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其の十・自然の怒り

犠牲者が多々出た。兎に角、温泉街から逃げるしかない。ある者は自衛隊のトラックで、ある者は走って逃げた。

「民間人を先に!」

百目野は思った。「この温泉街は二度と復活出来ない・・・」

数キロも離れてやっと安全区域に出た。そこには自衛隊本部が設営されていた。

「すぐに手当てを!」

飯田橋も皆、確認出来た。逃げ果せたのだ。

「良かった」

飯田橋に近ずく外人がいた。

「あなたは植物学者の飯田橋博士?」

「あ、あなたは!」


名はジョン・コーネル。世界的な生物学者だ。

「なぜ?あなたが此処に?」

「一人目の殺人が起きた時、このキノコ事件の調査を任されたのです。私はアメリカに居たんですが詳細な写真と鑑識結果がPCメールで送られてきた。一目でわかった。これは大変なことが起きると・・・すぐさま日本に向かった。実物を見たかった。そして遺体を調べた」

「放射能の突然変異?」

「その可能性は薄い。放射能の影響は姿の変異、思考の磨耗です。知性がつくものでは無い」

「と、云うと?」

「進化です」

「し、進化?進化とは身体を環境に合わせるものではないですか?では誰かが組織的にDNAを操作したテロではないのですか?」

「自然のものです。疑問はこの進化の速さ・・・」

「私は気づかなかった・・・」

「恥じることはないです。あなたは植物学者、私は生物学者。その違いからだと思います」

「私は慌てすぎたようだ。もっと調査学者を国に訴えて広く見識するべきだった」

「そんなことはどうでも良い。問題はこの状況を如何に打破するかです」

「自衛隊はあなたが要請したのですね」

「そうです。すぐに総理大臣に許可を取りました。緊急事態だと」

「自衛隊でも無理でしょう。胞子が広がりつつある。日本中がこの化け物キノコに覆われる」

「申し訳ない。私紐此処までしか対処出来ません・・・」


胞子が人間に寄生してどんどん広がる。日本が・・・いや世界が崩壊する・・・。


ズズン。

「な、なんだ?」

「キノコがこちらに来るか?!」

「違う!大地が揺れた。地震だ」


ズズズズーーーーン


「大きいぞ!」

ぐわああああ〜ーーーん!


その時、山が噴火した。

「噴火だと?!そんな兆候は聞いていないぞ!逃げろ!火砕流が来るぞ!巻き込まれるぞ!」

皆、トラックやら、車にしがみつきながら大急ぎで逃げた。

「溶岩だ!溶岩が流れ出した!」

その自体は地面を砕き、温泉街も全て陥没した。一帯は焼け野原と化し。火山灰で被われた。


災難は去った。

キノコは根元から全滅したろう。

東京に戻った百目野はまた探偵事務者でアルバイトを始めた。一本の電話が掛かってきた。飯田橋博士からだった。

「お久し振りです」

「やあ、百目野君、元気かい?」

「はい、先生も研究にお忙しいのでしょ?」

「うむ、そのことだよ。例のキノコのことだ」

「詳細がわかりましたか?」

「コーネル博士と協力して生態やらを細かく調べ直したんだ。オフレコだが君には早く伝えなければと思ってね」

「結果は?」

「コーネル博士の見解が当たっていると思う。が、進化の速さの問題はお手上げだ」

「あんな物が進化だと云うのですか?」

「わからないことが多すぎてね。結論は出ないと思う。あの火山噴火にしてもそうだ」

「火山噴火が?」

「そうだ。あの地は温泉があるように火山地帯ではあるが、噴火脈ではないんだよ」

「え?」

「つまり、何故?あんな大規模な噴火が起きたのか?地質学者もお手上げ状態なんだ」

「・・・・」

「百目野君、おい、聞いているのか?百目野君」

「聞いています。博士、」ありがとうございます。学会でも発表出来ないことをわざわざ・・・」

「君はどう思う?」

「どう?と云われても・・・博士ほどの人たちがわからないのに、僕などに意見などありませんよ」

「そうか・・・」

百目野は電話を切った。


人間には到底理解できないことが起こった。それは化け物キノコではなく、火山噴火だ。そのお陰でキノコは全滅した。

「神か?」

自然にはあってはならない化け物が生まれた。このキノコは生物を全滅させる。生物を全滅させるということは自らもいつか滅する。この地球から生物がいなくなると云うことだ。

「僕には自然神が罰を与えたとしか思えない・・・」

十一坊が声を掛けた。

「百目野君、どうした?ボーーーっとして」

「なんでもありませんよ」

こんな田舎で起きた事件など、すぐ忘れられてしまうだろう。

しかし、百目野は気になっていた。

「胞子が全滅したとは思えない・・・いつかきっと・・・」


百目野はこの事件からオカルトに本格的に研究するようになった。


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