第2話 冒険者ギルド
初日だけ、3話投稿します。
ボナは、冒険者ギルドに向かって歩いていた。装備はベルトに引っかけているショートソードのみである。15歳なったはずのボナは、冒険者として登録するつもりであった。王都の中央よりやや東側にある冒険者ギルドには、入り口に剣と盾の絵は書かれた看板がぶら下がっている。なんでも、この世界の冒険者ギルドは全て、この絵が入り口に書かれているという。ボナは孤児の先輩から聞き及んでいた。
(さあ・・・入るぞ)
ボナが扉を引くと、
“チャリーン”
と金属音が鳴った。ボナは、その音に驚き慌てて周囲を見回すが、誰もそれを気にした様子もない。中には、受付カウンターが数か所と、その奥には酒場というべき、飲食店があった。早朝は混雑するらしいが、朝食後、ゆっくり出てきたボナが着いた時間は、ほとんどの冒険者は出かけており、酒場に数人の酔っ払いがいるだけであった。
(まずは登録をしないと)
ボナは受付カウンターの一つに行った。そこには、緑色の髪をした若い女性が待ち構えていた。
『いらっしゃい。冒険者ギルドにようこそ。新人さんですか?』
受付の女性に声を掛けられた
(どうして、新人ってわかったのだろう・・・)
ボナが不思議そうに首を傾げると、
『あら、さっき入り口のベルの音に驚いていたでしょ。初めて来た人でしかあり得ないものね』
どうやら、入ってきたときの様子を見られていたらしい。
『はい。冒険者登録をお願いします』
ボナは意を決して答えた。
・・・
『そんなに固くならなくても大丈夫だから・・・とって食べたりはしないわよ』
受付の女性がほほ笑んだ。緑色の髪が僅かになびく。
受付の女性からの質問にいくつか答えたのち、用意された水晶のような球に手を添えるように言わる。ボナは、恐る恐る球に触ると、球が一瞬光った。
『はい。これで登録は完了です。あなたの魔力パターンが登録されているから、他人に成りすますのは無理ですからね。他の街にある冒険者ギルドでも共通で使えるからね』
受付の女性がほほ笑みながら、何かカードを差し出した。ボナが覗き込むと、
登録名:ボナ
レベル:F
とだけ読める。何も書いてなさそうな空白の部分が多い。
『あの・・・この何も書いていないのは・・・』
ボナが不思議そうに言うと、
『入り口の脇にある水晶にこのカードをかざしてみてね。普段は、見れないようにしてあるのよ』
受付の女性は、そう言うと、ボナを水晶のところに連れていき、カードかざさせた。
『おお・・』
思わずボナから言葉が出た。水晶にかざすと、カードの空白部分に文字が浮かび上がってくる。
登録名:ボナ
レベル:F
HP 10/10 MP100/100
STR(力) : 10
VIT(体力) : 10
INT(知力) : 100
MID(精神力): 100
AGI(俊敏性): 100
DEX(器用度): 100
スキル
なし
真名:ジュアル=ラィシカーラクセン
備考
異界からの訪問者、異世界のパイロット
(???何だ 最後のは!)
ボナは慌ててカードを仕舞う。
『どう? HPとMP以外に、6つの値が出ていたでしょう?15歳になったばかりだと、6つのパラメータは全て10が一般的だから気にしないでね』
そう言うと、緑髪の受付の女性はカウンターに戻っていってしまった。
(あれ?ひょっとして最後の部分って・・・)
慌ててカウンターに戻り
『あの、6つのパラメータの下に・・・』
ボナが言い掛けたところで、
『その下の欄は空欄なのよ。何で空欄なのかはギルドでも知らないのよ。薬草や魔物の討伐は、依頼を受け付けなくても、物を持ってくれば大丈夫だからね。でも、ゴブリンみたいに利用価値のない魔物は、放伐照明の部位だけ持ってくるようにしてね』
そういいながら少し奥の方を指さした。ボナがその方角を見ると、冒険者がホーンマウスを渡しているところだった。
『あんな感じでね。あのカウンターで受け取るようになっているよ』
受付の女性は諭すように言った。
(なるほどね・・・)
『依頼票は、後ろの壁に貼ってあるから見るようにしてね』
慌てて後ろを向くと、壁一面に何やらメモのような紙が貼ってある。どうやら、これが依頼票らしい。よく見るよ、依頼表には、適正レベルという欄があり、A~Fまで記号が示されていた。
『ありがとうございました』
ボナはそう言って、受付カウンターを後にした。
・・・
依頼表は、
ホーンマウス:銀貨1枚/匹(魔石,皮含む、傷が少ないものに限る)
ゴブリン討伐:銅貨1枚/匹(魔石は別途)
ペットの捜索:銀貨2枚
部屋の掃除:銀貨3枚
荷物運び:銀貨2枚/日
・・・
色々なものがあった。だた、街中の依頼は安い。少々危険はあるが、街の外で魔物を狩ってくるのが現実的らしい。
(街の外に行ってみよう)
ボナは冒険者ギルドを後にした。
=参考=
この世界の通貨は
金貨1枚=小金貨10枚
小金貨1枚=銀貨10枚
銀貨1枚=小銀貨10枚
小銀貨1枚=銅貨10枚
です。
金貨 :日本円に換算して10万円くらい
小金貨:日本円に換算して1万円くらい
銀貨 :日本円に換算して1000円くらい
小銀貨:日本円に換算して100円くらい
銅貨 :日本円に換算して10円くらい
なお、紙幣(お札)は存在しない。
一人で暮らし始めました