最後の力を振り絞り
「俺は…もうとっくに能力の限界がきていた 陽仁、お前も知っているだろう?ブレスレットがひとりでに破壊したのを」
「ああ、知っている」
「だから、もう戦えない なのに、また親父が現れるなんて…」
作戦会議とはこのことだったのだろうか
俺は滝の話を聞きながら考えていた
「なあ、滝 だからだよ」
「え?」
智嬉さんが答える
「お前はもう戦えなくなっただろ?心配で、現れたに違いない 息子だからな」
「ああ、俺もそう考えるね」
「純」
純さんはコーヒーを口にしながら話していた
「安心すればそのうちいなくなるさ」
「しかし」
智嬉さんが口を挟む
「敵がなかなか現れないの、おかしくないか?」
「いや、とっくに現れているのかも、な…俺たちが知らないところで いや、知っていたりしてな」
そうだ いつももう戦いに入っていたりするんだけど今回はやけに静かなのが恐ろしい
俺も密かに感じていた
「なあ、やっぱりキーダさんが敵なのかな」
俺は静かに口を開いた
「司令官なのに俺たちを追い出すなんて、なんか怪しくないか?あいつ」
「今、元上司と司令官が前の能力者施設をくまなく調べている 分かるまで、待機するしかないな」
「…俺は」
滝はみんなの傍から離れようとした
「滝?」
「俺はこの戦いからもう、引退する 陽仁、みんなを…頼んだぞ」
「滝…」
純さんは慌てて滝の側へ寄る
「本気か!?」
「もう戦えない 本気で」
「そういえば、髪も短くなっているな 俺たちには、限界が来ているんだ…」
俺は滝を抱きしめた
「陽仁!?」
「今まで、沢山、世話になった…!ありがとう…!!」
「陽仁… 本気で危なくなったら、呼んでくれ それじゃ」
俺は 滝たちに別れを告げ、俺の仲間たちに号令をかけた
どうやら、キーダさんが怪しいと睨み、もう1度、新施設へ向かった
「なに…?まだ私を疑うのか」
俺は堂々とした態度でキーダさんに立ち向かう
「俺たちは本気であんたのことを敵だと思ってんだよ!!」
「ふ、ふふ… 見損なったぞ 滝をあんなにも庇ったというのに」
「滝は…もう引退した 」
「なに?」
「能力がもう、限界なんだ!!だから、俺たちが守らなきゃならない!!」
キーダさんは再び笑う
「ははっ 滝より弱いお前が? 施設も維持出来なかったお前が守るだと? 笑わせる 見たまえ」
キーダさんはシャッターを開けて窓越しに見える前の施設を見やる
「もう崩壊寸前だ」
「!! そんな…!!」
「まだその力で守れるというのか?」
確かに、外観は崩れてはいなかったがもう限界に近いようだった
「くそっ…早くいこうぜ陽仁!!司令官達もいるんだろ!?」
しぐれが声を荒らげる
「ああ!!」
俺たちは全力で走った
「…守りきれるかな、その能力で」
「あの子たちなら大丈夫だ 」
「貴明」
「絶対に」
ゴゴゴゴ…
建物が崩れていく音が聞こえた
「司令官!!」
中に入ると
「司令官!?大丈夫ですか!?」
司令官は立ち尽くしていた
「陽仁…もう、限界だ… 潰すしかない」
「司令官…そんな…」
「まだ、まだやれます!!」
元上司はリビングへ走った
「陽仁達!!私と共に結界を張れ!!」
「了解!!」
かつては滝も限界を張りながらこの施設を守っていたという
「…無駄な抵抗よ」
キーダはその様子を見てぼそり呟いた




