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6話 戦い 中

「ダークネスクラウド!」


迫り来るオーガに対して準備していた魔法、ダークネスクラウド。これは黒い霧を相手の視界に発生させる魔法で、目を頼りにする生き物の視界をさえぎる効果がある。オーガは目を使うモンスターだから効果はあるはず。


そしてそれは当たったみたいだ。オーガはこちらに向かっては来るもののグゴゴといううなり声を上げながら見当違いの方向をいったりきたり、殴ったりしている。よし、効いてるみたい。


それにこれで分かったことがある。マルコスがこのオーガを操っていても完全にラジコンみたいに操り人形状態ではなく、戦い自身はオーガ自身でやっているということに。なぜなら操り人形なら、オーガの目が塞がれていても問題なくこちらに攻撃できるからだ。


さて、ダークネスクラウドが効いてしばらくは安心だけど、この魔法それほど効果時間ないんだよなあ……それに時間がたつにつれて薄れてくるし……。


効き目がある今のうちに僕はショートソードを構えつつ慎重にゆっくりと近づく。いくら当てずっぽうに攻撃している状態でも一発貰ったら危険だしね。


僕はそろそろとオーガの背後に回り、足首の辺りを切りつける。


「痛っ!」


だがそれはガキン!という鈍い音となって僕自身に跳ね返ってくる。ほんとに硬いな……感覚としては金属を思いっきり殴りつけてしまった感じだ。オーガは攻撃を受けたということは感じるみたいで後ろの方向を振り返り、乱暴に腕を回して僕の方向に向かって大振りなパンチを繰り出す。


それに対してまた僕はオーガの後ろに回りこみ同じ箇所に攻撃を加えていく。それにしても硬いなあ、手がしびれそう……


2、3回繰り返した頃だろうか、だんだんとオーガの攻撃が僕に対してピントが合い始めた来た。そろそろダークネスクラウドの効果が切れてきた頃合かな……。


僕はそれを見計らって次に準備していた魔法を仕掛ける。


「フラッシュライト!」


魔法を唱えた瞬間オークの目の前に光の玉が出現し、それがはじける。と同時に目がくらむような光が部屋中を包み込む。


この魔法フラッシュライトは眩しい閃光で相手の目をくらます魔法で、使用法としてはダークネスクラウドと似たような感じで相手の視界を奪うといったもの。ただ、相手は暗い状態に目が慣れていたため、効果はかなり大きいはず!


狙い通り確かに効果はあったようで、オーガはフラフラと足元がおぼつかないようになっていて、やがてもんどりうって倒れてしまう。僕はそれに対してさっきと同じ足首を集中的に叩く。あまり効いている感じはないけどやらないよりはましだろう。


数回斬ったところで、オーガは完全に視界を取り戻したようで、ゆっくりとした動作で立ち上がり、グゴとかゴガア!みたいな叫び声を上げつつ僕に対して、正確な右ストレートを放ってきた。

このままでは間違いなく僕に当たってしまうが、同じ轍は踏まない。


僕はそれに向かってすかさずスタンマジックを放つ。するとオーガの動きがぴたっと止まる。だが、ほんの一瞬止まっただけで、オーガはまた腕を振りかぶり攻撃を仕掛けてようとしている。だがその前にもう一度……!


「ダークネスクラウド!」


相手の視界に黒い霧を発生させるダークネスクラウドをまた使用する。そして足首を切りつけ、また効果が切れた頃にフラッシュライトを使用する。そしてまた切り付ける。


この一連の動作、ダークネスクラウドで相手の視界を暗くし、その効果が切れてきてから、その後のフラッシュライトによる急激な明るさで相手の視界を奪い。相手が視界を取り戻してからのスタンマジックによる攻撃回避、合間合間に相手の足首を狙って剣による攻撃を行う。そして最初のダークネスクラウドに戻りまた繰り返す。


これを4回ほどやったころだろうか……だんだんとオーガの攻撃のタイミングと方向がダークネスクラウドの効果中にもかかわらず合うようになってきた。これはそろそろまずいかな……。


このNTEオンラインはは同じ技を何回も使っていくと、効き目が弱くなることがある。そこからさらに同じ魔法を使っていくと魔法が失敗することさえある。これは耐性とよばれていて、要するに何回も同じ技を受けると相手も慣れてくると言うことである。


ちなみにオーガは魔法に対する耐性、特に妨害魔法についての耐性は非常に低い。そのためこんなに簡単にハメみたいなことができたわけなんだけど……。普通のモンスターなら1、2回連続で成功すればいいほう、だけど流石にオーガとはいえこれだけ使うと耐性がついてくるみたいだ。


僕は横目でクラウド君たちを見る。見たところ兵士の数が2人に減っているみたいだ。クラウド君たちはガンガン攻めて行っている感じで、回復役のおでんさんも今はメイスを抜き兵士たちに打撃を与え続けている。……それでもまだ2人残ってるということは、もう少し僕は耐えなければならないらしい。


「とはいえ、どうしようか」


ダークネスクラウドもフラッシュライトも露骨に効果時間が短くなってきて、特筆すべき攻撃手段も、防御手段も持たない僕は妨害魔法の効果が切れたときが命の切れ目といってもいい。


そして完全にピントが合った攻撃をしかけてくるオーク。それに対し僕はスタンマジックを発動させ、大きくバックステップする。1,2秒経っただろうか、スタンマジックの効果が切れたオーガが後ろに下がった僕に対して、右足を大きく踏み込んで、大振りな正確なパンチを僕に向かって繰り出す。やっぱり速い……よけられない……盾!間に合うか……!

とっさに盾は構えたものの、僕はやられるのを覚悟した。


だけどここで思いもよらないことが起こる。オーガが踏み込んだと同時にバランスを崩して攻撃を外した。ダメージ入ってないように思えて少しは入っていたのか……僕の攻撃は一応効いていたらしい。


しかし外したとはいえパンチの威力には肝を冷やした。クラウド君たちはもう少し経てば終わるかなあ。それにマルコスがまったく何も言わず座りながら戦いを眺めているのは不気味だけど……何を考えているのかなんて僕に考えてる余裕はない。


僕は耐性を崩したオーガの周りを大回りでぐるぐる走り回る。ダークネスクラウドもフラッシュライトも相手に耐性がついてしまって、効かなくなっている今、出来ることといえば相手のダメージを負った足を攻めるしかないからなあ……それにオーガは僕を目では追いきれているものの軸となる足が追いついていないのか、攻撃をしかねている。


このままぐるぐると回っていれば、なんとか耐え切れそうかな……ただそれだけでもかなり神経を使う、一発貰うと致命的といった綱渡りの戦闘というのはかなり来るものがあるね。


剣による物理攻撃を当てる隙はないためぐるぐるとオーがの周りを走りながらファイアボールを少しずつぶつけていく。効果のほどは分からないけど、あの手ごたえのない剣による攻撃も効いたのだから少しでも削っておこう。



だが順調と思われたこの行動も


「オーガ、お前何をしている。なぜそんなガキを倒せないでいるのだ。遊びはおしまいにしろ。お前は狂人でなくとも心を操作できた始めての実験台なのだ。下等生物といえどもな。精神を破壊せずとも操作できたお前だから遊んでいるのか?」


マルコスのこの一言で終わりを迎えた。マルコスはどうやらオーガが遊んでいると思っているらしい。実際は僕の妨害魔法で足止めをされていたのだけど……マルコスはこの戦いに関してはあまり状況が分かっていなかったらしい。そのほうが僕にとっては都合がいいけど。


「仕方がない……もう二度と私の手を煩わせるなよ?とっととそのガキを倒してしまえ」


ここでのマルコスの行動が気まぐれかどうか僕には分からない。だが僕にとってそれは最悪に近い行動だった。この戦いの流れの分かっていないマルコスは警戒する必要のない相手。こんなことを考えていた僕だったけど、それは大きな誤りだった。


そうマルコスは変わらず座りながら、オーガに対して回復魔法ヒールをかけた。

こいつ回復魔法も使えたのか!……魔法の研究者ならそれくらい出来てもあまり驚かないけど、今の僕はこの状況をひっくり返すその行動に動揺を隠せない。


下級回復魔法であるヒールだけど、僕の与えたダメージくらいならすぐに回復する。万全の状態になったオーガは僕を確実に葬ろうと狙いを定めている。まずい……!


そしてぐるぐると走り回っていた僕はそれをやめ、右手の剣と盾を自分の前に縮こまるように構え、回避優先、防御優先の構えへと変える。こんなのは焼け石に水だけど仕方がない。


オーガの速く、それでいて鋭いジャブが繰り出される。僕はそれを必死で回避しようとする。避けきれない手数の多い素早いジャブは僕の体力を少しずつ奪っていく、僕は後ろに下がりながら回避と盾による受け流しを狙っている。そんな状態で攻撃はとてもじゃないけど難しい……。


しかもこのオーガ、僕が防戦一方になった瞬間から手数は多いけど一撃の軽いジャブばっかり撃ってきている。最初僕が貰った一撃のように重いパンチはまだこない。とはいえ軽いといっても反撃に移れるほどじゃないのだけど……。


このオーガもしかして自分の圧倒的な有利を悟って、いたぶってあそんでいるのか。まあハメ技みたいなことしてたからね……貰った側としちゃもう僕のことむかついてむかついてしょうがないのかもしれない。大方簡単に殺しちゃつまらないということなのかもしれない。


攻撃をかわし、盾で受け、時にはからだのいたるところにパンチを貰いながらそんなことを考えていた僕だけど……ていうかもうこんなの……限界!


「あー!もうムリ!クラウド君!おでんさんまだー!?」


ジャブを受け続けながら、僕は泣きそうな、叫ぶような声をしぼりだす。もう流石にきついです。みんなまだかな……僕は攻撃を受けながらどんどん後ろに追い詰められていく。そろそろ壁際に迫ってきて追い詰められてきた。うぅ……。


「なに死にそうな声だしてるんだ……わりい、またせたな」


僕が情けない声をだしてそのすぐ後、狙ったんじゃないかというタイミングのよさでクラウド君が大剣を構えつつ、僕の前を守るように立っている。


「……あれ、クラウド君?」


危ないところで助かった……。そして、オーガの前にいきなり現れたクラウド君は持っている両手剣トゥハンドソードをオーガの胴にたたきつけるように当てる。……といってもオーガにはこのクラウド君の攻撃でさえ効いている感じはあまり見えない。

だけどオーガの注意はクラウド君に向いたらしい。助かった……。


「タカシ君、大丈夫かい?」


おでんさんがその隙をついて僕に近寄り、ヒールを使ってくれている。体の痛みや体力が回復していくのを感じる。


「ええ、なんとか……」


「いやー、あの兵士5人組だけど、なかなかすばしっこくてね。少し時間がかかってしまったよ」


「助けに来てくれただけでほんとに助かったよ、もう危なかったもの」


「タカシ君ならもう少しいけたんじゃない?」


おでんさんが僕に回復魔法をかけながら、ニヤッとおじさん特有の若者ならまだ頑張れるでしょジョークを飛ばしてくる。


「いや、ムリだよ!」


あんなのあいてにもっと耐えるのは正直ムリです……。


「お前ら、何ほのぼのしてるんだよ!とっとと戦いに参加しろ!俺だってつらいんだよ!」


一人オーガと対峙しているクラウド君からお怒りの言葉をいただいてしまった。僕は地面に転がっていた剣を拾い上げ構える。


「さて、クラウド君どうしよっか……なんかいい考えない?」


クラウド君はオーガの攻撃を両手剣で受け止めたり、器用に交わしながらオーガと対峙している。とはいえクラウド君も僕と似たレベルなので、完全には避けられず受け止め切れていない。ダメージを受けるたびにおでんさんが回復魔法をかけている状態になっている。


「そうだな……ここはフォーメーションBでいくか」


「やっぱり……」


「了解」


フォーメーションBという言葉に従って僕はオーガの周りを囲むように位置取る。おでんさんも盾とメイスを構えつつ同じように位置取っている。

フォーメーションBっていうのは……何か考えてるわけではなく、要するに何も考えていないから囲んでぼこぼこにしようという僕たちの間での戦法。つまりBOKOBOKOの頭文字を取ってフォーメーションBというわけなのだ。


囲んだ僕たちはいっせいに攻撃を仕掛ける。僕は太ももの辺りを切りつけ、クラウド君は背中、おでんさんはおなかの辺りをフルスイングで叩きつける。


「かってえ!」


ただ囲んでぼこぼこといってもオーガはとても硬い。


「タカシ君、アーマーブレイクってなかったっけ?」


そういえばそんなのもあったかも……やってみようか。



登場魔法


ダークネスクラウド


妨害魔法の一つ。黒い霧を相手の視界周辺に漂わせて視界を奪う。目を頼りにしているものには効果がある。


フラッシュライト


妨害魔法の一つ。光の玉を相手の目の前に作り出し、その玉はすぐに眩い閃光へとなり、相手の視界をくらませる。








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