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メモリアランド  作者: ひみこ
13/28

第13話 ゴーカート

○登場人物

・主人公グループ

後藤 奏太

長谷川 杏奈

佐久間 陸✗

佐藤 芽依✗


・陽キャグループ

柿本 湊斗

本郷 彩

村上 順平✗

岡本 めぐみ

吉田 涼

中村 弘明

 


 ゴーカートは俺の知っているもので合っていた。

 これ、免許無しで乗って良いのか?

 小さな外装のない車のようなものが数台、タイヤで囲まれた小型のレース場のようなところに置いてある。

 コースは飛行機の滑走路のように電飾で照らされており、暗い中でもかろうじてコースは把握することができる。

 電飾版にはこう表示されていた。



 メモリアモモンガより先にゴールしよう(5)



「また5回に戻ったな」

「難易度はティーカップやジェットコースターと同じくらいってことか」

「つーかメモリアモモンガってなんだ?」

「知らないのか。ここのマスコットだよ。通称メモンガ。あの黒いきぐるみの名前だ。そんな事も知らずにメモリアランドに来てたのか」と信二が呆れたように言ってきた。

 そういえば入り口で佐藤がそんなこと言ってた気がする。


「あれ、モモンガだったのか」

 てっきりリスかネズミだと思っていた。


 レース場にはカートが2台並んでいる。

 片方には黒いきぐるみが乗っている。コイツと勝負して勝てばいいということか。

 

 車ともバイクとも違う、トットットッという軽快なエンジン音が二つ響いている。車と同じようなライトが四つ道を照らしていた。

 すでに準備はできているということだろう。

 あとは誰かがカートに乗ればゲーム開始となる。


「誰が行く?」

 またこの問題だ。

 今回は信二の宣言のせいで一番手はまだアトラクションに乗っていない中から選ばれる。

 どうする。もし杏奈が選ばれたら。

 もし彩が選ばれたときは、おれはどうするだろう。

 だけど「俺が行く」と中村が手を上げた。

 正直に意外だった。

 コイツは屁理屈を捏ねて最後までやりたがらないと思っていたからだ。


「いいのか中村。俺がさっきあんなこと言ったから……」

「いや、お前の言うことは正しい。お前らだけに何度も危ない橋を渡らせるのは不公平だからな」

 もっともらしいことを言う。だが、だったらなぜ今まで一番手をやらなかったんだ。


「あいつ、バイクの免許もってんのよ」

 と岡本さんが俺に耳打ちしてきた。

 そういうことか。

 少しでも自分に有利なところで一番手をやっておきたいと考えたのか。

 しかも今回もルールはシンプルでわかりやすい。

 道中になにかトリックがあるかもしれないが、前回信二が一番手で無事だという実績を残した後なので少しは希望が持てる。

 なんだか卑怯な気がしなくもないが、それでもゴーカートを杏奈や彩がやるっていうのよりはマシだ。男女差別なんてするつもりはないが、運転が得意なやつがやった方がいいのは間違いない。

 

「吉田もそれでいいか?」と信二が聞く。

「ああ、いい。それでいい」と吉田が慌てたように答える。

 自分になるかもしれないと恐怖に怯えていたところだろう。

 少しでも生き延びられたとホッとしているかもしれない。


 それもそうだ。

 残りのアトラクションは最低一つはあるとしても、これと次で終わりの可能性だってあるのだ。

 後2回のアトラクションだとすれば、一人ずつ参加していけば、アトラクションに参加せずにこのゲームを終えられる可能性だってある。

 その場合は杏奈と彩の女子二人が先にアトラクションに参加することになるわけだが……まあ彼を責めるのは流石に酷か。

 

「じゃあ行ってくる。もし、何かに気づいたらすぐに教えてくれ」

 中村は俺の方にも視線を送りながら言った。

 先程のメリーゴーラウンドでの俺の活躍を見てのことだと思うが、あれはたまたまだ。

 あまり俺に期待してもらっても困るが、今それを言うのは流石に野暮すぎる。


「わかった。しっかり見ておく。お前も気をつけろよ」

 と俺は答えた。

 俺は彩に告白したやつだと言うからなんとなく勝手に嫌な奴認定していたが、打算があったにせよ、吉田よりは根性を見せてくれた中村に少しだけ好感をもった。

 気をつけろといったのは本心だ。

 頼む。無事に戻ってきてくれ。


 中村がカートに乗り込む。

 多分カラダを固定するなにかシートベルトみたいなのもあるのだろう。

 色々と触って確認していた。

「操作方法は大丈夫そうか?」と信二が声をかけた。

「大丈夫だ。俺車の運転もしたことあるんだよ。それに比べりゃ簡単だ!」

 と中村が答えた。


 あいつ車まで運転できるのか。

 そりゃあここで一番手をやっておきたいと思うわけだ。

 中村の準備が整うのを待っていたのかしばらくしてから柵が閉じられた。

 5つのランプが点灯した。

 5,4,3,2,1,0

 ランプが消えてスタートの合図とともに二つのカートが軽い音を立てて発進した。


 まず先に出たのは中村だ。というより、黒いきぐるみのほうはやる気が無いのかスピードを全然出さない。

 なにかの罠か。それとも難易度が低いアトラクションなのか。

 わからないが、中村が先に最初のコーナーへと消えていった。


 中村の運転はうまかった。

 うまくアクセルとブレーキを操作しているのがわかる。

 コーナーで減速し、ストレートでスピードを出す。

 一方黒いきぐるみはコーナーもストレートもほぼ同じスピードで、まるでゲーセンのおもちゃのカートのようなおかしな動き方だった。

 

 俺達の目の前を中村のカートが先に通る。

 俺たちは声援を送る。

 そして、減速し、コーナーをきれいに曲がった後、一番長いストレートへ入った。

 ここで差をつければもうゴールまで抜かれる心配はないだろう。


 ただここは途中に小さなシケイン〈小さなカーブ。長いストレートでスピードが出すぎるのを防ぐために設置される〉があるのでそれだけは注意が必要だ。

 まあ中村ならうまくこなすはずだろう。

 中村は思いっきり加速していく。

 そろそろ減速しないと。

 だが、中村は加速をやめない。


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