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第四十七章:消えゆく光
紫の上の容態は、もはや刻一刻と悪化していた。
呼吸は浅く、言葉を紡ぐのも辛そうで——それでも、彼女は俺を見つめ、最後の力を振り絞るように微笑んだ。
「光の君……ありがとう……」
◇◆◇
「お前が俺に礼を言う必要なんてない」
俺は紫の上の手を握りしめた。
「俺のほうこそ、お前がそばにいてくれて、どれほど救われたか……」
紫の上の指が、ほんのわずかに動いた。
「……光の君……ずっと……おそばに……」
彼女の瞳が、ゆっくりと閉じていく。
「紫の上!」
俺は必死に彼女の名を呼ぶ。
だが、返事はなかった。
◇◆◇
外は静かな夜だった。
虫の音が、妙に遠く感じる。
「……嘘だろ」
俺は紫の上の頬に触れる。
その肌から、ゆっくりと温もりが失われていくのを感じた。
「……そんな、ことが……」
現実が、重くのしかかる。
◇◆◇
紫の上は、もう——いない。
この世に、俺の愛した彼女はいないのだ。
胸の奥から、どうしようもない喪失感が込み上げてくる。
「……紫の上……」
俺は、声にならない声で、ただ彼女の名を呼び続けた。




