第7話 異変。
第7話 異変。
夕日が入り、日が暮れようとしているその時。
ゆうまとユキは2人きりで教室に残っていた。
その割には何も話さない。何が目的なのかは、
その2人も分からない。
「"あのさ、"」
2人の言葉のタイミングが完璧に被る。
そこからまた沈黙が続く。
「なんか、感じない?」
俺はユキに自分の感じる異変を話した。
ユキは、こう言った。
「分かる。なんか体が変な感覚なんだよね。」
「もしかして…まぁちがうか。」
何を言いたかったのか…俺も分からない。
あの時。パファラを倒した時。
その時に出てきたあの光を浴びた後から異変を感じていた。
体の鼓動が妙に速くなり、体が軽くなる。
なんなのだろうか─。
おれはユキを守れた。多分...。
あの時、俺が最初に無茶をしなければ。
ユキももっと楽になったのにな...。
そう俺は自分の事が憎らしく思えてきた。
あのときのパフィラの光。
辺りがとても明るくなったあの時。
パファラは何かを話してた気がする。
分からない。知らない。知れない。
あの言葉を知れるのは、
ずっとずっと先になるかもしれない。
「パファラが死ぬ時、何か言ってなかった?」
俺はユキにも聞いてみた。
どうせ分からないだろう。と、期待はしてなかった。
「なんか、言ってたよね。なんだっけ。」
疲れているのか、スラスラと言葉が出てこない。
それから俺らは諦めて家に帰った。
プルルルル。
今は深夜0時。そんな遅い時間に
一通の電話がかかってきた。
おれはその電話に意識が曖昧なまま出た。
「ゆうま!!あのときパフィラが言ってたこと思い出したよ!」
俺は一瞬で目が覚めた。
知りたかったのだ。なんて言ってたのか。
俺はすぐさまメモの用意をした。
「光と影、重なればお前らは最後だ。」
と、言っていたらしい。
どういう意味なのか、全く分からない。
意味不明すぎる。
俺らの力を合わせ、やっとの思いであいつを倒した。
重なれば最後...何が言いたいのか分からない。
でも、体の異変がこの言葉と関係しているのかもしれない。
次の日、俺は歯磨きをするために洗面所へ向かった。
鏡を見ると、俺の目にいつもとは違う光が宿っていた。
ギラついているわけじゃないけど、
どこか異質な─いや、懐かしいような気配があった。
「……なんだ、これ」
思わず口に出す。
不思議な感覚だ。目はぼやけていて視界が
霞んでいるのに、なぜか遠くの音がやたら
鮮明に聞こえる。鳥の鳴き声、車のエンジン音、
隣の部屋の時計の針の音すら。
視力は落ちたのに、聴力だけが異常に上がっている─そんな感じだった。
もしかして昨日の光のせい? あのパファラの……?
結局、考えがまとまらないまま、俺は遅刻ギリギリで家を飛び出した。
いつものように道路を駆け抜ける。が――何かが違う。
「……遅っ」
俺の感覚では思いっきりダッシュしてるつもり
なのに、スピードがまるで出ていない。
いつもならマッハ1は軽く出てたはずなのに、
今日は5000km/hしか出ない。いや、それでも充分
やばいんだけど……でも体感的には、スローモーションだ。
違和感だらけのまま教室に入ると、すぐにユキが俺に声をかけてきた。
「なんかさ、能力の精度が下がったんだけど。これ、なに?」
彼女の表情も困惑していた。目の下にうっすらクマがある。よく眠れなかったんだろう。
「お前もか……」
「うん。多分……昨日の、あれのせいだよね」
ユキもまた、俺と同じような異変を感じていたらしい。
そこから毎日、能力の低下が見れる。
俺らは何が嫌な予感をして、今のうちにラリオンの
基地へ行ってこのことを聞きにいってみた。
ピピピピピ!人間の侵入反応!
アストラルロボット3体がホームに参ります!
俺らは驚愕した。人間になっていた。
アストラル。つまりリベリオンから人間に戻っていた。
能力の低下はこういうことだった。
そして1つ問題がある。俺らは能力が低下している。
その今、アストラルの力を持つロボット三体も相手できるのであろうか。
そう思って戦闘態勢に入っていたが、中々来ない。
この間が余計に恐怖に繋がる。
音ひとつない静かな通路。俺ら以外誰もいない。
---!!!!
俺ら2人はアストラルロボットに身体をつき抜かれていた。
第7話 異変 完。