生きるためならば
「私はずっと君たちが未来へ向かっていることも知っていた こうなることも分かっていた。いつかは能力者施設は消えるだろう と」
能力は本来あってはならないと考える貴明さん 能力者施設はきっと潰したいと考えているだろう
「君たちの活躍のおかげで、近頃敵も1人、2人と段々減ってきている とてもありがたいことだ。 そこで私は思った 本当にこの施設はいるのか、とね」
貴明さんは近くに見える新しい能力者施設をシャッター越しに遠くに眺めた
「なんのためにあんな施設を…腹ただしい 一体誰が」
滝と俺はビクッと一瞬震えた
(おい、滝、言えよ息子だろ!?)
(親父怒ったら怖いんだぞ!!)
(それでもリーダーかよっ!)
と周りに聞こえるか聞こえないかの具合で小声で言い合っていると滝はしばらく考え
「あ、あの、親父…」
「なんだ 滝」
「親父がいなくても大丈夫だよ、俺たちで解決してみせるから」
と滝は冷や汗を掻きながら言った
「本当か? 私達の事、なにも分からんではないか。 まあ、シルヴァから大体聞いてはいるだろうが」
「私?」
「そうだ。私が死んだあと、あらかた説明してくれただろう?きっと。 向こうの世界でも。辻褄はあっているよ。 私は結局。逃げ出したんだ」
根口さんはすかさず言い返す
「そんなことない! 俺たちを守るためにここに移住したんだろ!?」
「考えてみろ…敵が200人はいる中、どう戦えと 私の力を解放すれば あの城は 爆破する」
俺はその話を聞きながらぐっと堪えた
「この施設、結局残していても さっきの私のパワーで敵にやられるのは目に見えている 私は新施設に移動する」
「親父! いいのか!?思い出のある施設を…」
滝が前に身を乗り出した
「君たちを危険に晒したくない 生きれるならなんだってしようじゃないか。 今まで、ここを守ってくれたんだろう? 改めて、ありがとう」
司令官は少し泣いているようだった
「貴明…」
「さあ、私も行こう 新施設へ」
貴明さんの話に寄れば、司令官の兄さんは恐らく貴明さんの姿は見えると言っていた
「キーダに会うのも久しぶりだ。リメンバーズにいた現役だった頃を思い出す」
そして、俺たちは新施設に戻った
「…ただいま」
「おかえり! …っ!!」
瞳さんは俺たちをサラリと見たあと貴明さんに驚いたようだ
「ああ、今そこで貴明に会ったんだ。キーダはいるかな?」
司令官が瞳に一通り説明すると
「分かったわ、ちょうどあとから純も仕事から合流したから。 あらかた話してあるわ ここの状況も」
「分かった」
みんなでぞろぞろリビングまで向かうと、ソファにくつろいでいた純と智嬉さんがいた
「よ、ご苦労さんだな。こんな時間まで」
「純!!」
「滝、私と根口と貴明は一旦司令官室へ向かうから」
「あ、ああ!」
「元々あった施設は結局どうすんだ?」
「それが…」
貴明さんと話し合ったことを純に伝える
「なんだって潰す!?」
「敵に勘づかれて俺たちが死ぬよりマシだ、と」
「ま、まあ…賢い選択だ。俺も能力は殆どない。 ただ気になって来ただけだからな…」
「純、それは本当か」
「ああ、昨夜トレーニングついでに技を出したんだ、もう出ねえよ 俺は引退するね」
智嬉が寂しそうに答えた
「そっか…寂しくなるな」
「あれ?おめえ、俺の事嫌いだったんじゃなかったのか?」
「なあに、眼中にないだけさ」
「なんだって!?」
滝はケラケラ笑う
「まあまあ、じゃあ、心配だから司令官室へ行ってみるよ」
俺もソファから立ち上がった
「滝、俺も行く」
司令官室をふとドアの隙間から覗く
「…なるほど。賢い選択だ。 さすが元リーダー」
「ところで、今のところ敵は」
滝は小さい声でぼやく
「くそっ、こっからじゃ聞こえねえ」
「敵は…あの施設をとっくに狙ったあとのようだった。まだ近くにいるかもしれない。厳重に注意を」
「な、なに!?」
「私が来たあと、司令官室が荒らされていたのだ。 敵しかあるまい」
ドアをそっと閉める
「まずいことになったな…」
「キーダさん、俺たちになんにも言わないで…」
そして、司令官室から貴明さんが出てきた
「お前たちか」
貴明さんはこちらをじーっと見つめていた
「!!」
「親父…」
「予想していた事が起きようとしている 」




