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気まぐれ美人は理不尽です  作者: ヨムヨムくん*
3/5

3−姉(現実)と姉(理想)なら?

ちょっと遅くなりましたが……


「あ、あ、あ、姉上―――んぐっ!?」

思わず叫びそうになり、すかさず口をふさがれる。

モガモガと動くとキッと睨まれ、背筋が何故か伸びる。

これは、決して、姉上が怖いとかではない。うん、そういうことにしてくれっ!

 冷や汗をタラタラ流す俺に気づかず、彼女が不思議そうに姉上に話しかける。俺は見ていることしかできない。


「アー、お姉さんは彼と知り合いでしょうか?」


いや、お前が誰だよっ!!!……失礼、女の子にお前とか言ってはいけませんでしたねー。

で、キミ誰?俺との初対面のとき、そんな言葉遣いじゃなかったよね?ね、おかしくない?

いや流石にいつもあの喋り方っていうのも変だけど、なんで!?

なんで俺のときと違うの!?

 口をふさがれているので思いっきり睨むと、彼女はキミとの出会いは特殊だったからナ、と言った。


(まぁ、確かに?あれは、すごく印象的でしたもんね。第一印象は最悪だしな!)


誰のせいだよ、と恨めしげに彼女を見ていると。

姉上がふ〜ん、と言いながら彼女と俺を眺めてくる。な、なんだよ、その目は!ニマニマすんな!

姉上の手を振り払いながら、意味深な姉上の目から目をそらす。


「ごめんなさいね、突然。愚弟が美人さんといることに、驚いちゃって。私は星川 七海よ。」


そこの愚弟の姉です、と続ける姉上。だぁれが愚弟じゃ、ボケェエエエエっっ!と言えたらどれだけスッキリするだろう。でも言えないのだ。我らが姉上は強すぎる。

 姉上がくるりと、彼女から俺の方に向きを変え、声を潜めてきた。


「愚弟、誠実に付き合いなさいよ。こんな美少女、滅多にいないから」

「余計なお世話だ!しかも、俺まだ彼女の名前知らないし」

「嘘でしょう!?ナンパとかありえないんだけど」

「……。姉上?俺のこと何だと思ってるんですか?俺がそんなことできると?」

「あ……ごめん。でも、どうやって知り合ったのよ?」

「えーっと、その」


「アノー、星川七海さん。注文良いですか?」


ナイスタイミング!困っている俺に助け舟を出してくれた彼女、神!

彼女との出会いをどう表したら良いのか、分からなかったのでとても助かった。

いや、だって、正直に言えないじゃん?彼女に冤罪かけられて、飛び蹴りされましたとかさ。


「あっ!ごめんなさい、本当に。どうぞ、大丈夫です」

「えぇっと、じゃあ―――キミからどうぞ」

「ぅえっ!?あ、あぁ、俺はコーヒーとこのケーキで―――っ!!」

ハッ!俺のケーキを注文している場合じゃない!

そうだった。俺はあの、伝説をするんだった!

いよっし!姉上相手に恥ずかしいけど、漢を見せるためなら致し方ない。


「なんか苦手なものはある?」


まずは、相手の好み!嫌いなものを頼んでも意味ないからね。


「特にないガ――じゃなくて、ないけれど……あ、でも、ここらへんは好きじゃないです」


ふむ、タルト系か。俺も嫌い。

じゃあ次は、好きなものを!


「食べたいものとか、好きなもの、ある?」

「好きなものは……このケーキとかここらへんのケーキとか、このパフェとか、このクッキーとか……」



彼女がメニューを指さして教えてくれたが……。


(バラッバラだな……。これじゃ無理じゃねーか!伝説のあれがぁあああああああああああ!!!俺の漢が……)


まぁ、いっか。安上がりだし?姉上にすると、からかわれそうだし?

そう思い直し、彼女に好きなだけ頼んでいいよ、というと。


「じゃあ、これとこれとそれと、あ、あれとあそこの…そう、そのパフェと、これかなぁ……」


めっちゃ頼むなっ!?

安上がりって言えば、安上がりだけど、これは普通に高いぞ…?

それなりにお小遣いは貯めてきたし、別に高くたって、お金を使うときは殆ど無いので大丈夫だ。悲しきことに、誰も誘ってくれないので。

だが、好きなだけ頼んでいいよと言われても、普通遠慮する気がする。

まあ、俺が言ったことなので、今更どうにもできないし、美人に奢るのは大歓迎なのでいいが。

考えるのをやめ、彼女らを眺める。

 今は、注文を確かめているのか、彼女が指さしたものを、呪文のように姉上が読み上げている。


(真面目にやってんだな。姉上のことだから、()()上手くいってないのかと思ってたわ)


楽しそうな彼女と、姉上を見ながらそんなことを思った。

***

良く舌を噛まないな、と感心しているとそれも終わったようで、姉上が早足で去っていく。

姉上を見送ってから、彼女が可憐な口を開いた。


「ひとまず自己紹介ダナ。ぐ・て・い・さん?」

「ぐっ!?」


ついに!彼女の情報を知れるゼイ金!っとアホなテンションになっていた俺は、突然の流し目に胸を撃ち抜かれる。最強だろ、美人の流し目って。

 俺はMではないが、彼女になら愚弟って言われたい。マジ、姉になって欲しい。

弟にしてください、って言おうかな。でも嫌われたらイヤだしな。

うちの姉とは大違いだ。きっと優しくて―――優しい?彼女が?姉になったら?

突然飛び蹴りしてきたり、冤罪で人の顔面を掴んだり、喝上げする人が?

……やっぱり、姉はいいかな…?


そんなふうに悩む俺を、彼女は楽しように見ながら自己紹介を始める。


「まずワタシから良いカ?

 ワタシの名は―――





主人公の容姿と、彼女が誰かは次回!

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