スタートダッシュのタイミングは同じでもスタート地点が同じとは限らない
遅かったね(殺意)
年賀状に潰されてました(物理)
『昔々も大昔、未だ人と獣の棲み分けが成されていなかった時代』
おっ、プロローグが始まったな。
『この世界にやって来たのは科学の徒、魔法の世界にやって来た彼等は
その技術の数々を以って世界に確変を齎した』
『だが、一つの大きな戦いの後 世界は彼等がやって来る前の状態へと逆戻りした』
『彼等の齎した……今となっては歴史に埋もれた遺産を除き…………」
『そして今、悠久にも等しい時を経てこの世界にやって来た汝らは何を思い、
何を考え、何を為すか……それは汝らの自由』
『さあ、世界に今再び確変を………』
やっぱり、PVで見るよりも生の方が響いてくる、雰囲気は重要事項っと。
真っ黒な空間でプロローグを見終え、メイキングを終えたキャラへと感覚がシフト
していく、こればっかりは慣れ難い感覚だ。
森………、モンスタールートを選択した場合は初期スポーン地点が「選択した
モンスターの生息可能地域」になるらしい。モンスタールートは基本ステータスが
高くなる代償に街への出入りが制限されるらしいが、人型になればその制限も
大幅に解除されるらしい。バランスが良いのか悪いのか、イマイチ分かりずらい
仕様である。
「念のためっと」
確かこのゲームのシステムメニューは思考呼び出し型だった筈。
モンスターによっては声帯自体が存在しないものがいるからとの事らしい。
余談だがウサギは声を出せるようになっている。ただ、ちょっと高めなのが
不安なのだけど……。まぁ、万一にもデスゲームなんて事にはならないだろうが、
僕の今までのパターンだと、可能性として残っている以上 メニューの確認は
必須事項……。昔、さして確認もせず買った置物の模造刀から大悪霊が出てきて
東北全体を巻き込んで大立ち回りをやっちゃったからなぁ〜。そして結局
模造刀が実は本物だったので今でも家の居間に飾ってある。
一人だけの家なのだけど……。
ちょっとしみったれちゃったけど、システムメニュー、うんログアウト表示は
あるね。そしたら、ステータスオープンッ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ネーム:リード
種族:兎
レベル:1
職業:無職(野生)
所持金:0ディー
HP(生命力):100
EN (エネルギー):50
STM (スタミナ):50
STR(筋力):20
DEX(器用):10
OPE(演算):30(35)
TEC(技量):20
DEF(防御):20
AGI(敏捷):30
LUC(幸運):20
スキル:バーニーバイト
バーニーネイル
武具:兎の爪(固定)
兎の牙(固定)
防具:無し
アクセサリ:片眼鏡(OPE+5)
称号:無し
シナリオ:未選定
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
至って普通のステータスだった。
つ〜か、無職(野生)って蛮族御用達のじゃないかな………僕、文明人。
初期値の合計(HP、EN、STMを除く)が150、人間だと100スタート
だから、最終的な値の変動はモンスターの方が結構上になるだろうな〜。
さてと、この森のフィードワークを始めよう。年がら年中ロールプレイをする
訳ではないが、情報不足な感じは否めない。ひとまずはこの森のモンスター分布、
発生するイベント、採集可能な素材ってとこか。
探索はゲームの基本だからね。
◆
フムフム、ショボいなこの森……。
いや、批判する訳ではないのだけど 出現するmobが後ろからのスキルの
クリティカルで一撃とはなんともショボい。素材は道端の雑草にそれっぽい
のがあったので、採集してはいるのだけれど、鑑定手段がないのでインペントリ
の肥やし状態となっているのである。採集方法は根っこまで掘ってそのまま
インペントリに直送である。そんでもって、イベントの方は目下調査中っと。
しかし、モンスター初期装備の爪と牙は中々に有用である。
なにせ耐久値が存在しないのだから。通常の武器だと耐久値が存在する
のだが体の一部であるそれらは半永久的なかつようが行えるのである。
最もそれは一対一で倒せるモンスターばかりであるから言える事であって、
おそらくこのエリアの外だと通用しなくなるのは目に見えている。
従って、リソースをこの森で大量に獲得するのが今の方策である。
さて、大分森の奥に入り込んで来たのだが他のプレイヤー(モンスター)の
姿が一切見当たらないな。ここは僕の生息可能地域、つまるところの”ウサギ”
の生息可能地域なのだろう。ウサギ程の生き物が生息できるフィールドならば、
素材採集に他のプレイヤーがいてもおかしくない筈である。特にサービス
が始まった今日ならば、ここ程、安全と言うにほど近い採集場など少ないはず。
ならば、なぜここにプレイヤーがいない?……まあ今気にしても
仕方ない、どうせ大分奥まで来てしまったんだ。とことんこの森を攻略して
みようじゃないか。
◆
そして、森の最奥と思わしき場所にその建物はあった。一見すると単なる
ログハウスだったが、どうにもイベント臭がプンプンする。そんじょそこらの
三流のペイペイだと見逃すかもしれないけど、僕は違うのだよ。なにせ、父さん
と日本中を転々とする内に、大体の建築物の基礎構造と施工方法を覚えさせ
られたからな〜。……マジであの人 何の仕事してんだろう?
……リーマンだったよね、営業マンだったよね。まあ、単なる転勤族ではない
のは確かだったけど……。
そんな訳で、このログハウスもどきの調査をした。結果……地下に落ちました。
いや、弁解させてほしい。中に入ったのは良かったのだが、埃だらけでまともに
調査をするどころではなかった。そんな訳で体を張って、もとい毛皮を使って
掃除をしていたら机が動かなかったので、四苦八苦しながらどうにかならない
ものかと思い、体当たりしたら仕掛けが作動したらしく、こう床がパカっと。
HPが全損しなかったのは不幸中の幸いと言ったところか。
ちょっとは減ったけど。
しっかし、ここはどこだ?地下に来たのは分かるが、いかんせん広すぎる。
地下教会みたいな場所ではあるが、飾られているレリーフが…………?
「干支十二支?」
西洋感 溢れるど真ん中に東洋の文化 、違和感だらけだ。
だが、更に注目すべきは地下空間の否、地下教会の中央位置する水晶玉……。
十中八九イベントのトリガーだろう。
「案ずるより産むが易しっと」
グダグダしてても始まらない。地上に出る手段も分かっていない以上、
ここでの最善手はイベントを始める事だろう。かくして、地上への脱出手段を
探るため、そして未知のイベントを楽しむため、僕は水晶玉に近づく事にした。
『彼の地より訪ね出でし者よ、滅び行く この世界の真実に至らんとするならば
ここに残り、何も望まねのなら立ち去り給え』
〔《童話級ユニークシナリオ:囚われし油守りの巫女》を開始しますか?〕
「………!?」
これは……どういう事だ?童話級?
しかもユニークって………これどゆこと?
明日も多分出せます……いえ、だします。