第4話 ユキとゆうまの過去。
俺はアストラルだった。
ユキの同級生の人殺しだった。
ユキはすごい。記憶を改ざんすることもでき、戦闘スキルも人並み以上。
そして、だます力もとてつもない。
俺とは比べ物にならない。
だが、俺もリベリオンの中のトップ、"アストラル"実力はある。
俺の能力は、透明化。
透明になって敵に忍び寄ることができる。
だが、それにも弱点がある....。
まあそのことは、今話すことではないだろう。
でも、ユキは少し手荒なことをしても記憶を消すことができる。
この俺とユキの力に目を付けたリベリオンたちのボス。
"ラリオン"の奴らは、俺たちにコンビを組ませた。
俺も思った。俺の基本的に一瞬で仕留められる能力を使い...。
そして周りにいたやつらの記憶をユキが消す。
完璧だった。
だが、俺はうっかりミスをしてしまった。
国の奴に見つかった。
普段ならすぐ仕留めることができていた。
だが、すぐ直前まではすごい強敵と戦っていた。
そのおかげで能力を使いすぎて体力が消耗されていた。
そして、俺は記憶が消され、普通の人間として生活するようになった。
ゆうま「......」
(あぁ、やっと昔にもどれる...)
ユキ「昔に戻るのは簡単じゃないわよ、ゆうま。」
俺は言われなくてもわかっていた。
だって、長い間能力を使ってなかった。
そして、あの時。ユキの攻撃に反撃できたのは...。
俺がアストラルだった時の力...。
かってに国のやつらに、親に護身術を教わった。
と、記憶を変えられていたのか...。
そして、俺らは元に戻った。
さぁ、今日のターゲットは...。
先生...。
ゆうま「...!?」
俺はやはり普通の人間として生活していたからか...。
人間としてのやさしさが残っているのかもしれない。
ユキ「何。殺せないの?あいつぐらい一瞬でしょ?」
俺はつばを呑んだ。
久しぶりの殺人。怖い...。
俺らは一緒に遅れて学校に入った。
そしてユキが先生に宿題を出した。
ユキ「休んでた時の宿題です。遅れてすみません。」
俺は教室に入った時から透明化していた。
でも、別の生徒に弱点がばれるかもしれない。
たくま「せ、先生!!なんか後ろに影が...?」
やはりばれたか。
俺の弱点は、影だけは消えない。
俺の体は見えなくなるが、影はなくならない。
先生「な、なんだこれ...誰もいないのに...」
こうなったらすぐかたずけないと。
グサリッ!!
教室中にナイフの音が鳴り響く。
そして、この教室は血まみれだ。
ユキ「久しぶりだからかな?力が落ちてるね。」
そう。昔の俺ならば、前のユキみたいに...。
通りすがるだけで殺すことができた。
ユキ「ここまで大胆にやられると、記憶操作がめんどくさいわね。」
ユキはあきれた顔で、全員の記憶を消していった。
俺は自分の手についた血を見た。
何か嫌な予感がする...。
俺らが一緒にカフェで人休憩をしていた時...。
ユキ「...ちょっとまって」
彼女の顔が青ざめている。
ユキ「おかしい...記憶が...ちゃんと消えてない!?」
そんなことはあり得ない。今まで一度も失敗したことがなかった。
ユキ「誰か...体制を持っている奴がいる。」
その"誰か"は...今、俺たちを探している——。
カフェのベルが鳴った。
入口からは一人の男が入ってきた。
タケル「あ~あ。おまえも黒幕だとはな。」
その入ってきたのは、タケルだった。
ユキ「な、なんでお前は記憶が残っているんだ!!」
彼女は驚いた顔で言った。
タケル「ま~そのことは話すけどさ、」
「とりあえず、外出ようぜ。」
俺たちは外に出た。
タケル「俺はな。昔からなぜか能力がある。」
俺は昔の出来事を思い出した。
タケルと一緒に遊んでいた時——。
公園のジャングルジムの上、夕日に染まる空の下、俺が軽く突き飛ばした瞬間、タケルの体がフッと消えたのを覚えてる。
あのときは気のせいだと思ってた。けど——今思えば、あれが奴の能力の片鱗だったのかもしれない。
タケル「俺は、記憶に干渉する能力だけは効かない体質みたいでさ」
ユキ「体質……?」
タケル「詳しいことはわからない。でも、“実験”の被検体だったってことは覚えてる」
その言葉に、ユキの目がわずかに揺れた。
俺は気づいた。——ユキはその“実験”に心当たりがある。
タケル「お前ら、もう後戻りできねぇだろ」
タケルの手のひらに、青白い光が集まり始める。
まるで空間そのものを裂くような圧力——こいつ、攻撃能力も持ってる!?
ユキ「やるしかないみたいね」
俺は、透明化する。だが——タケルはその方向に目を向けた。
タケル「お前の弱点も覚えている。影は消えないんだろ?」
クソッ……!
タケル「さぁ、続きは——“昔の友達”同士で、決着つけようぜ」
そして俺は戦闘態勢に入った。
わざわざ透明化してもタケルには通用しない。
ただ体力を消耗するだけだ。
ユキがナイフを服から取り出し、素早くタケルの後ろに回り込んだ。
俺でも目で追うことがぎりぎりだ。
そしてユキがタケルにナイフを振り下ろした。
だが、タケルはとっくに気づいており、ナイフを弾き飛ばした。
タケル「俺とゆうまで決着をつけるって言ったよな...?」
「なに?殺されたいの?」
いつもならユキはそんな言葉にはひるまない。
でも今...。
ユキは怖がっている...。
俺の目にも...見える...。
強者のオーラが...。
そして激しい戦いが始まった。
決着はもう見ただけで分かる。
俺は負ける...。
タケルのビームが俺の心臓のぎりぎりを貫通した。
そして腕も攻撃され、ほとんど俺は攻撃できなくなった。
そして俺は悩んだ。
どうすれば倒せるのか。
どうすれば負けないのか。
どうすれば死なないのか。
考えた。考えた。
でも、俺はもうボロボロだ。
悔しい。ただの人間に、負けるなんて...。
俺はアストラル。
リベリオンよりも上なんだ。
なのに...なのに...!!!
ゆうま「死んでくれ...。タクマ!!」
俺は最終手段を使った。
俺は物を宙に浮かしたりそのものを変形させることができる。
だが、それはとても体力を消耗する。
もしもの時にしか使うことができない...。
タクマの後ろにあったベンチが変形した。
大きい剣みたいな形に。
その大剣はまるで影のように...。
すばやくタクマに近づいていく。
グサッ!!
タクマに剣がつきささった。
この能力が使えなかったら、俺は死んでいただろう。
タクマ「おまえ...卑怯だぞ...」
ユキ「ゆうまは私に頼らず、お前に勝ったんだ!!」
「お前とゆうまだけという条件は守っただろ!!」
「それで卑怯!?ふざけんなよ!!!!」
ユキは、いつもの何倍...。
いや、何十倍も怒っていた。
そして俺らは立ち去った。
その後、タケルを見た者はいなかった。
第4話 ユキとゆうまの過去。 完。
ゆうまの"元"親友、タケル。
その後タケルはどうなったのだろうか...。
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