為り得た理由は焦がれより
Q.何でこんなに更新が遅れたの?
A.リアルが修羅場ってたのと持病が悪化してました。総理も同じ苦労してるんだな〜
お詫びついでもう一個お詫び、リアルパートは次回までになります、すみません
「結くん、手術終わったよ」
「……そうですか」
「まだ麻酔効いてるから寝てていいよ」
はぁ、自分で決めた事とはいえ虚しさが……眠い。
月見里 結 彼が彼女へ変化する事の発端は五年に遡る。
それは神の悪戯とも究極の偶然ともいえる現象だった。
月見里 結、彼が生まれながらに男だったとは言いがたい。
彼の病気は副腎性器症候群 別名 副腎過形成、ホルモンの分泌に
関わる副腎という臓器が先天性の遺伝子の異常で、本来分泌される
はずだったホルモンを分泌しなかったり、過剰に分泌したりしてしまう
病気である。
その原因はホルモンの分泌に必要なコレステロールや酵素を輸送する
蛋白が先天的に不足する事によって引き起こされる。
それによって低血糖、食欲不振、疲労感、塩喪失、循環障害、
ショック、低ナトリウム血症、高カリウム血症、皮膚の黒色の色素沈着、
そして外性器の異常………などの症状が引き起こされる。
だが、彼は異常の中でも特別異常だった。
彼の中で不足していた酵素は糖質コルチコイドを分泌するのに
必要なものだけであり、それは多少の貧血が引き起こされる程度であった。
逆に性ステロイドを分泌するのに必要な酵素は過剰に分泌されており、
雄性ホルモンが過多の状態となっていたのである。
それもあまり健康に害が無い程度で……。
それ故に彼の病は生まれてから十年間見逃され続けてきた。
生後間も無く行われる検査もあるのだが、彼の生まれは日本ではなく、
更に何らかの手違いで書類上は済んだ事になってしまっていたのである。
そしてとある事件で彼の病状が発覚する。
少々 込み入った事情で性別の選択は両親意向で先送りとなり、貧血の治療
だけが施された。
そこから五年間 彼は様々な経験をする。
両親は、特に父親は転勤族で日本47都道府県全てにおいて引っ越しを
経験する事となる多忙極まる人物である。
そして 母も会社勤めで重役のポストに就くエリートである。
そんな両親の下で、父の方について行った結は日本全国 転校に転校を重ね、
多種多様な人物に出会った。
北に向かえば裏の恐山のイタコに出会い、都心に向かえば秘匿された
科学結社のメンバーに出会い、南に向かえば片田舎で超能力者に出会った。
それは些細なきっかけでありどこにでもある普通の出会い、先生、友達、
ご近所さん、誰しも一度は話したり親交があったりする間柄だ。
そんな社会の中ので生活する普通の人々となっていた、生きる伝説、
隠れた英傑………終わった物語の主人公達。
そんな人々に巡り合った彼はそんな存在の……非日常の物語に憧れた。
どうしようもない理不尽に抗った者、ただひたすら巡る運命に従った者、
うぬぼれることなく己を磨き高め続けた者、はじめから全てを使えた者ーーー
そんな人々に出会い、未知に触れ、現実ならざるの存在を理解した。
しかし彼等とて幸せ円満に物語を終えたわけではなく、ある者は大切な人を失い、
ある者は力の代償に己の何かを失ったりと……総じて利だけが在るものでは
なかった。
そして 力に焦がれた少年は狂気に染まってしまった。
病気が発覚した少年は心が疲れきっていた。
母の家に帰るたびに母からは女の子としても生きていけるよう教育を施される。
父からは日本中を連れ回され、延々と慣れない環境への適応を強制され続けた。
だが、世界は彼に力を与えなかった、正確には物理法則から外れた力を………。
日本全国を巡り その素質を認められる事は多々あった。
昔から得意だった友達作りの特技を買われ、情報収集や下調べを任される事 も
あった。
でもそれだけ、いざその力を習おうとしてもあらゆる適性が存在しなかった。
使い方を教わっても使えない、技術体系を理解しても発動出来ない。
才能……ただその一言に尽きた。
少年は絶望する事はなかった。
そういうものだと割り切って諦めた。
その対価に少年はあらゆる知識を技術を存在を知るに至った。
普通に生きていく中では決して必要のない、非日常の技能の数々を………。
そして繋がった縁は受け継がれ、次代の物語が始まった。
過去の縁が繋がった者達の後継は彼の下に集い、力を求めた。
彼はそんな者達に余す事なく知識を技術を経験を、教え尽くした。
これが三月からの出来事である。
彼に教えを施した者達はそれぞれの理由で姿を消し、それで後継達は
残された手紙やそれに準ずる痕跡から彼の存在を知り、彼の下へと集った
のである。
それから4カ月、両親が定めたタイムリミットが訪れ今回の事と相成った。
彼の中で如何なる葛藤があったのかはわからない。
ただ理由の半分くらいは薬の量が違うのと、子供ができるかできないかという
のがあったそうな……。
かくして場面は麻酔が切れた後に移る。
「……………………」
目が覚めたら体が女になっていた。
いや、そりゃまあ自分で同意書に一筆 書いて手術してアレを切除したけど……
実際には肥大化していたしていた皮膚?な訳で実際にアレを切除した訳では
ないのだが……。
どうにも不思議な感覚だ。
単に手術が終わったばかりなだけとも言う。
他にも尿道も手術したらしいけどあんまり実感ないなぁ。
「おっ、今度はいたねお久しぶり結くん、あ、今日から結ちゃんかな?」
物思いに耽っていると突然病室のドアが開き、
如何にも軽薄さを絵に描いたようなスーツを着た男が入ってきた。
病室にノックもなしで突入とはこれは暗に殺してくれと言っているのかな?
斬新な自殺方法だな〜。(殺意)
「何しに来たんですか、防衛省 超常現象対策課の二宮さん」
この人をおちょくる事において右に出る者がいない人間、もとい屑は
防衛省 超常現象対策課に所属する裏の世界では有名な隠蔽工作官である。
そもそも僕がコイツに出会ったのはクラスメイトの後始末、もとい証拠隠滅に
東奔西走していた頃である。
その時、ちょっぴりシバき倒したら従順になった僕の部下だ。
ただし、人を舐めてかかる態度だけは治らなかった。
一辺殺しとくかコイツ……?
「今 俺に何かしようとしなかった、背筋に悪寒が……」
勘がいいなゴミ屑、丁度お前をごみ収集車の中にどうやってブチ込んで
やろうか考えてたんだよ。
馬鹿は死んでも治らないのか試してみようかなー。
「大丈夫ですよ〜、ふっふっふ」
死ねばいいのに、お前みたいな人間がいるから僕の仕事が増えるんだよ。
第一、何が超常現象対策課だぁ〜。
実質みんなに仕事と称して丸投げするだけだろ。
そのせいで僕の仕事が山のように増える増える。
ま、今は自分達でできるよう特訓したけど………。
そうじゃないと入院なんてできないし。
「昔みたいに拷問されたら堪んないよ〜、 あっ そうそう本題を忘れるところ
だった 今は暇でしょ、入院中はする事ないからね というわけで じゃじゃん」
そう言って取り出したのは最新型VR機器 AB2………。
初回生産盤は4000台の限定品かつお値段なんと六十万、高給どりの官僚でも購入
は躊躇する廃人専用のハードを……………この野郎、一体どうやって!?
「へ?」
「いやあ、君の報酬を計算し直したら数十万単位の未払いが出てきてね、それなら
夏のボーナスをと思って申請したらそんな予算ないって言われちゃって〜、
仕方ないから現物支給してあげようと思って知り合いから買い取ったんだよ」
二宮…………お前ってやつは
「恐喝、詐欺………あっ盗み」
「いやいや、待って別に犯罪を犯した訳ではないよ、同僚が買ったのはいいけど
宮仕えは忙し過ぎるから買える人探してくれって頼まれてさ、とりあえず
来年の予算が降りるまで建て替えといたよ、ポケットマネーで」
そうか そうか ならいいや、心置きなく頂ける。
でもね……
「ありがたく頂きます、で なんでそんな未払いが?
場合によっては僕と一緒になります、股間?」
「いやいやいや、待って待って 理由があるんだ理由が!」
「どんな理由ですか?」
「ちょろまかした」
この瞬間、僕の怒りは天元突破………。
堪忍袋の尾はとうの昔に一刀両断されていた。
「ふぅ、覚悟はいいですか?」
さてとどう料理してやろうか……。
と言っても手術明けで動けないけど。
「すいませんでしたぁー!」
だからコイツは屑野郎なんだ。
一体何度この男を見逃した事か……。
金を返しに来たとんじゃなくて代わりの品とは……余程死にたいらしい。
元々コイツには報酬の何割かを差っ引かれているのを見逃してやっているんだ。
その分の借金を取り立ててやってもよかったのだが、殆どを僕等の支援に当てて
るから見逃してやったんだ。
まぁ、悪い奴じゃあない………と思いたい。
「はぁ、全く……これでお給金の分も帳消しでいいですよ」
「はい 申し訳ないで……あっ」
「ゲロったな悪徳官僚」
誘導尋問に引っかかるって……コイツ本当に官僚か?
「お許しを〜」
ゴミは死ね、慈悲はない………予定だったけど。
「ま、今回はこのアクブレを譲ってくれた人に免じて恩赦をやろう」
「ありがどう、むずびぐぅん」
大の大人が涙を流しながら土下座をする図……味があっていいな。
多分、てか100%同僚に諭されたんだろう………。
命懸けで立ち回った報酬を横取りしたら駄目でしょう、と。
佐藤さん今回も聖人感出してますね〜
「はいはい、とりあえず佐藤さんにお礼言っといてください」
「毎回 思うけど何でこっちの事情を知ってるの、どこにも情報源は無いよね?」
「この間 防衛省と財務省のサーバーをクラッキングしたんでそん時に……
ちなみに給料明細から分かりました、経費で建て替えてたんですね」
「君は毎度毎度、国家機密を女子風呂覗くみたいにクラッキングしないでよ〜」
「すいませ〜ん、お上の汚職調査だったので〜」
「はぁ〜〜〜〜」
金の流れを確認しておくのは勿論の事、国家の動きは常に警戒しておかないと
クラスメイトに危害が及ばないとは限らない。
敵は勝負になる前から排除するのは基本中の基本である。
水面下の交渉やら何やらはこのゴミ……もとい二宮に任せ、
僕は機密情報という鬼札を揃えておく無論鬼札は切らないからこその鬼札である。
持つだけで意味があるものは多々あるが、情報は特に大きな意味を持つ。
悪事の証拠を握るのもよし、戦闘的な弱点を探るもよし、情報というものは
世を渡り歩く上で必要不可欠なものである。
この間まで非日常の中にいた以上、それは生命線といっても過言ではなかった。
したがって入院前に万一に備え、お上の情勢と汚職やら僕等に関連した機密情報
やらをオンラインで繋がっているものだけに限定して抜き出しておいた。
それ以外はオフラインの書類ばかりなのでわざわざ危険を冒す必要がある。
保身の為に身を危険に晒すのは本末転倒となるので安全に手に入るだけで
充分である。
「とりあえず要件はそれだけだから、お大事にね」
「どうも」
よし、邪魔者も消えたし 頂きものだけど始めましょうか
AB2と《ツイスティング・ミソロジー》を………
あっ、先生に許可とらないとな…………ここ病院だし。
病気云々の設定は適当です。作中のそういう設定って事で軽く流しておいて下さい。
(ただし内容に関わらないとは言ってない)
さて、調子が戻れば明日も投稿……できるかな?
あと、ブクマ登録 ポイント評価 感想 ありがとうございます。
気合いと根性で頑張って参ります。