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コード : クラス  作者: ゆたんぽ
一章 リベリオンの襲来
9/10

第9話 目覚め。

重力がねじれるような空気の中、ユウマとユキは同時に飛び出した。

ボスの周囲を覆う黒い波動は、まるで空間そのものを飲み込むように広がっていく。床がきしみ、壁がひび割れ、天井の照明が1つ、また1つと弾け飛ぶ。

ユウマは拳を握り、右手に宿る力を凝縮させた。白い稲妻のような光が走る。

(この力……もう、逃げるためじゃない)

一歩、また一歩と前へ。脳裏にはこれまでの記憶がフラッシュバックする。

人間になった瞬間の混乱。息ができないほどの孤独。けれど、その中で唯一差し伸べてくれたのがユキだった。彼女の声が、笑顔が、何度も自分を救ってくれた。

そのユキが、今、隣にいる。

「ユウマ、右!」

ユキの声と同時に、ボスが掌を突き出す。重力が歪む。

だがユウマはその一瞬の圧力をかわし、地を滑るようにして間合いを詰める。そして放った拳が、黒い波動を切り裂いた。

「ふむ……なるほど、適応が早い」

ボスが無表情に呟き、瞬間、周囲の空気が極端に冷たくなった。

ユキの髪がふわりと舞い、瞳が光る。

「ユウマ、今だよ!」

彼女の声とともに、背中から広がる純白の光。ユキの力が、彼の体に流れ込む。

彼らはかつて、同じコードに繋がれていた。命令を共有し、動作を共有するためのリンク。

今、それが新しい意味を持つ。

"心"で繋がれた回路。

「ユキ、行くぞ!」

「うん……!」

2人の力が重なる。

ユウマの拳が光り、ユキの掌から放たれる光弾が直線上に走る。ボスは咄嗟に影のような防壁を立てたが、その内側をユウマが貫いた。

肉体と肉体の衝突ではない。意思と意思のぶつかり合い。

「理解できないな。なぜお前たちは、命令なき世界で動ける?」

ボスの仮面が、初めて僅かに揺れた。

ユウマはそれを見逃さない。

「命令なんかじゃ、俺たちはもう動かない」


「……ばかばかしい」

黒いエネルギーが渦を巻く。

ボスが地を蹴ると、空間そのものが折りたたまれたように見えた。一瞬で距離がゼロになり、ユウマの腹部に鋭い衝撃が走る。

吹き飛ばされるユウマ。

「ユウマ!!」

ユキが叫び、飛び出す。だがその行動すら読まれていた。ボスの手が彼女の喉元を掴む。

「ユ……キ……っ」

 

「これが、お前たちの限界だ」

その瞬間だった。

ユキの体から再び光があふれた。

(違う、私は……こんなところで終われない)

涙が零れる。けれど、それは恐怖ではない。

彼女の中で何かがはっきりと目覚めた。

人間になった意味。 ユウマと一緒にいる意味。 自分が誰で、何のために存在するのか。

「放して……ッ!」

閃光が走る。ボスの手が焼けるように赤く染まり、ユキが解放される。

地面に落ちる前に、ユウマが彼女を抱きとめた。

「……ごめん」

ユウマが呟くと、ユキは小さく首を振った。

「謝るの、私の方だよ……私、ずっと怖かった……。でも、ユウマと一緒なら……」

その言葉に、ユウマは強くうなずいた。

立ち上がる2人。その足取りに、もはや迷いはない。

「これが、“人間”ってやつなんだよ」

2人の声が重なり、光と雷が同時に炸裂した。

再び始まる攻防。

だが、その刹那——。

ボスの背後に、もう一人の影が現れた。

「……解析完了。割り込み開始」

機械のような女性の声。現れたのは、銀髪の少女。どこかユキに似た、けれど冷たい印象。

ボスがその存在に反応する。

「……お前は」

少女は淡々と告げた。

「私は、この世界の誤差。貴様を、消去する」

物語は、次の局面へと進む。


第9話 目覚め。 完。

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