弱気になろうと
畜生、しっかりしろ佐々本陽仁!!俺はこんなに弱かったっけ!?
違うだろ、最初は滝を憎んでいたはずだ!
それが今、滝がいないと駄目だなんて…!!
こんなんじゃ
「こんなんじゃ…司令官失格だな」
俺は気合いを入れ直したくて、自分の頬を強く叩いた
パチン!!
「俺は…司令官なんだから」
その様子を見ていたモニター越しのシルヴァさんはぼそり、呟いていた
「陽仁…やはり、彼には荷が重いのか」
シルヴァさんはとあるファイルを取り出した
「シルヴァ、諦めるには早いよ」
「トヴァース」
スーツ姿のトヴァースが現れた
「大丈夫、ここで新しい仲間を連れてきても彼が動揺するだけだ 俺はやっぱり弱かったのか、ってね。ここは見守ろう 向こうには仲間がまだいるんだから」
「……トヴァース…」
俺がここでもう戦意喪失だなんて、早すぎる!
下から玄関の扉が開く音がした
ちょうど翔、しぐれ、圭介が帰ってきたみたいだ
俺にはこんなに仲間がいるんだから…
「や、やあ、おかえり」
「ん?どうしたんだ?陽仁」
翔がこちらを見た瞬間、たらり、と冷や汗が流れた
「ただいまー、兄貴は無事だった!瞳さんが、頑張ってくれたよ!今日一晩は向こうにいるってさ、いやー、熱いねえ」
圭介はケラケラと笑う
「圭介さん、そんな事言ってる時じゃないでしょ!」
翔がすかさずツッコミを入れる
「いや、悪い悪い、司令官、滝は瞳さんと純が用心棒するから、大丈夫」
「あ、ああ…分かった」
俺は後ろを振り向いた
「…陽仁?」
「しぐれ… 俺は、今、弱い…かな…」
「陽仁、どうしてそんなことを」
しぐれに思わず訪ねた
しぐれは腕組みして
「まだ司令官になって間もないし、やらなきゃいけない事は沢山ある まずは、情報支部に行かないとな」
俺は首を傾げた
「情報支部?なんで?」
「お前が司令官になったってことを知らせないと、まだ、だろ? 」
「ああ!行ってくる!!」
その時、思いもしなかった事が起きるとは、俺は思っていなかった……
情報支部に受付にはまだ、みづきさんがいた
「あら、久しぶりね。司令官就任、おめでとう」
「ありがとうございます!」
「陽仁、あなただけは、強くなってね」
俺は書類を受け取ったあと不思議に思った
「みづきさんがそんな事いうの、珍しいですね」
「 あら、いけない?」
「そういや、智嬉さんを最近見かけませんが、どうしたか分かります?」
「智嬉は…引っ越ししたわ」
「引っ越し!?」
「もう完全に縁を切るのよ、この世界と もう、力が出ないから」
みづきさんは俺にしっかりとした口調で話す
「そっか…」
「私と、籍を入れて、ね」
「え?」
「結婚するの!私たち!」
そう話すみづきさんは華やかな笑顔だった
おめでたい話を聞きつつ、俺も早くそうなりたいと、密かに思っていた
でも、今は
「そう話を聞いたら、敵と戦わなきゃいけないよな」
背後に忍び寄る敵を俺は見逃さなかった
「そこにいるのは分かってんだよ!!」
新施設の庭の草陰からガサガサ音がする
「…くらいやがれ!!」
俺は護身用の銃を1発撃った
「うわっ!!」
「声がしたな」
近くに寄ってみると
「ん?」
「って…」
それは、横たわって全身傷だらけの純さんだった!
「純さん!!? なんでこんな事に!?」
「はやく…逃げ…ろ…」
純さんは苦し紛れに俺の腕を握り話す
「純さん…!!」
「そいつももう一般人か、つまらん 」
近くでエアンの声がした
「この技は…かまいたち!!」
「次は外さない」
エアンの姿がはっきり見えた
「純さんは、死なせない!!」
俺は純さんを瞬間移動で司令官室へ寝かせ、エアンの傍に戻った
「エアン…許さない…!!」
「貴様が相手か、面白い 」
エアンがニヤリと不敵な笑みをした




