滝の悔しさ
確かに、滝の長い戦いは終わったんだ
智嬉さんや、純さんも、これでいなくなる
けど、俺は…
親父が憎んでいた滝とは、結局和解した
俺もこれで、いいんじゃないか?
「翔…俺がここに来た理由は、みんな怒るかもしれないけど」
「知ってるよ」
「え…?」
「滝さんを殺すこと、でしょ?」
翔は微笑んで話す
「どうしてそれを…」
「しぐれから聞いたんだ。多分いつか、この事で悩むかもしれないって」
「しぐれ…」
気づいていたのか、しぐれは
だから、しぐれは滝を守っていたのか?
「ねえ、陽仁、もう、いいじゃない」
「…翔、俺が本当に守るなら」
話すべきだ 滝に
そして数日後、滝に容態が安定したとの連絡を確認し、俺1人で滝に会いに行った
「どうぞ」
滝の住むアパートへ向かった
「失礼します」
「汚いとこだけど、まあ上がって」
この方の部屋は初めて見る
いつも司令官室にいる彼の、部屋…
なにも置いていない、殺風景な部屋だった
「…滝さんの部屋、初めて見ました」
「ははッ、大きい椅子と、テーブルだけしか置いてねえんだ、 寝室にはベッドは一応あるけどな」
意外と片付けられていて、几帳面な1面を見た
「…で、なんの用だ?ただ俺の顔見に来ただけじゃない、だろ?」
滝がドカりとソファに座ると、
「座りなよ」
滝の隣に、座らせてもらった
「…俺、あなたに、大事なことを言わなくちゃいけなくて」
「…!?」
「俺は… 実は、あなたを、殺す目的でリーダーになったんです!俺は元々、暗殺者でした…」
「…陽仁…お前…」
「でも、あなたには沢山、教えてもらった、優しくて、強くて… 俺は!」
「……!?」
俺は滝を強く抱きしめた
「こんな中途半端な気持ちで、あの施設を守れるわけが、ない…!!」
「俺はお前に、殺されるなら、本望だ」
「滝さん!?」
勢いよく滝を突き放す
「… 今だって、どうして生き延びたのか、分からない 親父を守れなくて、結局、施設も守りきれなくて… もがいて…今俺はこうしてここにいる」
滝は俯きながら話す
「滝さん…滝さんは、1人じゃないんですよ、 仲間がいるじゃないですか 」
複雑な心境のまま、俺はそう捨て台詞を吐いて司令官室へ戻った
戻ると、いつもの彼「司令官」はもう、いなかった
「…… 滝さんを守れるのは、俺だけだ!!」
司令官室で決意を新たにした
俺がいなくなったあと、滝さんは1人つぶやいていたさ
「陽仁…あとは…頼んだぞ…!!」
司令官室の裏では、1人、誰かが影から覗いていた
「…全く、世話の焼ける」




