2ー厄介事は続くのか?
こんにちは、またはこんばんわです。
楽しく読んでいただけたら嬉しいです。
主人公をどういう外見にしようか迷っています。
どうしよう。
カフェまでゆっくりと歩く。勿論俺は、彼女の3歩後ろぐらいを。
彼女の選んだカフェは路地裏から出てすぐのところにあるそうだ。
「よく知ってるな」
彼女が迷わずにそのカフェへと向かっているので、疑問に思って聞いてみる。
(やっぱカフェとかは、行きなれてんのか?俺はあんまり行く人いなかったからなー…はぁ)
自分で思って、自分で悲しくなったので彼女の答えの方に意識を向ける。
「いや?ワタシも知らなかったゾ?」
彼女はちらりとこちらを振り返って答える。
自信満々な答えだが、知らなかったのならどうしてカフェがあると、分かったのだろう。
そう聞いてみると、
「フッ。気になるカ?」
(あ、うざい)
ちょっとムカッてきたが、ここは『大人の余裕』を見せなければ。
ものすごく気になってます!という表情を作り、コクコクと頷く。
「気になるカ?やっぱりカ?フッフッフッ、教えてやろうカ?」
(早くしろよっ!何この子、めっちゃムカつく)
後ろ歩きのまま器用にクルクルと回りながら、彼女は答える。答えといえるかは不明だが。
顔の筋肉が引きつりそうになった。
俺の持ちうる『大人の余裕』を総動員して笑顔を作る。
にっこりと、優しく笑って言うんだ!教えて下さい、と。
キレるなよ、キレるなよ、俺……。
深呼吸をして心を落ち着かせ、いざ、と思っていたら。
「何してるんダ?その笑顔はキモいゾ」
(うるっせぇんだよ、人が我慢してやってるのに。それはないだろっ!笑顔は仕方ないだろ!)
ちょっとブチギレそうな俺。もう俺には『大人の余裕』なんて残ってなかった。
でも、彼女に疑問を投げかけたのは俺なので、ここで投げ出すわけにはいかず、唇をかみしめてカッコつける。
……全然カッコよくないのは分かってるってっ!
「ごめん、ごめん。それはそうと、答えを教えてくれよ(前髪かき上げながら)」
「……オエッ」
わざわざ、ご丁寧にえずくふりまでしてくれた。
ドサっと、ズボンが汚れることを危惧する間もなく崩れおちる。
(俺のメンタルは豆腐のメンタルなんだよ!ちょっとは気遣えよ。確かにあれはキモいかもしれないけど、
その反応は傷つく)
そんな俺を見て、流石に可哀想になったのか彼女は立ち止まって、手を差し出す。
「ン」
「あー、ありがとうございます……」
絵面的に女の子に助けてもらうのは、ダサいなと思うが、元はと言えば彼女のせいなのだから。うん。
気にしたら負けだ。
遠慮なく手を乘せることにした。
と。
「何してんダ、財布ダヨ、財布。ワタシのナイからナ」
―――喝上げでした―――
悲しくて、虚しくて、なんで俺こんなに振り回されてるんだろうと、俺は床を見つめながら思う。
ああ、美少女ってこわいわ……。
「じょ、冗談ダ。す、少しからかっただけダ!」
焦ったような彼女の声。
女の子に心配かけるなんて、と思い直し立ち上がる。ズボンに付いた汚れを払い、彼女を見る。
そして、
「ぜっっっっったい、冗談じゃなかったよねっ!?」
と涙目で叫んだ。
***
一言文句を言ってスッキリしたので仲直りをする。
「俺は悪くないけど、一応ごめん」
「ワタシも悪くないガ、すまない」
よし!仲直り成功!ムカつくけど……。
握手を求めて手を差し出すが、
「手を拭いたら、握手しても良いゾ?」
と言われてしまった。
悲しくなったが、彼女と出会ってから、悲しいこと以外が殆どなかったので、慣れた…はず。
「そうそう、ワタシがカフェに気づいたのはダナ、ズバリ、匂いだ!フフン」
どーでも良いわぁ!!!
俺はなんでこんなくだらないことを気になっていたのだろう。心底どーでも良い。時間の無駄だったかもしれない。
でも、また後ろ向きに歩きながら、ニッと、目を細めて笑い、Vサインをする美少女。
それを見ていると、
(まぁ、彼女のかわいい笑顔が見れたからいいかな)
と思ってしまうのだった。
そのままカフェへ向かって彼女と歩く。というより、彼女のあとに付いていく。
水溜りに反射して、太陽の光が辺りを淡く照らす。
そして、そこを弾むように歩く美少女。
う〜ん、眼福、眼福。特に栗色の髪がキラキラと、光っていてとても神々しい。
太陽に感謝を!!!
そうやって俺がアホな事を考えているうちに、カフェの前まで来ていたようだ。
カフェは茶色を基調とした、落ち着いた外観だった。しかし、地味すぎてもいない。
ところどころ、アクアマリンのアクセントが入っていて、おしゃれだった。
「ここダ。フッ!ワタシの嗅覚はすごいだろ!」
あ〜すごいすごい。偉い偉い、と彼女を適当に褒め、店の中へ促す。
カランコロン
ドアを、俺が紳士を気取って開けてやると、ドアベルが心地良い音をたてる。
同時にふわっと柔らかく、甘い匂いが広がった。
(ここは天国か!?久しぶりだな、カフェって)
「いらっしゃいませ!」
制服を着た店員さんに迎えられ、俺たちは窓際の席に座った。
店内は客で賑わっており、それだけでこのカフェが人気なのが分かった。
「ご注文が決まり次第、お知らせください」
どうぞごゆっくり、と微笑んで去っていく店員さん。
慣れずに、ぽわぽわとしていると、彼女が話しかけてきた。
「オイ。どれにするカ、決まったのカ?せっかくなら、2人で分けないカ?」
彼女は喜色満面で、聞いてくる。こういうところは可愛いのにな。
「いいね。すみませーん」
漢を見せようと、店員さんを呼ぶ俺。
ここから、伝説のあの、『ここからここまで、全部一個ずつください』をやるのだ!
ふっふっふ。彼女には情けない姿しか見せてなかったが、ここで、名誉挽回できるのでは?
いや、できるできないではなく、してみせる!
と決意したとき、店員さんがやってきた。
「ご注文はお決まりで―――はあっ!?ぶふっ、ふはっ、ふっ…」
……なんだろう。聞き間違いかな、この声。
恐る恐る、店員さんを見上げると―――そこにいたのは姉だった。
姉です!