強くなれないから
みんなと滝の居場所へ走っている間、俺は待てよ?と考えた
俺はまた、滝の顔を見たら今度こそ「やっぱり君がいなきゃいけないんだ!」とか言ってしまうのではないか?
だったら、俺は司令官室で見守ったほうがいいのでは…
そう思い立ち、しぐれに伝える
「しぐれ!」
「なんだ?陽仁」
「悪い、ちょっと新施設の司令官室が心配だから先にみんなで行っててくれ!」
「滝さんの顔は見なくていいのか?」
しぐれの問いかけに、俺はギクリとした
「いいんだよ!ほら、俺は司令官だし?少しでもみんなを信頼しなくちゃ」
「陽仁… なんだか滝さんを避けてないか?」
俺はしぐれの顔を見た しぐれは心配そうな顔をしていた
「…避けては、いない 大丈夫。 容態がおかしくなったら、通信してくれ それじゃ」
俺は気が変わらない内に、司令官室へ戻った
司令官室ーー
バタン!!
俺は扉を閉めたあと、ハアハア、と息切れを起こしていた
「滝…今は…顔を見たら…強くなれないから…ごめん…」
俺は扉の前にしゃがんで、少し泣いた
するとモニターから反応があった
『辛いだろう? 陽仁』
「あ、あなたは!司令官!? いや、シルヴァさん!?なんで…!」
『滝が心配でね、みんなの探知機から情報を得ていたんだよ 滝の容態は?』
「分かりません、今もうすぐしたら仲間達が帰ってくるかと」
司令官はしばし考え、
『陽仁、どうして滝を避けるんだ そんな決まりは私は言っていないぞ 私も、頼れる人がいない時は、いつも王様、ロダ様を頼りにしていた 1人では限界がある』
俺は顔を俯き
「俺はまだまだ弱いんです。滝の顔を見たらきっと「助けて」と言ってしまう それでは司令官になれません だから」
「だから行かないって言いてえのか?」
扉の前で腕組みしていた人物がいた
「じ、…純さん…!!」
俺とモニターのシルヴァさんと話している最中、まるで聞いていたかのように現れた
「ったく、心配してんのはこっちだよ!お前が来ないから、敵でも現れたのかと思ったぜ?」
「純さん、違うんだ!あの!」
俺は純さんがヤンキーなのを知っているので滝がいないと稀にビクビクしてしまう
「分かってるよ、滝の顔を見たら頼りにしてしまう、って話だろ? 安心しな、滝は瞳の技で傷口はみんな塞いだから」
純さんはニッコリした顔で話す
「よ、良かった…」
「滝…会いたがってたぜ」
「えっ」
悲しそうな表情をして純さんは口を開いた
「陽仁の身体はどうだ、って、瞳が怪我を治している間にずっとそればっかり心配してた 仕方ない奴だよなあ、本当に」
俺は横を向いてしまった
「なあ、陽仁 会わないのか?本当に」
「…俺が司令官でいる間は、なるべく会わないって決めたから」
「…そっか 」
「滝の事は好きだよ それだけは勘違いしないで」
「ははっ、分かってるよ 」
そう言って、純さんは下に降りて行った
「…司令官の精神が弱まっている…今がチャンス、だ」
俺たちの知らない所で影でひっそり、呟いている奴が1人、いた




