五度目の人生
俺の正美が呼んだ名前。
「つよし」。。俺の名前じゃないか。
あのゴツい男は一体何者なんだろう。
きっと正美は、卑劣なあの男に弱みを握られて、
お金を持ってくるように脅されてたんだ。
あのゴツい男。。。ゴツ男から正美を守らなきゃ。
だけど今度は長い道のりになりそうだ。。
なんてったって五度目の人生はーーー。
〜キーンコーンカーンコーン〜
チャイムとともに担任が入ってくる。
ダベってるやつらも席に戻り静かになる。
だけど、俺の胸の鼓動は一層高まる。
不安は確信に変わる。
そんな中、いつもの朝のHRと違うテンションで担任が口を開いた。
「○×%▽#新井&◇○°€☆□です○〒+◎$♪△」
誰も聴き取れないから耳を傾けようともしない、ひげもじゃ担任の言葉は、今日の俺には耳から離れない言葉になった。
隣の席の俺だけのマドンナ。
新井正美が来ていない。
それについてひげもじゃはなにか言ったみたいだ。
話し終わった時に言う言葉である、〜です。の後にもごもご言ったっぽいことも気になる。
正美。。
風邪か?俺に感染せ。
怪我か?俺に感染せ。
忌引きか?俺に感染せ。
でももし、ゴツ男のせいで学校に来なかったのなら。。
情報を集めなきゃ。
逸る気持ちから、俺は起立した。
「#@☆・*△?」
なにか喋らなきゃ。。
。。。?。。。??
その時初めて気がついた。
五度目の人生で俺は、
全ての言葉を失っていた。
次筆につづく。