第6話 狩りの合間に薬草を採って・・・
毎朝6時投稿予定です。
『たまには遊びに来てね~』
キャロルたちは、他に用事があったらしく、そのまま孤児院に戻っていった。まだ、昼前なので、今からなら狩りにもまだいける。西門から出て、いつもの狩場に向かうと、
(ここにもさっきの薬草が結構あるな・・・)
薬草だけではないものの、ちょっと探すと、薬草は簡単に見つかった。歩きながら、薬草を回収していく。ホーンマウスを狩るところまで来た時には、1袋がいっぱいになっていた。
(これって、いいかもしれない)
回収した薬草の入った袋をリュックに仕舞い、周囲を見回すと・・・
『あっ!!』
なんと目の前にホーンマウスが突進して来ていた。咄嗟にショートソードを振りかざすと、ホーンマウスの首が胴体から離れて飛んで行った。
(あれ?)
明らかに反応速度が速くなっていた。ホーンマウスを早速袋に詰める。その後、今までは、躱すだけで精一杯だったホーンマウスの突進に対応して次々とホーンマウスを仕留めていく・・・。巣穴から出てくるのを待つのと違って、ものの10分としないうちに5匹仕留めてしまった。
(いつもならここで戻るのだけれど・・・)
5匹のホーンマウスが入った袋の口を縛り、予備の袋を取り出す。口を縛った袋の近くで待ち構えると、10分もしない内に5匹狩ることが出来たのである。もっと狩れそうではあるが、これ以上は持ちきれない。何とか抱えて西門から冒険者ギルドに戻った。
・・・
冒険者ギルドの買取カウンターに10匹のホーンマウスを出すと
『よう・・・今日はまとめてきたか・・・』
すっかり常連になってしまったせいか、顔を覚えられてしまっていた。
『ほれ。いつもと同じだ。だが、首の切り口が少し変わったな。狩りの方法を替えただろ』
買取カウンターの中年男性はそう言ってほほ笑んだ。
(判るものなの?)
ボナは、狩りの方法が変わったことを買取カウンターの中年男性職員に指摘されたのが不思議だった。
『そろそろ、ステータスが変わっているだろうから、水晶で確認してみな』
買取カウンターの中年男性職員はそう言って、奥の作業場に消えていった。
(まさかね・・・)
カードを作った時にかざした水晶にカードをかざしてみると
登録名:ボナ
レベル:F
HP 15/20 MP100/100
STR(力) : 15
VIT(体力) : 15
INT(知力) : 100
MID(精神力): 100
AGI(俊敏性): 150
DEX(器用度): 100
スキル
なし
真名:ジュアル=ラィシカーラクセン
備考
異界からの訪問者、異世界のパイロット
なんと、HPは倍、STR、VITとAGIが1.5倍になっていた。
(MPは変わらずか・・・そうか、使ってないもんな)
いつの間にかUpしていたらしい。これが、突進してきたホーンマウスを狩ることが出来るようになった理由らしい。
(あっ薬草)
ボナは冒険者ギルトを出て、薬師ギルドに向かって移動していった。
・・・
『あら。さっきの護衛さん』
薬師ギルドに入ると、先ほど話した女性が買取カウンターから声をかけてきた。調度いいので、ボナはカウンターに移動すると、リュックから薬草の入った袋を取り出した。
『狩りに行く途中で採取してみたのだけど・・・』
そう言って袋を渡す。
カウンターの女性は、念のためか念入りに中身を確認すると、袋の中身を後ろの大きな籠に空けた。
『問題ないです』
女性はそう言って銀貨を1枚手渡してきた。
(これなら何とかなるかも)
ボナは銀貨を受け取りながら思ったのだった。
『さっきもいったのだけど、この草はいくらあっても困らないの。ついでと言わずジャンジャンとってきてほしいです』
そう言って女性は微笑んだ。
(あれ・・・何でわかった?)
・・・
時間的には、調度昼くらいである。狩りの時間が大幅に短くなったこともあり、時間に余裕が出来た。西門から出たところ・・・門番からちょうど見えないくらいのところまで移動したところで、朝買ったパンを食べる。このパンは、孤児院のころ食べなれたパンなのだが、パンにも関わらず、噛み切るのがちょっと大変なパンである。何とか1口サイズにちぎって口に入れ、水を口に含ませる。しばらくするとパンが噛み切れるくらいになるので、咀嚼してから呑み込むのである。水を入れる水筒が欲しいところなのだが、皮袋に水を入れ、水筒替わりに使っているのが現状である。正直、飲みにくい。
(水筒を買おう)
パンを飲み込み。再び狩りに向かう。出てきたゴブリンを倒し、薬草を採取しながらの移動をして、ホーンマウスを10匹倒し、何とか抱えて再び冒険者ギルド・・・の前に、薬師ギルドに寄って、再び薬草を買い取ってもらおうとしたところ、買取カウンターの女性に呼び止められた。
『ねえ。それホーンマウスでしょ。首の部分をいくつか売ってくれない?』
意外なお話であった。冒険者ギルドでは、首はゴミとして引き取ってくれるが、無料だったのである。
『えっ?』
思わず反応したボナに
『ホーンマウスの角は薬品の材料になるの・・・でも、沢山は要らないものだから、普段は買い取っていないのだけど、たまたま、まとまった注文が入ってね。これから冒険者ギルドに注文しにいくところだったのよ。10匹分ほしいのだけど・・・』
『あります!』
買取カウンターの女性の説明が終わらないうちに返事をしたボナであった。
・・・
結局、ホーンマウスの首(本当は角だけでよかったらしい・・・)は、銀貨1枚になった。安い気もするが、いつもは換金できないので丸儲けである。冒険者ギルドでは、首がないのは何も言われなかった。
(もしかして、持って帰ってくる必要自体がない?)
今更ながらに気が付いたボナであった。
日々の努力が必要です。