悪夢のはじまり
「荒井純、ただいま、リメンバーズチームに帰還しました」
「うむ、おかえり、純」
「司令官も、おかえりなさい」
司令官は純に背を向けた
「純、なぜ、お前ほどの戦いの腕があるのに敵に手間取った なにがあった」
純はぐっとこらえ、話す
「俺はあの時…幻覚を見せられたんです、滝がやられる幻覚を」
「なに…?」
「そいつは俺に化け、俺は戸惑い、仲間を…呼ぼうとした」
「おとりとして、だな?」
「本気であいつは仲間の誰かを殺そうとした!俺の目の前で!!」
バン!!
純は司令官の机を叩き、叫んだ
「俺を戦意喪失させようとしたんです…あいつは恐ろしい相手だ」
「仲間の誰かになりすまし、おとりを呼び出し殺す… カルテー二一族、どこまで卑怯な!」
「あ、そういや」
「なんだ?」
「敵に出会う前に滝に出会ったんだけど、なにかあったんです?」
「ああ… 」
司令官はしどろもどろになる
(こいつに滝が引退した、なんて言ったらうるさいな…いや、しかし)
「司令官?
「いや、なんでもないよ、君が気にすることはない」
純は司令官の胸ぐらを掴み
「なにがあったんだよ司令官…言えよ」
「さすがは元ヤンキー…手荒な行為だな」
「仲間のピンチにはうるさい性分でね」
「いいから離せ!!」
司令官は純の拳を握り突き放した
「あいつなら、やめたよ」
「やめた!!?」
「引退した お前も、分かっていただろう?あいつの力の限界が」
「…そんな、滝が…」
「本人の了承の上での決断だ 」
「陽仁は!?」
「陽仁なら、道場にいる」
純はすぐさま駆け出そうとしたが、司令官は止めた
「待て!!」
「なんだよ司令官!!」
「純、お前達の戦いは、今度からまた長くなる 純の能力、授けよう また、戦えるように」
「司令官…」
純は司令官の目の前で立ち、司令官の合図を待った
「"我はその者を守る者…彼を守る為に、力を、授けよ…!!"」
そうすると、司令官の手のひらから黄色く光ったオーラが現れた
純の身体はみるみる黄色く光っていった
「凄い…今までにない力… これが…司令官の…」
<挿絵>
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「さあ…滝をまた、守っておくれ」
「はい!!」
純は瞬く間に走り出した
純がいなくなると、司令官はボソリ呟いた
「あいつは将来滝の右腕になるのだからな」
俺は精神統一をする為にいつも道場にいる
すると近くから足音が聞こえた
(…足音?しかも、早い… これは早速あの滝さんに頂いた武器が役に立つ)
「陽仁!!」
「誰だ!!」
2人の声はほぼ、同時だった
俺は純に滝の長い棍棒を向けた
「…おい、なんだその真似は」
「なんだ純さんか、どうしたんだよ」
「お前その武器、滝の」
「これか?ああ、昨日貰った 滝さんが直々に差し出したんだ 能力者施設の見回りに使わせて…」
純は床に手をついた
「……!! 本当にあいつは、やめたのか…」
「純さん? もしかして、知らないの?滝さんがやめたの」
「なんで、なんであいつはやめたんだ…」
「それは能力の限界です 滝さんのブレスレットが、破壊したんです」
純は顔面蒼白だった
「あいつ、なにも言わなかった…ってことは!」
純は陽仁の肩を掴んだ
「あいつ、敵に狙われるぞ!! 」
「どうして?」
俺は首を傾げる
「今まで色んな敵に憎まれてきたからな、力の強さで…」
「純さん」
俺は純の手を握る
「あの人なら必ず連絡しますって、今は自分たちの施設を守らなきゃ!」
「陽仁… お前、リーダーに向いてるよ」
その夜、俺は夢を見た
「滝さん!!滝さん!! 」
「陽仁!!お前は逃げろ!!」
「いやだ!滝さんを置いてなんて!!」
ガバッ!!
俺は夢の途中で目覚めた
怖くなり、両手で腕を掴む
「…… シラーマイヤン、お前が見せているのか、この夢は…」
その時、窓から誰かが覗いているような気配がした