耐える心
俺たちが出撃しようとしているなか、滝は悩んでいた
「くそっ…俺の力が使えりゃあいつらは…!!」
滝は苛立ちのあまり、司令官に通信をした
「司令官!司令官!」
「なんだ、滝 すまないが、今お前の相手をしている暇h」
『司令官!俺も出撃します!』
思った通り、とした顔で司令官は却下した
「ダメだ」
滝は苛立ちを抑えられない
『なぜです!?俺に化けて、あいつらを倒そうとしたのに!』
〈挿絵〉
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怒りのあまり、体が震えている滝
「…今の状態で、敵を倒すのは不十分すぎる お前がやられるぞ」
『!!』
「それに、後退した気持ちは分からないでもない 今は…悔しいだろうが、堪えるんだ 」
『司令官…!』
「陽仁たちを、信じろ お前は十分、戦ってきたではないか」
滝は今にも怒りで泣きそうな表情だった
『ぐっ… 』
「陽仁たちは君の事を深く、信頼している 大丈夫だよ あの子たちなら」
『… あっ!陽仁たちが!!』
「なに!?」
話している途中に、俺たちは司令官の部屋に入った
「司令官!!俺たちの敵が判明しました!!すぐ向かいます!!」
「敵のアジトの居場所は分かっている」
司令官はふと下のモニター画面を見やる
(大丈夫だよ)、と滝に安堵の顔をして
「前のカルテー二のいた場所だ」
「なら、俺が案内します」
「純さん!」
「戦ってこい」
そうして、俺たち、純さん、しぐれと共にアジトへテレポートで向かった
『みんな!!』
その様子をタブレットで見ていた滝
「…大丈夫だと、言っただろう? 」
『司令官…分かってる…行っても無駄なんだよな…』
「堪えるのも、仕事だぞ、滝」
滝は部屋で1人、能力の制御に必死に耐えていた
「…俺は…やめたんだ…戦うことを…」
(俺は、今やれるべきことをするんだ)
俺たちはアジトに着いた
「ここだ」
純はあたりを見渡す
とても薄暗い、洞窟の中のようだった
「…前きた時と違うな こんな洞窟はなかった」
ひた…ひた…と足音がやけに響く
「あ、明かりが見えた!」
俺が見た光景は、智嬉、翔がガラスの中に閉じ込められていた
「智嬉さん!!」
「翔!!」
俺としぐれは叫んだ
そして、純は…
「智嬉…お前…」
「来るな!!くそっ こんな縄俺1人で…!」
「待ってろ!!」
智嬉と翔は、縛られていた
その時だった
「…どうかね?仲間たちが縛られているさまは 」
ククっと笑う敵
「…お前は誰だ」
マイヤンは首を傾げ、
「おや?君には話していなかったかな?まあいい、私はマイヤン、 私はどんな姿にでも変えられる能力を持っている 」
白い髪、長髪、純より大きい背丈、強いエネルギーを感じる…
「滝さんの分まで戦うって決めた… 俺は、負けない!!」
三節棍を取り出す
「ああ、あいつは蒼山家の あともう一押しで殺せたのに…惜しいことをした」
カツン、カツンと靴を鳴らし、こちらに近づいてくる
「滝を傷つけた罪はでかいぞ こいつを倒さなきゃ意味がねえ」
「純さん…」
純は俺に小声で話す
「まだ、あの時のこと、許しちゃいねえんだぞ いくら仲間でもな」
俺は敵に寝返り打っていた時のことを思い出した
「… 承知しています だから、守るために戦いましょう」
「…お前、本当にリーダーに向いてるよ」
俺たちは智嬉さんたちを背中に、敵に向かう
一緒にきたしぐれは、ガラスを割ろうとしていた
「させるか!!」
マイヤンはしぐれに攻撃をしかけた
「純さん!!」
「挟み撃ちだ!!」
純さんの雷拳と、俺の三節斬が同時にマイヤンにぶつかった
「はあああ!!!」
「やったか!?」
純はその瞬間、目を丸くした
「……!!?」
その姿は、滝だった
「な、…滝…!?」
純は後ずさりした
俺は構わず叫ぶ
「純さん!!偽物ですよ!!」
「…なあ、これでも、殺せるか?俺を」
また、姿を変えたのだ
その光景をタブレットで見ていた滝は地団駄を踏んでいた…
「くそおおお!!!」
ダン!!!
机を激しく拳で強く叩く
「…もう、見てられねえんだよ!!司令官!!」
悲痛な叫びが、部屋をこだました
司令官室では
「マイヤン…貴様…」
司令官も、震えていた