表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

前編

一部、差別表現があります。苦手な方は注意お願いします。

 私は「世捨て人」と呼ばれている人間である。「世捨て人」となった時から、当てどもなく土地を渡り歩くだけの存在だ。目的地も終着地もない。私たち「世捨て人」を受け入れるものなど、なにもない。いや、なにもなくはないのだが、それは人間としての終わりを意味する。

 「世捨て人」の烙印を押されはしているが、私はまだ人としてのプライドを持ち続けているのだ。



 その日も私は、人気のない山道を歩いていた。むろん普通の道もあるが、私が道を歩けば石を投げられ、蔑み侮蔑の視線の嵐。親は子供の目をかくし、商人は私をとらえようとするだろう。

 

 もう慣れはいしたが、面倒くさいので私はなるべく人が忌避する山道を歩くことにしているのだった。なぜ、山道が危ないかは解かるだろう。獣や山賊、そして魔獣やごくまれに魔族などが潜んでいるからだ。


 当然私の行く道の先にもそいつらが立ちはだかるわけだが、斬って捨てているうちに、どんどん強くなっていったようだ。もう人間で私に敵う者はいまい。…この力をあの時持っていれば「世捨て人」にならずにすんだのではないか…



 そう物思いに耽っていると、聞こえるはずのない人の話し声?怒鳴り声が聞こえてきた。




  「っ何でお前はいつもそーなんだっ!!」


  「だからごめんなさい、ってば~」



 1人は男で、怒鳴っているようだ。もう1人は女の声だ。すっかり落ち込んでいるのがよく解かる様だ。

 

 いつもなら人間に見つかる前に、その場を離れるのだが、この時は何故かこっそり近づいて行ってしまった。私は高レベルであるので、隠密行動も得意だ。



  「的に矢が当たらないのは仕方ねー。お前、六割の確率で外すんだ~とか言ってたもんな。」


  「…うん。」


 姿が確認出来る位地まで来れたが驚きだ。なんと、ダークエルフとエルフのパーティだったのだ。そのダークエルフが体に矢を数本刺さった状態で、血をダラダラ流しながらエルフの女性に説教をかましているのである。



 ちなみにであるが、ダークエルフとエルフが一緒にいることはまずない。その場で殺し合い?が始まるのが定説である。エルフが闇に堕ちたのがダークエルフで、とか言われているが、ダークエルフがどこから生まれるのかは、本当の所誰も知らない。エルフも、100年に一度姿を見るか見ないかなので、どういう種族なのかまったくわかっていない。


 全く分からないエルフであるが、エルフとダークエルフが憎しみ合っているのは誰もが知るところだ。500年に一度の周期で、戦争を起こしているとかいないとか。


 寿命の短い人間には、解からないことばかりだ。…そんなエルフとダークエルフが一緒にパーティを組んでいて、しかも説教はされているが、仲が良さげだ。



  「なんで獲物を狙ってるはずのお前の矢が、百発百中で、この、俺様に当たんだよ!!」


  「さぁ~?不思議だね~??みんなで狩りしてた時もこんなことなかったのに」


  「さぁ?じゃ!ね!え!!」


  「そんなに怒ると、血が噴水みたいに…って、あ」



 怒りが最高潮に達したらしいダークエルフの血が、勢いよく噴水のように流れ出した。

昔投稿した、「憧れのエルフ~」の続きのような。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ