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ジュアル=ラィシカーラクセンの冒険=異世界転生?した自家用パイロットの数奇な人生=  作者: OPPA
第1章 ボナ誕生(ジュアルになるまで・・・)
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第17話 オーク戦

毎朝6時投稿予定です。

 翌日と、翌々日も同様にブラックマウスを大量に仕留め、冒険者ギルドに持ち込んだ結果、ボナはレベルDになった。


『おお~。冒険者カードが鉄製になった』

新しい冒険者カードを手にしたボナが嬉しそうにしているのと対照的に、アクアはじめ、冒険者ギルドの職員たちはやつれていた。ここ数日で持ち込まれた大量のブラックマウスの肉は、そのまま流通させた場合、マーケットに影響するとの判断があり、在庫をして冒険者ギルドで保存処理が施されることになり、その対応に東奔西走する羽目になったからである。尤も、マトヤの街の中だけの調整で何とかなるレベルだったので、他の街との調整までには至っていない。


『ボナさん。レベルDになったので、オークに挑戦されては如何ですか?』

アクアがすがるような目線でボナを見ている。そう、ボナがブラックマウス討伐からオークに対象を替えれば、ブラックマウスの流通量調整をする必要もなくなるという思いからであった。


『オークに挑むのであれば、今のショートソードではちょっと危なそうなので、新しい武器が欲しいですね』

ボナが何気なく言った一言に、


『冒険者ギルドの売店でもショートソードはありますので、ぜひ見に行ってください』

アクアが懇願するように言った。


・・・


『すいません。新しいショートソードが欲しいのですが・・・』

ボナは、冒険者ギルドの地下にある売店に来ていた。そこには、回復用のポージョンや武器や防具が販売されていた。

(ここ数日で少しだけ金が出来たけど、ままだ高い装備は買えないな・・・)

店の奥から、ご年配(老人)と思われるお爺さんが現れた。

『何かご希望かな。装備と予算を教えてくれれば、合うものを出すよ』

老人とは思えないほどしっかりした応答にボナは少し驚きながら、


『オーク狩りをしようと思うのだけど、今のショートソードではちょっと心許ないから、金貨1枚くらいの予算で、オークに攻撃できそうなのが欲しいのだけど・・・』

ボナの言葉にお爺さんは


『ちょっと待っとれ!』

そう言うと、店の奥に消えてしまった。


・・・


『これなんかどうかの?』

お爺さんが持ってきたのは、鋼鉄製のショートソードであった。今持っているショートソードに比べると明らかに良い物である。渡されたボナは、軽く振ってみたが重さ的にも今とほとんど変わらないため、使用感も問題ない。気に入ったので早速購入することにした。

小金貨10枚を渡して帰ろうとしたボナに対して


『せっかくだから、少しサービスしよう』

と言って、お爺さんは1冊の本をボナに手渡した。


『これは初級の魔導書じゃ。ファイヤーボールくらいは使えるようになる』

ボナは、受け取った本を見ながら答えた


『とっても嬉しいのだけど、魔導書を変えるほどお金に余裕がないんだ』

この世界の魔法は、初級と中級は各属性の魔導書を読むことで習得できる(但し、本を開いたものが魔導書の内容を習得すると消滅してしまう)。ボナに渡されたのは、火属性の基本ともいえる、ファイヤーボールの魔導書であった。魔導書としては珍しくないものではあるが、それでも、小金貨1枚以上はする高価なものである。


『なに・・・在庫処分じゃ。今なら銀貨2枚でよいぞ』

魔導書に使用期限など存在しない。なので、お爺さんの申し出は破格であった。


『とってもありがたいけど、何で?』

ボナは首を傾げながら言った。


『魔導書に期限が無くても、儂の寿命はそんなにないからな・・・これは、儂個人の持ち物なんじゃ』

お爺さんはそう言って破顔した。


『ありがとうございます。遠慮なく購入させていただきます』

ボナは銀貨2枚を追加で渡し、お爺さんに一礼してから出ていった。


『ボナ様の子・・・』

ボナがいなくなったあとお爺さんは呟いた。


・・・


冒険者ギルドを出たのち、ボナはマトヤの街の南にある森に向かった。街を出た後、森の入り口で、魔導書の頁を全てめくった結果、魔導書は謎の炎を上げて燃え、消滅した。

(うん。使えそうだ)

たまたま森の入り口にいたゴブリンに向って

『ファイヤーボール』

と唱えたところ、拳くらいの大きさのファイヤーボールがゴブリンに向かって飛んで行った。


『グギャー』

ゴブリンの胴体をファイヤーボールが貫通。ゴブリンはあっけなく倒れてしまった。討伐照明部位である右耳を切り落とし、魔石を回収してから森に入った。

 この森は、ところどころ森でありながら木がなく開いた部分がある。オークは、そういうところに出没することが多かった。餌として、先ほど倒したゴブリンを持っていく。異次元ポケットに収納した方が楽なのだが、オークを誘き出すため、わざとそのまま引きずって持ってきていた。

そして、森の中にある最初の木の無い開けたところに来たボナは、開いた空間の真ん中にゴブリンの死体を置くと、少し離れたところで様子を見ていた。


・・・


しばらくすると、ゴブリンの死体を見つけたオークがやって来た。幸い、1匹である。

オークはゴブリンの死体に注意が言っているようで、ボナに気が付いていないようである。


『ファイヤーボール』

オークの背後に回ったボナは、オークの動きを止めるため、脚めがけてファイヤーボールを放った。

(覚えたばかりのファイヤーボールでは、オークは倒せないからな、足止めに使うのがよいだろう・・・)

不意を突かれたオークは、ファイヤーボールを左脚に真面に受けてしまった。覚えたばかりのファイヤーボールと言えども、脚に直撃すれば動けなくなるくらいの怪我にはなる。オークは左脚に怪我をしてその場に転んでしまった。

『おりゃー』

ボナは買ったばかりのショートソードでオークの首を刎ねた。

(上手くいった)

奇襲に近い状態とはいえ、ファイヤーボールとショートソードでオークを討伐することに成功したボナは、解体アシストナイフを取り出し、オークの解体を行った。


・・・


『で、いきなりオーク討伐ですか・・・』

魔石と解体後の肉(100㎏)を冒険者ギルドに持ち込んだボナに、アクアが諦めたように呟いた。


金貨1枚、小金貨2枚で売れたオーク肉、銀貨2枚の魔石、銅貨1枚のゴブリンの討伐照明に小銀貨1枚のゴブリンの魔石・・・。

(1日で装備代を回収出来たな)

ボナは喜々として宿に引き上げたのだった。

ボナの実力が・・・レベルDじゃないような気がします。


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