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真実の……

読みにくいかも知れませんがお願いします( ´・ω・`)( ´_ _)

秋から冬に変わりつつかる十月。


来月に迫った文化祭の準備に追われる日々。

心地よい忙しさ。


***


その日はホームセンターに買い出しに行くため十三時頃家を出た。


待ち合わせの時間は十四時。

電車で三十分ほど。それなりに広いホームセンターに行き、必要なものを一気に買ってしまおうという魂胆。


もちろん人手も必要。

私を含め六人が今日ホームセンターに向かう。

けれど十一時に集まるのは私ともう一人だけ。理由は半を組んでいるから。


私は一緒に行って、ホームセンターで別れて、また集まって一気に会計した方がいいと言ったのだけど。


友人がにやにやしながらこの案を強引に可決させ、こうなった。


一体なぜ。


と思ったのは一瞬。私の相方として選ばれたのは私が片思いしてた彼だった。


決まった時は思わず友人を思い切り見返してしまった。その友人が無言で親指を立てていることに気づき無性に腹が立った。

……まぁ少し感謝もしたけど。


なんで今日は少しだけおめかしをしている。


あくまで買い出しで重いものを持っても平気なようにだけど。


ぐるぐるそんなことを考えているとアナウンスが降りる駅を伝えてくる。

慌てながら降りる。


危ない危ない。

乗り過ごしたりしても平気なように早めに出てるけどそれでも心配。

予定通りに進めていると安心する。



改札を出てホームセンターに向かって歩を進める。

この調子なら約束の時間よりも早くつける。

少し寄り道でもしていこうか、と考えて辞める。


彼はもしかしたらもうついてるかもしれない。


なんて。

苦笑しながら歩き続ける。



ぼんやりと景色を見ながら進むこと10分。ホームセンターが見えてきた。

このホームセンターは近くに大きな木のある公園がある。そこが待ち合わせ場所だ。


恋人の待ち合わせ場所みたいなここは友人がここ以外の待ち合わせ場所は認めないと言い張ったことによりこうなった。


その事を思い出してふふっ、と笑みが溢れる。

公園の入口を見ながら彼を待つ。


まだかな?


もうすこしかな?


何を話そうかな。なんて




思えば、


あの時は、


とても幸せだった──……。



◇◆◇◆



ピピピ──


目覚ましの音で目が覚める。

頬がヒリヒリする。


「……涙…………?」


涙が乾いたせいかヒリヒリする。


まだ、彼のことを引きずっているのか、と苦笑が隠せない。


「もう、十年も前のことなのに」


そう、十年も前のことなのだ。

あのあと私はずっと待ち続けた。そして友人から電話があったのだ


***


『あなた今どこにいるの!?』

「? さぁちゃん? どこって待ち合わせ場所だよ?」

『急いで市立病院に向かって! 予算使っていいから!』

「えぇ? どうしたの急に?」

『彼が事故にあったのよ!!』

「……ぇ?」


***


目の前が真っ暗になるってこういうことを言うんだなって思った。

どうやったのか意識が戻った時には病院の玄関の前だった。たぶん覚えてないだけで慌てて病院に向かったんだろうな。


当たりどころが悪かったのか、私が着いたとき彼はもう死にかけていた。


何かを言おうとしていたけれど、やがて力尽きたのかそのまま動かなくなった。


「……未練がましいなぁ」


今日は丁度彼がなくなって十年。

だから夢に見たのだろうか。


毎年この日は仕事に休みを入れているが、一度も彼の墓に行ったことはなかった。


でも、今年くらいは……


いつもならこんな風に考えない。

でも、なんとなく。行こうかなって。思ったから。


あの日と似た服装で、あの日と同じ時間に、家を出た。


***


そして今、お寺の前で立ち往生している。

お墓の場所は知っていたが来るのは初めてで。情けない話、どうすればいいのか分からなかった。


ウロウロと不審者よろしく右往左往していたら住職さんに声をかけられた。


「……あの、なにか御用でしょうか」

「あっあの! 今日が命日の友人のお墓がここにあると聞いて……」


「なまえは?」と聞かれ、彼の名前を答えると住職さんが案内してくれた。


彼のお墓まで案内し終わると「私はこれで」と住職さんは立ち去った。

仕事に戻るのだろう。私は「ありがとうございます」と返してお墓に向き直る。


「十年ぶりだね」


そう始まった言葉。

ぽつりぽつりとお墓に向かって言葉をかけていく。


恨み言も中には混ざったが。それより多かったのは後悔の言葉だった。


「告白しておけばよかった」

「せめてこの心の苦しみはなかったかもしれない」

「好きだったのよ」

「なのに置いて言っちゃうなんて」


なんであの時、彼に連絡せずにいたのかしら。

連絡しておけばなにかが違ったかもしれない。


また、涙が溢れる。


「ずるい、ずるいよ……わたし、すきだったのに」


恋に恋していたのかもしれない。


青春によくある気の迷いだったのかもしれない。


でも、


それでも、



「あなたのこと、すきだったのよ」



たしかに、


あなたのことを



あいしていたわ



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