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あずきとおはぎと月の女王  作者: 皇 瑠奈
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第25話 姉妹喧嘩は、ほどほどに

【登場人物】

野咲(のざき)あずき……12歳。小学6年生。日本とイギリスのハーフ。

おはぎ……黒猫。あずきの飼い猫。

ルーナ=リーア……白の月の女王。地球人名:月乃美琴(つきのみこと) 

セレスティア=リーア……黒の月の女王。ルーナの双子の姉。

エディオン=バロウズ……900年前に亡くなっている賢者の霊。あずきの先祖。

 ゴゴゴゴゴゴゴゴ…………。


「何?何の音?」


 あずきは空を見た。

 さっきまで晴れていたのに、空は赤黒く、分厚い雲に覆われている。

 そしてその中を走る稲光(いなびかり)

 生暖かい風が頬を撫でる。 

 

「これは、時空振じゃ。誰かが大規模魔法を使っておる。まさか……」


 ドカーーーーーーーーーーン!!!!!! 


 一瞬、目の前が真っ白になった。

 遥か前方にある黒曜宮に極大の雷が落ちたようだ。

 あずきの周囲にいた人たちも、立ち止まって黒曜宮の方を指さしている。


「ディミティス(解放)」


 あずきは宙に魔法陣を描き、そこから箒を取り出し、(またが)った。

 次の瞬間、あずきの影から黒い物体が飛び出し、箒の柄に飛び乗った。


「おはぎ!!」

「お待たせ」

「あんた、ここまで、どうやって来たの?」

「今の時空震、白の女王さまと、その軍勢だよ。一緒に来たんだ。

 ここまで距離が縮まれば、使い魔のスキルとして、ご主人の影に

 移動出来るからね」

「そっか、なるほど。って、ちょっと待って。軍勢?どういうこと??」

「黒の女王に(とら)えられたあずきちゃんを取り戻しに来たんだけど、

 ……囚えられていないね」


 あずきの顔が見る間に蒼白になる。

 まずい。自分のせいで戦争が始まっちゃう。


「フォルティス ベントゥス(強風)!!」


 あずきは一気に空を飛んだ。



 黒曜宮の中庭は大混乱を極めていた。

 視界を遮るほど土煙がもうもうと立ち上る中、

 白光と黒光が激しく入り交じる。 

 

 白いドレスを着た白の女王と、黒いドレスを着た黒の女王が

 互いに魔法を放ちながら中庭を滑空する。

 周囲で戦っている一般兵のことなど、まるで眼中に入っていない。


「お姉さまはいつだってそう!!

 わたしのやることなすこと、全否定する!!

 どうして認めてくれないのよ!!」

「あんたが考えなしだからでしょ!!

 わたしがどれだけ懇切丁寧に教えてあげても、耳一つ貸さないじゃない!!

 そのお陰で、どれだけわたしが迷惑を被ったか分かる??

 いつだって、わたしが火消ししてきたんじゃないの!!

 あんたが妹じゃなかったら、とっくに縁を切ってたわよ!!」

「お姉さん風、吹かさないで!!」

「この分からず屋!!!!」


「やめて~~~~~~~~!!!!」


 箒に乗ったあずきが、黒曜宮で戦闘中の両軍の中に突っ込む。

 その瞬間、目の前で戦っていた白い鎧の兵士と黒い鎧の兵士の剣が、

 互いの腹部に突き刺さる。


「ダメ!!ダメ!!『サニターテム(治癒)!!』効かない??なんで!!!!」


 あずきは両方の兵隊に向かって短杖(ウォンド)を振る。

 確かに癒やしの波動が出ているにも関わらず、治癒出来ない。 

 涙が出てくる。


「死んじゃダメ~~~~~~!!!!」


 ところが。

 お互いを支え合うようにしゃがみ込んだ白黒の兵隊が同時にあずきを見て、

 右手の人差し指を立て、口に当てる。

 意味は『静かに』だ。

 涙でグシャグシャな顔をしていたあずきの動きが止まる。


 二人の兵隊が、周囲に見られないよう、お互いの剣をスっと引いて、

 あずきに見せる。

 そして、口に当てていた人差し指で剣先を押した。

 

 カション、カション。


 剣先が引っ込む。

 外見は本物でも、中身はオモチャ屋に置いてある、嘘の剣だ。


 あずきの口があんぐり開く。

 そんなあずきの顔を見て、汗と埃にまみれた二人の兵隊が苦笑する。

 白の兵隊が口を開く。


「あずきさん、これは『対人戦闘用C装備』という、ダミー武器なんです。

 両軍ともこれを携帯していて、命令があると即座に切り替えるんです」

「なんでそんなもの……」

「100年に一度、姉妹喧嘩が起きるんです。その為の装備ですよ。

 だからお嬢さん、きっかけはあなたかもしれないが、周期を考えると、

 起こるべくして起こったことだ。あなたが責任を感じる必要は無い」


 黒の兵隊が苦笑いして答える。

 あずきはそれを聞いて、その場でへたり込んだ。


「でもさ、兵隊さんたちは、そうかもしれないけど、女王様たちは

 どうするの?放置?」


 おはぎがあずきに近寄る。


「あれは放っておいていいよ。そのうち気が晴れて宮殿に引っ込むから」

「割って入ったら、かえって命が危ない。やり過ごすのが一番だよ」


 白黒の兵隊が揃って笑う。

 あずきは肩を落として、そこを離れた。

 あずきは周囲を見回した。

 倒れている兵隊が多数いるが、よく見ると、嘘寝している。

 まるで、サバイバルゲームで撃たれた人が、地面に横たわって

 ゲームが終わるのを待っているみたいだ。

 馬鹿馬鹿しい。

 心配して損しちゃった。


 そのとき。


 ドォォォォォォォォォォォオォォォォン!!!!!!!!!


 白と黒の光が一際激しく光った。


 あずきがびっくりして空を見ると、そこに、二匹の龍がいた。

 西洋の、羽の生えたアレでは無い。

 東洋の、体の長いアレだ。 

 全長500メートルはありそうな巨大な二匹の龍が空を舞っている。

 パールのような光る鱗を持つ龍と、漆黒のキラキラ光る鱗を持つ龍だ。  

 お互いに、口から強力な稲光を放って攻撃し合っている。

 あまりに衝撃的な光景に、あずきの目が大きく見開かれる。 


「……あれ、何?」

「あれは女王たちじゃ。久々じゃな、あの姿になったのは。

 さすがにアレは、まずいぞ。

 あの状態で長いこと暴れられると、月に施された認識阻害魔法が解けて、

 地球側に感知されかねない。早いとこ、元の姿に戻さんと」


 あずきの胸のペンダントから賢者の声がする。


「どうすればいい?」

「止めるしかなかろう。あずき、ペンダントに同期せい。わしが導く」

「分かった」


 あずきは胸のペンダント、ブルームーンストーンを握りしめ、

 意識を中にダイブさせた。


 暗闇の中、あずきの前に、灰色のローブを着た賢者が立っていた。


「こっちじゃ。着いてきなさい」


 杖の中の空間と似ている。 

 おそらく、この中でどれだけ時間を費やしても、外に出ると一瞬の

 時間しか経っていないだろう。

 でも、心が()いて仕方が無い。


 程なく、ある物体の前に着いた。

 パっと見、石で出来ているようだ。

 差し渡し、1メートルはあるだろうか。

 その形はまるで……。


「タマゴ?」

「手を当てて、魔力を注ぎ込むのじゃ」


 あずきはタマゴに手を当て、火、水、風、土、光の、

 5種類の魔力を注ぎ込む。 


 ゴトリ。


 中で何かが動く感じがある。

 まるで、差し込んだカギによって、シリンダー錠の中身のピンが

 一個ずつ動いて、解錠されていくようだ。

 だが何かが足りず、開くまでいかない。

 

「ダメか……」

「え?何?これ、何なの?」

「見ての通り、タマゴなのじゃが、わしも目覚めさせることは

 出来なかった。あずきならもしやと思ったが、やはりダメか」

「中に何が入っているの?」

「さぁ」

「さぁって……」

「わしも開けられなかったからの。

 ルーナ=リーアから聞いた話では、この中には、

 とてつもないモノが入っているそうじゃ。

 それこそが、『ホワイトファング』の正体なのじゃが」

「あ、ただの中二病的ネーミングじゃなかったのね」

「怒るぞ!!」

「で、どうするのよ」

「と言われても、何が足りないのか……。

 そうか!!足りないのは属性か!!

 わしも持っておらんかった。だからじゃ。

 あずき、黒曜宮へ行くぞ。わしの読みが正しければ、そこに

 カギがある。出るぞ」


 あずきの精神が体に戻る。

 上空では暗雲が立ち込め、その中で稲光が激しく光っている。

 周囲の兵隊たちも、戦闘を止め、皆、空を見上げている。


 あずきは走って、門に行った。

 安々と開く。

 使用人も全て中庭の様子を見に行っているのか、邪魔する者は

 誰もいない。


 中に入ると、見知った感じがする。

 そっか。調度品は違うけど、白虹宮と黒曜宮で作りが同じなんだ。

 大階段のある広間に辿り着く。


「階段の裏じゃ!!」

「階段の裏?」


 白虹宮でそこにあったのは、白の女王の像だった。

 ということは……。

 あずきは走って階段の裏に着いた。


「あった!!」


 黒の女王の像がそこにあった。

 あずきは像の前にひざまずき、像の膝のあたりを触った。

 

 ダイブ!!


 あずきは意識を女神の像の中に送り込んだ。

どうでもいい話なんですけど。

『ルーナ=リーア』のルナリア王国と、

『セレスティア=リーア』のセレスティアリア王国って、

なんか音感が綺麗だと思いません?


属性が足りなかったあずきは、黒の女王の像にダイブします。

あと一つ、無事入手して、あずきは姉妹喧嘩を無事止められるのでしょうか。


次回も乞うご期待♪

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