1ー美少女との出会いは破滅の始まり?
はじめましてこんにちは、またはこんばんわです。
初めての作品で、思いつきで始めました。
かなりゆっくり投稿するかもしれませんが、完結目指して頑張ります!
アドバイスとかあればお願いします。
「ねぇ、キミぃ、ワタシのことバカにしてんノ?…気づかないとでモ?」
振り返る間もなく手が伸びてきて、顔面を掴まれた。
「っ!・・・ぐっ・・・だれっ…だ?」
「オイ、だぁれが喋って良いってイッタ」
メキメキメキと音がしそうなぐらい強い力で、握りつぶしにかかってくる。
「っっっっっっ!?」(俺の顔がぁあああああああ)
本能的に足を蹴り上げて、距離を取る。
雨上がりの昼下がり。
俺の自慢の顔がぁっ!っと、特に自慢でもなんでもない顔を撫でながら、俺は相手をうかがう。
(路地裏のめったに人の通らないこんな場所に…いったい誰だ?……何の用だ)
廃棄ビルの窓ガラスに太陽の光が反射し、少女を照らす。
少女は、世間一般では美少女に分類される顔をしていた。栗色の髪の毛が腰のあたりで揺れている。
目はパッチリと大きく、髪と同じ栗色。全体的に整った、日本人離れした顔立ちをしている。
頬は若干赤みが差しており、身長は高め。黒のロングコートを着ていて、同じく黒のスーツ。
ブーツを履いている足がズボンのスリットから覗いている。黒に赤のネクタイが映えていて、悪魔のような危険な美人という感じがする。
「…美人のくせに悪魔かよ…」
思わず漏れてしまった言葉に自分でびっくりする。今まで誰かを美しいと思ったことはなかったからだ。
悪魔のような彼女は、呆けている自分に向かって―――!?
―――飛んだ。
「はぁぁぁあっ!」という威勢の良い掛け声とともに。
そのまま彼女は俺に向かって飛び蹴りをくらわした。
美人の飛び蹴り。くらわなくてどうする。
受け身を取る間もなく倒れる俺。
そのまま彼女は俺が倒れたのを良いことに、馬乗りになって胸ぐらを掴んだ。
「悪魔とは何ダ?オイ」
(なんであんな小声が聞こえんだよぉ……)
自分の運の悪さを呪いたくなったが、今は現状の方が大事だ。
「あー、悪魔のように魅惑的な美人だなーと、いうことでして…」
必死に言い訳を練り出してみたが、流石にこれは無理があるかもしれない。
俺を信じてくれ。という気持ちを込めて、彼女の栗色の目を見つめる。
(あぁ〜〜!俺の人生ここで終わるかもっ!やばいやばいやばい。頼む騙されてくれ!俺の寿命のために!)
「ム?そうだったのカ。フッ、それなら仕方ないナ。」
バサリと肩にかかった髪を払い、頬を赤らめる彼女。
俺、思っちった。ちょっとばかし思っちった。
(こいつ、ちょれぇえええええええええええええええっっ!)
って。これ以上はやめよう。せっかく助かった寿命を危険に晒したくはない。
それより、この状況。
なんで俺、美人に押し倒されてんの?
役得だけどなんか違う。こう、できるならもっときれいなところで、押し倒されたいと思う。路上じゃなくて、水溜りの近くじゃなくて、汚れてないとこで。
(なんか最初、馬鹿にしてんの?とか言ってきたけど…初対面だよね?え?これ、普通に考えて、喧嘩売ってるよね?実際飛び蹴りしてきたもんね?意味わからないんだが)
よし、こうなったら聞こう。勇気を出せ、俺はやればできる、かっこいい漢!
ギロリ
目があった途端に、睨まれた。
「あのー、ワタクシめに、なにか用でございますでしょうか?」
(やべぇっ、めっちゃ緊張してクソだせー言葉使いに…なんかおかしいし)
しくじってしまったがしょうがない。
「キミがワタシの財布をスッたんダロ?」
ものすごい目力とともに彼女が答える。美人の目力こえぇっ!じゃなくって、ちょっと待ってほしい。
聞きづてならない言葉を拾ってしまった。
「はぁ?スリ?俺が?いやいやいや!ないない!俺、無実って!!!」
冤罪だ。全否定させて欲しい。彼女は本気で俺だと思っているようだからヤバい。
このままいくと、警察に引き渡される前に彼女に殺される。
「誤解だ!そもそも俺にスリなんてできると思うか!?俺、めっちゃヘタレだぞ!?」
プライドをかなぐり捨てて俺は叫ぶ。もう、かっこいい漢の姿はなかった。いや、最初っからだけどよ。
そんな俺の姿を見て、彼女も分かってくれたようだ。
「ソレは…確かにそうダナ。お前にワタシの財布はスれないナ」
なぜか、小馬鹿にした目で見てくる。俺、『キミ』から『お前』に下がっちゃったよ。
どうしてだろう。誤解が解けたはずなのに、嬉しいはずなのに、めっちゃ悲しい。
ねぇ、やめてよ。
その目。
俺、泣くよ。
***
俺の目に涙が浮かびそうになった頃、彼女はようやく俺の上から降りてくれた。
「すまなかったナ、痛くなかったカ?」
「ふっ。あれぐらい、どうってこともないさ。まるで羽のように―ぐはぁっ!」
かっこよく決めてみたのに、なぜか蹴られた。普通に痛い。しかも鳩尾。
涙目になって睨むと、
「お前がやっても可愛くナイゾ?」
と容赦ない。俺、そういうつもりじゃなかったんだが。
立ち話も何だし、ということで路地裏から出て、近くのカフェに寄ることにした。
その流れで、お互いに自己紹介でもすることになった。
(いやー、美人の知り合いができるかも!ふっふっふ)
と良からぬことを考えていた俺は、彼女に頭を叩かれてしまった。解せぬ、なぜ分かった。