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花月
夢想の世界
黒く細長い月が
昼の世界にかかっている
下界は雨
雲の上に
黒く細長い月がかかっていることを
誰も知らない
はらり はらり
花びらを黒い兎が下界に散らす
白い兎は黙ってそれを見守る
ひらり ひらり
はらり はらり
様々な色の花弁たちが黒い兎の手から
放たれ
下界へと
雨となって落ちて行く
「あのさー」
と白い兎がふと呟く様に言う
黒い兎は
まだ花びらたちを降らしている
「僕たちの存在って、何なんだろうね」
はらり はらり
「ねえ、聞いてるのかい?」
「聞いているともさ」
黒い兎は静かに返事をする
下界は雨
それもすごい雨だった
「僕たちは、ひどい事をしているんじゃ……」
白い兎のルビーの様な瞳が揺れる
「人の世は、儚い」
黒い兎は花びらたちを降らす手を止めた
そして
一枚の真っ赤な花びらを手に
それを弄ぶ
「僕たちの存在も儚い」
「だから?」
黒く細長い月の上で
二匹は見つめ合う
黒い兎の真っ青の瞳には
憐れむ色さえ浮かんでいない
「僕たちは、僕たち。そして」
白い兎は
ハッと下界を見た
「これもまた、世の理、なのさ」
黒く細長い月の上で
二匹は静かに
静かに
下界を見下ろしている
下界は、ひどい雨
雲の上で
薔薇色の空を背景に
黒く細長い月は
そこに存在していた
これは或る昼の出来事……
訳が分からないながらも、お読みくださりありがとうございました……




