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食の日々  作者: 山田 弘
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日本人の心①-白米-

食べるという行為は、生きることとほとんど同じ意味を持つ。

だが「生きるために食べる」だけでは、何かが足りない。

時に、人は食べることで世界を味わい、心を取り戻す。

一皿の料理の中に、季節や土地や人の記憶が詰まっている。


この物語は、そんな“食べること”に人生をかけた男の話である。

名前は——西川内剛。(にしかわうち たけし)


彼にとって料理とは、戦いであり、祈りであり、そして表現だ。

街で香りを嗅げば走り出し、味を想像すれば鍋を振る。

食べたいと思えば、その瞬間からもう料理は始まっている。

彼の休日は、誰よりも熱く、誰よりも美味しい。


その一皿が、彼にとっての人生そのものだから。

晴れた休日の午前。 街は穏やかに輝き、青空の下で人の流れがゆるやかに動いている。

俺、西川内剛は、今週もまた一週間ぶりの自由を手に入れた。


「さぁ、今日は何を食べようか。」


今日はなぜか、派手な味はいらなかった。

油でもソースでもなく、ただ——まっすぐな「白」を食べたかった。

それは、疲れた心が“原点”に戻りたがっている証拠だと思った。


米を研ぐ。

指の間を流れる冷たい水。濁りが薄くなっていくたびに、胸の中のざらつきも消えていく。

炊飯器のスイッチを押す音が、小さく「よし」と囁くように響いた。


炊き上がるまでの時間は、なぜこんなにも長く感じるのだろう。

部屋中に満ちる湯気の香りが、まるで“家族”とか“思い出”とか、

そういう懐かしいものを勝手に呼び戻してくる。


やがて、炊飯器が小さく息をついた。

蓋を開ける。白い粒が光を反射し、まるで小さな宝石みたいに見えた。

茶碗によそい、湯気の中で一口。


「ッス……いただきます。」


噛むたびに、米の甘みがじわじわと広がる。

涙腺の奥が、少しだけ熱くなった。

この一膳のために、一週間があった気さえする。


「ッス……ご馳走様でした。」


茶碗を洗いながら、ほっと息をつく。

腹の奥に“静かな力”が宿っている。

きっと、また明日から頑張れる。


次の「戦い」のことを考え始めていた。


——さぁ、次は何を食べようか。

閲覧ありがとうございます。

やっぱり白米には勝てないですよ!

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