表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/10

其の壱・学生 百目野尊

挿絵(By みてみん)


東京文京区。阿鼻あび大学2回生の百目野は、学費を稼ぐため、探偵事務所で調査まとめのレポート作成補助アルバイトをしている。狩野探偵事務所と云う。所員の殆どが、元警察関係者である。仕事の多くは、浮気調査。犯罪調査などは、ほんの一握りだ。


「百目野くんは変わっているね。教授に怒られているんだって?」そう云うのは、事務所探偵の十一坊じゅういちぼうだ。

「何でも、考古学では視野が足らないだのと教授に喰ってかかったんだって?」

事務所内の者たちは皆が笑った。

「勘弁してください。十一坊さん。何処で仕入れた情報ですか?」百目野は恥ずかしかった。

「俺は探偵だぜ。将来の学者さんが探偵事務所でアルバイトかい?」

「稼ぎが善いんですよ」

「まあ、君が優秀なのは認めてるよ。俺が調書を作るより、君の方が上だ」


アルバイトが調査に口を出すなど以ての外だ。だが、事務所内では舌を巻いた。

所長の狩野は「百目野くん、探偵になったら?」と、云ってくれる。

「そうだ、そうしろ」皆が笑って勧めるのである。そんな大らかな事務所だった。其の大らかさが百目野は学生の身でありながら、自由に振る舞えた。


其処へ長野から橋田が帰って来た。久々の死人が出た事件だ。

「橋田、どうだった?」

「参った。地元警察は自殺だの、他殺だと云うし、検視官は有り得ないなどと意見がバラバラで進展なしだ。俺にもわからん」

「検視が?」


次の日、百目野は大学の授業を終えて、事務所に行った。橋田が更に手を加えて居た。

「これから、狩野先生と打ち合わせだ」


如何しましょう?やはり手を引くか?そんなことを話して居た。我が事務所の威信に関わる。悩みアグんで居る。

学者を雇うか?予算が…。学者?

橋田が思い立った。「百目野くんを」

「バカを云うな。彼は学生だぞ」「では、手を引きますか?」「う、う~ん」


1時間後、所長室に百目野は呼ばれた。

橋田も同席して居た。

「百目野くん、事務所内の仕事は一旦、止めて出張に出向いて欲しい」狩野はそう切り出した。

「出張?何処へですか?」

「長野だ。橋田くんに3,4日、同行して欲しい」

「僕には経験も何も有りませんし、だいいち、僕には大学の授業が有ります」

「わかっている。が、君しかおらんのだ」

百目野は調書内容を知っている。実は興味があった。

「百目野くん、私たちは君を高く評価している。学生ながら漏洩厳守の此の仕事をよくやってくれている。信用しているんだよ。」

「此れは人が死んだ事件。警察関係も手を焼く事件ですね。なぜ?僕なのですか?」

「君の異質な…おっと、失礼!君の広い学識が必要なんだよ」

「僕は大学でオカルト馬鹿と云われて居ます」

「君は若いながら、異なる洞察力、想像力を持っている。其れが必要かもしれないんだ。君は学生だ。強制では無い。協力を頼んでいる。別報酬も出すよ」


金!百目野は親にも学費を頼めない貧乏学生。別報酬…何と云う響!

「行きます!大学は休みます」

「すまない」


百目野は行ってみたいとも思って居た。其処に金!おいしい!二つ返事だ。

「百目野くん、死体などを見なければならないぞ。素人にはきつい仕事だ」

「考古学でも木乃伊ミイラを探ったりしますから」

生身の遺体と木乃伊は違うぞ、もっと陰惨な現場かもしれない。などとは狩野は云わなかった。折角、行く気になったた百目野に云う気がしなかった。


「早まった結論だったかな?」狩野が橋田に問いた。此れが大学に知れたら何を云われるか。

「先生、大丈夫。百目野くんは真の学者になりうる学生です」


其の夕方、百目野は橋田と機材を積んで車で長野に向かった。走行中、百目野は資料を眺めて居た。

「全身をきのこおおわれて死亡…?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ