表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/22

第七章:新たな恋の予感!? まさかの幼女との出会い

葵の上の死からしばらく経った。


俺は心にぽっかりと穴が空いたような気持ちで過ごしていたが、周囲はそうもいかないらしい。


「光る君、そろそろ新しい縁談を考えねばなりませんな」


そう言ってきたのは弘徽殿こきでんの女御を母に持つ右大臣だった。彼は俺のことを快く思っていないらしく、何かと俺に難癖をつけてくる。


(いやいや、まだ心の整理もついてないのに結婚話とか勘弁してくれよ……)


とはいえ、貴族の男は結婚も政治の一環だ。俺の気持ちとは関係なく、周りは俺に新たな妻を押しつけようとしてくる。


◇◆◇


そんな中、俺はふと気になる話を耳にした。


「藤壺様の姪御が、たいそう可愛らしいとのことです」


(藤壺の……姪?)


彼女の妹が亡くなった後、その娘がまだ幼いまま残されたらしい。


名は若紫わかむらさき


その名を聞いたとき、なぜか胸がざわめいた。


◇◆◇


俺はある日、ふらりと北山へ出かけることにした。


すると、山里のある僧坊に、小さな少女の姿を見つける。


「……ん?」


庭先で花を摘んでいた少女が、俺の視線に気づいてこちらを見上げた。


目が合った瞬間、俺は驚いた。


(……なんだ、この子)


彼女の顔は、まるで藤壺の面影をそのまま幼くしたようだった。


いや、藤壺というより──


「……あの、あなたは?」


少女が小さな声で尋ねる。


(……やばい、可愛い)


心の中で動揺しつつも、俺はやさしく微笑んだ。


「俺は、ちょっと通りがかった者だよ。お嬢ちゃんは?」


「わたしは……」


そう言いかけた彼女を、奥から出てきた老尼(祖母)が呼び止める。


「若紫、こちらへお戻りなさい」


彼女の名を聞き、俺は確信する。


(この子は……)


運命的なものを感じずにはいられなかった。


◇◆◇


その後、俺は何度か彼女のもとを訪れた。


彼女はまだ幼いが、その話し方や仕草にはどこか品があった。


「……俺、この子を育ててみたいな」


思わずそんな考えがよぎる。


(将来、彼女が成長したら……)


俺はまだ気づいていなかった。


この出会いが、俺の人生を大きく変えることになるということに。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ