表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

僕を……

十月のある日僕は彼女とホームセンターで文化祭で必要になる道具を一緒に買い出しに行くことになった。


***


中学の頃から好きな女の子。

一緒の高校に入りたくて彼女の友人に頼み込んで志望校を教えてもらい、その高校に入れるよう努力した。


同じ高校に入れたのはいいが一年目はクラスが別々で散々だった。


特に親しかった訳でもない。

彼女が僕のことを知っているかどうかも分からず。

時たま彼女の友人に情報を貰っていた。


そして、二年目。


彼女と同じクラス。

飛び跳ねるほど嬉しかった。


まずは友達になろうと彼女と同じ委員会に入った。

委員会の仕事以外の会話もするようになった。


彼女の友人からは「必死だねぇ」と笑われたが、「好きな子のためだから」と答えたら微妙な顔をしながら頷いてくれた。


そして文化祭の買い出し。

彼女の友人が唐突に言い出したことには驚いたがとても嬉しかった。

彼女が真っ赤になって彼女の友人にいじられてるのはとても可愛かった。


その前日はなかなか寝付けなくて。

少し寝坊をしてしまったが、家からホームセンターまでは電車で二十分ほど。

時計の針がさしているのは十三時十五分。ギリギリだ。


急がきゃ。


***


運命は時に残酷だ。


***


意識が戻った時、身体中が痛かった。

事故にあった、と思い出すまで時間がかかった。


約束はどうなったの?


彼女は?


言葉を上手く紡げない。

力が入らない。


全ての言葉がモゴモゴという力のない言葉になってしまう。



約束があるんだ。


彼女はきっと待ってる。


体が動かない。



なんとなく、わかった。


自分はここで死ぬのだろうと。


でも、

彼女に、


1度だけ伝えたい言葉があったんだ。


そう思った時、彼女が真っ青になりながら病室に駆け込んできた。


心配してくれたんだろうなぁ。


ねぇ、

自惚れてもいいのかな。


あの時教室で顔を赤くしながら彼女の友人に何かを言っていたのは、


今、真っ青になって僕を心配しているのは、



僕が好きだから?



なんて。

そんなわけないのに。


ありえないことを考えて、笑みを溢す。


違ってもいいんだ。

でも、


これだけ言わせてもらえる?



白井 勿(しらい まな)さん、」

「僕は君のことが」

「とても好きだよ」


その言葉全てが理解できないもごもごと言う音に変わるのがわかる。


「運命って残酷だね」


あぁ、

瞼が落ちていく。


いやだなぁ。

そう思う反面。


これで彼女に忘れられない


そう思って喜ぶ自分がいる。


サイテーだよね。

でも、本心だから。


だから、さ



「ぼくのことをわすれないで」


あぁ、

どうか、


どうか、この言葉が、


彼女に呪いとなって刻みつけられますように──……。



なんか、怖い……(書いた本人)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ