parte.7 乱暴
ガッッッ!!
「きゃあっ!!」
一方その頃、男に連れ去られた紗弥加はある個室に引きずり込まれていた。
そこは簡易用のベッドがある所を見ると仮眠室のようだった。
「ちょっと狭めぇが、
ま、楽しめれば場所は
どこでもいいかぁ」
男は紗弥加を殴りつけて大人しくさせると、両手で彼女を抱えてベッドに放り投げた。
そしてドアにカギをかける。
ガチャリ・・・
ベッドに放り投げられたショックですぐさま動くことが出来なかった紗弥加にとっては、それは何とも心を抉るような小さく、それでいてはっきりと聴こえる金属音だった。
「な・・・・・・・
何を・・・するの・・?」
これからされることを本能で感じ取っているのだろうか、
紗弥加は体中がガチガチと震えだしていた。
歯はカチカチと震え
顔は真っ青に蒼ざめていた。
でも、目の前に迫ってくる大柄な男から目を反らすことができない。
必死の抵抗なのか
着ているブラウスを両手で覆うしか彼女には残されていなかった。
「なにって・・・・」
男は着ている服を脱いで、ベルトをカチャカチャと鳴らして緩めていく。
「あ、あ、あ・・・・」
「こんな部屋で男と女が
するっていったら
・・・・・・」
最後に男はベルトを引き抜くと・・・
紗弥加に向かって舌なめずりをして、
言った・・・・・
「一つしかねぇだろうが!!!」
「イヤャャャャヤアアア!」
紗弥加は覆い被さる男をはねのけようとするが
男と女の力と体格の差では到底適わなかった。
男は素早く紗弥加の両手をベルトで縛って拘束し、
無理やり両手を彼女のブラウスのボタンに入れて引き裂いた!
ブチブチッ!
ビリィィィィ!!!!
ボタンがたちまち吹き飛ばされる。
「嫌ぁ!!
やめて!!見ないでぇ!!!」
「やっぱりデケェなおい!」男は紗弥加に跨っていた。いわゆるマウントポジションと呼ばれる位置で、
男の目の前は
もう少しではじけそうな下着に隠された胸が見えた。
「・・・・・・・!!!」
紗弥加は恥ずかしくなり目に涙を溜めて顔を反らす。
だがそんな行為さえ、男の嗜虐心を誘うだけだった。
「さぁ〜て、まずは味見
しないとなぁ〜」
男の邪な手が
紗弥加の豊満な胸に迫ろうとしていた――――!!!
そんな時だった。
『もしもし亀よ〜♪
亀さんよぉ〜♪♪』
突然、部屋の中で場違いな呑気さの歌が響き渡ったのだ。
「だっ!?
誰だっっ!?!??」
あと少しで彼女の胸を蹂躙しようとした男はバッッと跳ね起きて辺りを見回した。
だが、男がどんなに振り向いても
どんなに見回しても目の前の女以外には誰もいない。
『世界のうちで〜♪
お前ほど〜♪♪』
また歌が聞こえる。
「なっ!?
どこだっ!?
ドコにいるっっ!!!」
また男は周りをキョロキョロしだす。
紗弥加は男に襲われたショックからか気がついていなかった。
ただ、これから男によって行われる行為に身を堅くして耐えようとしていた。
『こんなに〜♪
馬鹿な〜奴はいねぇ・・・』
次に聞こえた歌は
最後は暗く、怒りで濁った声で聞こえてきた。
男はすぐさま部屋の窓と閉じたドアを目視したが、、、、、
全てカギがかかっていた。
「・・・・!!!!」
男が驚くより先に・・・・・
最後の歌のパートが聞こえてきた。
『どうして、、
こんなにバカ
なのかねぇ!!!!』
男がやっと声の方向に気がついた時には、、、、
男は部屋の壁に打ちつけられていた。
「ごぼぉっっ!!!」
右の脇腹を貫く重い衝撃と
口と喉に溢れかえる胃液の
焼ける感じ、
さらに全身を襲う激痛。
男は一瞬にこれらの痛みを味合わされたと知った時には、
部屋の床に顔から突っ込んだと知覚したあとだったのだった。
紗弥加は部屋内に響く轟音にびっくりして身を竦ませた。
そのお陰で彼女は正気を取り戻す事ができたのだが、
動かせる首を傾けて
彼女は驚いていた。
1人の男が立ち上がっていた。
その体躯は大柄で
真っ黒なポロシャツとズボンを纏い、
顔には不敵な笑みを浮かべて倒れ込んだ男を見ていた。
彼は男の所にベッドを迂回して回り込むと、
男の服の首根っこを掴み・・・・・
片手で部屋のドア側の壁に投げつけた!
ドガァァァァァン!!!
「ぐええぇっっ!?」
壁から床に叩き込まれる男の口からは赤いやら黄色いやらの液体がとめどなく溢れていく。
もはや、先ほどの二撃で男の戦闘能力、
いや生命活動に致命的な衝撃を与えたのは明らかだった。
だが、彼は男に近付くと右手を振り上げて“力”を集中するように拳を握りしめてきた。
「女の子を襲うなんて・・・
あの世で詫びてこい!!」
そう言うや否や
彼は“力”をこもった右腕の鉄槌を男の頭に叩き込んだ!!
バキャャャャヤヤアアア!!!!!!
「が・・・・・・・・・ぁ」
何かを砕くような嫌な音を響かせて、
男は白目を剥いて倒れ込んだ。
何度か全身を痙攣させながら・・・・・