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其の七・繁殖

挿絵(By みてみん)


何処でだったか?聞いたことがある。旧陸軍が旧独逸ドイツと共同で核開発をしていたと。其の技術を敵国に盗まれたのだと。独逸は開発に成功したが実践前に敗戦した。日本はどうだったのか?間に合わなかったのだろう。日本は原爆を落とされても、軍は戦争続行!と訴えていた。此れだ!これで巻き返しを狙っていたんだ。飯田橋はそう仮説をした。

「しかし、其の時はすでに爆撃機も何もかも失っていたはず。どうやって敵国に原爆を落とす気だったんでしょう?」

「日本が狂っていた時代の話だよ」


終戦時、大急ぎで解体にかかったはず。しかし、何だ?此の中途半端さは?

「被害者に付着していたキノコを分析していて、此れは遺伝子操作のテロだと思った。殺人キノコを開発しているとね。しかし、放射能の数値が高かったんだ。いや、突然変異かもしれないとも思った。真相を知りたくて此処に来た」

「放射能数値が高かったとは云え、国が全国の放射能検出をしていますよ」

「気づかないはずがない。国民を騙している」


「先生、旧陸軍は核の生物テロ開発をしていたのかも?とも云えますか?原爆製造ですか?」十一坊じゅういちぼうが聞いた。

菌根菌きんこんきん類を培養した形跡が全く無い。原爆計画だ」

「なぜ?キノコが?」

「土中に核廃棄物を埋めてある。土中に埋めれば放射能検知は約100/1になり、時が経てば数値は徐々に下がっていく。しかし、微小な菌根菌類には多大な影響を及ぼした」

「橋田さんの嫌な予感が当たったってことか」十一坊は心の中でそう思った。

「あれを見なさい」「あ、あれは、墓?5つ…」

「被曝して亡くなった研究員ではないか?と思う」

「な、なんと云う危険な!」

「原発が始まった頃、欧米では核廃棄物を川や海に流したんだ。其の時代でも核に対しての対応は其の程度。此の施設も安全対策はしていたと思うが、随分と甘かったと見える。微量でも毎日吸い続ければ被曝する。キノコを遺伝子操作で殺人キノコにして制御するなど、どだい無理だ。キノコの事など未だ学会ではわからないことだらけだからだ。タイワンキノコが発見されたのもつい、少し前だった。だが、此の放射能の高さはなんなんだろうと?」

「タイワンキノコの仲間が此の施設の核廃棄物から放射能を吸収して突然変異化したと?」

「其れが答えだ」

白田は携帯電話で署に居る防人さきもりに電話した。


挿絵(By みてみん)


防人は丁度、署で百目野の事情聴取をしていた。「白田か?うん。なに?」

暫く、携帯の向こうの白田と話していたが、「百目野くん、俺と一緒に現場に向かおう」

「え??ええ。善いですが、僕は殺人未遂の容疑者では?」


防人は課長に許可を取った。「城田の命が危ない?旧陸軍の核施設?百目野を連れて?わかった。上には現場検証とでも云っておこう。行って来い」課長はわかっていた。自衛隊やら県警を呼べば、隠蔽工作が行われると。所轄など紙くず同然だ。こんな田舎警察でもプライドがある。させるか!

更に警官6名と向かった。「防人、こんな少数で善いのか?」

「大袈裟にまだ、しないほうが…」


「防人刑事、何が起きているんですか?」


「俺にもわからん。だが、とんでもないことが起きているようだ。百目野くん、君の容疑も晴れるかもしれない。乗りなさい」


1時間後、人無温泉郷についた。百目野は鼓動が高鳴った。飯田橋博士…無事なのか?十一坊が来ていることは知らない。


「ご苦労様です」現地派出所勤務の警官が待っていた。

「で、どうだい?」「山から銃声が何度か聞こえました。何があっても来るなと命令を受けまして」

「直ぐに観光客、並びに此の街の人間を避難させてくれ」

「わかりました」


「オマワリさんたちさ、殺人未遂事件だろう?犯人が山に潜伏中だって云うじゃん。山狩りだろ?何だよ。此の小人数は?」観光客たちは声声に文句を云っていた。


ピキ~ン…パキ~ン…


「なんの音だ?」

山から湯気が立ち昇っていた。「なんの湯気だ。ありゃ?」

「多分、山から源泉を運んでいるパイプが壊れたか?しているんだと思います」派出所勤務の警官が答えた。

「違う!」百目野は否定した。

「熱湯をいたんだ。襲われているんだ。防人刑事!」

「組合長はいますか?!」「私です」

「此の街は山からパイプで源泉を引いて、湯畑に集めている。そうですね」

「はい」

「街中のパイプは何処に?」

「景観のため土中に埋めてあります。原湯は摂氏98度の熱湯です。酸性が強いので井戸水で薄めなくては、浸かることが出来ません」


ピキ~ン…パキ~ン…


土中から其の音はしていた。

「全員、湯畑に集まってください!」百目野は大声で叫んだ。

「どうしたんだ?百目野くん」

「あの音…あれは菌糸が繁殖している音だ」


「なんだよ。避難しろだの、湯畑に集まれだの。警察は大勢来るし、俺たちゃ車で先におさらばするぜ」

数人の観光客が静止を聞かず、車に乗り込み走り去ろうとした。

其の時!


ぐわああああああ~ーーーん


「う、うわああああああああ」

土中から菌糸が現れて、其の車を巻き込み、土中に飲み込んだ。

「な!何だ!あれは?」


わああああああーーーー!

パニックになった。

「皆さん!湯畑に!!早く!」


百目野たちは目を向いた。

「街中まで侵食して来た。熱湯、塩、日光…キノコの育成を阻むものだ…だが、此れでは動気が取れない…橋田さん!病院も狙われる。飯田橋博士も危ない」

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