの花壇に頭から突っ込んだ形になっていた。
中央に見える2人の男はそのまま舗装された会場の入り口で倒れ伏していたが・・・・
手が、腕がありえない方向に曲がっていた。
最後に右側にいた男達は会場の外側にある建物・・・
確か何かの倉庫だったとおもうけど、そこに全て叩きつけたように倒されていた。
ここからでは距離があるから解らないけど、顔から赤い液体らしきものを穴からという穴から垂れ流ししていた・・・・・
『外にいる君達の仲間は
排除させてもらったよ。
今、周辺を囲む警察は
この会場の周りにある
トラップを解除しに
かかってるよ。』
自由人である彼は左手で目の辺りをポリポリとかいて平然と話していた。
『もうすぐ解除して
ここに踏み込んでくる
のも時間の問題だよ。』
そう言うや否や、
彼は驚愕して自らの思考を止め始めている男達に目を向け
視線をスッと細める。
『あんたたちに少しでも
仲間意識ってのがあるの
なら、、、、、』
話しつつ体の下方にあった右腕を挙げて ピッと指を突き付けた彼は、
口調を低く、それでいて耳に通る音程で話した。
指を男達に突き付けたまま――
『今すぐここにいるみんなを
解放して投降しろ
そしたら・・・・
あんたらの命だけじゃなく
仲間の命も助けてやる!』
「それは・・・・
断るっす!!」
自由人と云った彼のその低く唸る声を打ち消すように会場の中を別なる男の声は響いた。
「――っ!と、友彦!!」
覆面の男の1人がボスである倉橋に気づき言葉を紡ぐ。
あの時に吹き飛ばれた倉橋は彼の反撃により全身を強く打っていた。
だが、ナイフごしでの反撃だったため、外にいる男達や紗弥加を襲ったあの男よりは身体を襲った威力が軽減されていた。
だが、それでも再び立ち上がるまでには至らなかったのだろう。
両脚をたたんだまま
肩で息をして、顔を苦痛で歪ませながら凛とした態度で立っていた自由人を睨んでいた。
「これが・・・・
なにが・・・・
わかるっすか・・・・」
まだ肩を上下に息している倉橋は右腕をあげて手の中にある物をみんなに見せつけた。
それは手のひらにほぼ収まるよるな黒い物体だった。
その黒い物体の上部はまるでライターのように蓋が開いていて、
中には赤いボタンのようなものが見えた。
「――っ!もしかして、」
『爆弾の起爆
スイッチだろ?』
私の頭によぎった事を彼はすぐさまに喋っていた。
(「えっ・・・・・!?)
私はすぐに軽い引っかかりを感じた。
「お見通しっすか・・・・
俺にはまだ切り札が
あるっす。」
倉橋は赤いボタンに親指を静かに置いた。
「友彦!!それは
使わない約束だろ!」
男達にとって倉橋の行動は意外だったのだろう。
会場にいた男達は次々と
「やめろ!」「俺達まで巻き込む気か!」
等々、次々に非難の声が挙がる。
「うるさいっすよ・・・・」
また会場に響くポツリとした低い声、
倉橋の唸る声に男達はピタッとその非難の声々をやめる。
「俺にとっちゃお前らの
命もどうでもいいっす。
こいつらみ〜んな
巻き込んで死ぬつもりっす
から・・・・」
もはや悪意を超えた狂気だった、、、
倉橋の顔を、心を覆っていたのは・・・
私はもう・・・・
立ち上がれない程の脚の震えで全身をふらつかせていた。
『やってみれば?』
そんな狂気に支配されそうな会場に響く一陣の言葉、
私の目の前に背中を向ける彼は表情を明るいまま変えずに言葉を紡いだ。
「なっ・・・・!?」
そんな態度の彼に倉橋は驚いてしまう。
『やってみればって言ったの
それともできないの?』
「バ、、、馬鹿な!
本物なんだぞ!!」
「ハッタリじゃねぇ!!」
彼の軽そうな声に男達は驚愕の声で返す。
『それとも・・・・
怖いのかな?』
途端に彼の言葉が重くなる。
『所詮、独りよがりの
逆恨み野郎では
命すら賭けられないか?』
「・・・・・・・・
なんだと、、」
彼の完全に侮辱する挑発に倉橋の口調が変わっていった。
私でもわかる、
あれはもう・・・
完全にキレた人間の顔だ。
「そんなに云うなら
何もかも
吹き飛ばしてやるよ
!!!!!!!!」
目がイッてしまった倉橋は右腕を地面に叩きつけそうな勢いで振り上げた!!
「く、倉橋っ!!
やめろーーーーーっ!!」
私の目にはハッキリ見えた。
倉橋の親指が起爆装置の赤いボタンをカチッと押す所を・・・・・
私の目の前には
白く輝く閃光が広がって―――――!!!!!
私は灼熱の衝撃波に包まれた。体のあちこちが破れ、千切れて―――!!!!!
Bad End...