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2話 ダンジョンに行こう!

「なんだタカシ知らないのか?」

クラウドくんがえ、お前そんなことも知らないの?見たいな顔をこっちに向けてくる。


そんなこといわれても、綺麗だなあくらいにしか思わないのといくらくらいで売れるんだろうとかいう

感想しかでてこないんだけど……。


「タカシ君、その珠をよく見てみるといい」


おでんさんがちょいちょいと指をさしてみるように促す。僕はそれを手にとって目の前に掲げて

観察してみる。よく見ると中に黒っぽい渦があるみたいだ。透明な水晶の中にガス状の渦巻いた黒っぽい渦。だからといってこれが何か分からないけど。


「確かに変な黒っぽい渦があるけどこれがどうかしたの?」


「そこまで見て分からないってことはほんとに知らないんだな」


おでんさんとクラウドくんが顔を見合わせ苦笑する。うん、なんか知ってないと不味いものなのかしら。


「タカシ、これは最近実装されたアイテムでダンジョンクリスタルっていうんだ。アップデート

情報とか眺めてないのか?」


「うーん、見ることはあるけど……」


このゲームはオンラインゲームなのでたびたびアップデートで新要素が追加される。


例えば様々な調整、バグの修正などは細々と短い間隔でやっている。

新要素というのは、新しいアイテム、ダンジョン、システム、はたまた新大陸にいけたりするような

大型アップデートもあり、その時期はプレイヤーも新要素を求めてたくさんログインする。

ゲームがとても賑わう瞬間の一つだ。


「そういえば一週間くらい前にアップデートがあったっけ」


何があったかは分からないけど、ここイストンの街がちょっとばかし賑やかだった気がする。


ちなみにイストンという街はここトラルセン大陸の東のほうに位置する町であり。

さらに東に行くと海にでる、北は山岳地帯、西は大きな川が流れており、その先は草原地帯

南も海に出るかな、場所的には大陸の右の端っこのほうの街である。


話を戻そう。


「そう、そのアップデートでで追加されたのがそこのダンジョンクリスタルなんだ。」


「それでこれを使うと何が出来るの?」


「アイテムの名前の通り、ダンジョンが中に入っているんだ。そしてクリスタルを特定の場所で使うと

一度限りのダンジョンに入れるらしいけれど、私も使ったことは無いから分からないね」


どうやらおでんさんもアップデート情報をちょこっと読んだくらいで、詳しくはしらないらしい。

ダンジョンということはまあ要するに洞窟とか森とか未知だったり、危険がある恐れのある


モンスターとか、もしかしたら財宝とかが存在するかもしれないRPGにはありがちなところで

このゲームにも無数に存在する。けどこのようなアイテムとしてのダンジョンは始めてみたなあ。


「そんなすごそうなものクラウドくんはどうやって手に入れたのさ」


貴重そうなクリスタルをぽんぽんと上下に投げたり取ったりしているクラウドくんに聞いてみる。


「つってもなあ、俺も偶然手に入れただけで、別に苦労したわけじゃないんだよな

それに詳しいことは俺も分からないし、どんなダンジョンが現れるのかとかは知らない、どうだ?

ものはためしということでやってみようや」


ダンジョンというのは凶暴なモンスターが住み着いていたり、野党などの住処となっている場合もある。

人によってはこのゲームの現実と同じような感覚のせいか、一度入ったが最後、恐怖で近づけなくなっているプレイヤーもいるらしい。僕はおでんさんの顔をちらりと見る。


おでんさんは僕が見たことに気付いたのか、ニヤリと笑った。まあ僕の考えなんて最初から決まっているのだけど。クラウドくんもそれに気付いたのかこちらに近づいてくる。


「うし」


「行くとしますか」


「おー!」

冒険者たるもの面白そうなのには全力で食いつくのが基本!ってえろい人が言ってた。


クラウドくんが言うには、このアイテムを使う場所というものがあるらしい。

それは大体どこの町にもある。町の中心部である。僕らみたいな冒険者たちのたまり場。


拠点である家を出てから目の前の通りは中心部へと集まっておりそこを

歩いていく、しばらく進むと町の中心部になる。

ちなみにこのNTEオンラインではゲーム開始時からプレイヤーは冒険者という身分になっている。

まあつまり、今から行くのは僕たちプレイヤーがつどう中心である広場になるんだけど……。


この通りは家が立ち並んでおり、冒険者やNPCたちが生活している。聞いた話によると

中心部へ向かっていくほど家のお値段が高くなるらしい。

僕らの家はそこまで近くないのでそれほど高くない。(借家だけど)


「でもどんなところなんだろうね、ダンジョンって」

歩きながらこれからいくであろうダンジョンについて2人に聞いてみることにした。

「何もワカンネ」


「私も同じようなものかな、タカシ君、何も分からない状態のほうが楽しそうじゃないかな?

未知への探求、わくわくしてこないかい?私が若い頃は宇宙とか、深海とかジャングルとか

それだけでわくわくしたものだけど」


「そうかも、何も知らないほうが面白いもんね!」

おでんさんのいうことはもっともだね。


そうこうしているうちに中央広場が見えてきた。

遠目から見ても人がごったがえして喧騒がここからでも聞こえてくる。


そしてイストンの街の中央広場に足を踏み入れた瞬間、人々のざわめきが大きくなる。


「クイーンブレイド300万マニだ!他のところより安いぜ!」


叫びながら強そうな剣を目の飛び出るような価格で売っている筋肉モリモリのおっさん。


「ポーション1本100マニ、ご自由におとりください」


と立て札を立てて寝ながら商売をしている魔法使い風の男。


「冒険前にお食事はいかがー?攻撃力の上がる食材を使用してますー!味も保障!」


と屋台みたいなところで肉の串焼きみたいなのを売り込んでいるおばさん。

そして似たような人たちとそれらを品定めしたり購入したりする人たちで

ここはごった返している。それほどまでに賑やかな場所である。


「うわー、いつきても中央広場はすごいねー」

ついついキョロキョロと買えそうな物をさがしてしまう。

「私たちみたいな冒険者が集まるところだからね、それは活気もでるさ」


「すごいよね、ここは元々ただの広場だったんでしょ?僕たち冒険者が来たことで市場になっちゃうなんて」


ここ中央広場はサービス開始前の事前映像でも写ってたことで有名だけど、そこでは人々が

ぽつりぽつりといるくらいのただの広場だった。冒険者が盛り上げた場所といえる。


「人間のパワーってものを感じるね」


「おい、タカシにおっさん!こっちだこっち!」


クラウドくんは先に行っていて中心部のさらに中心の、ちょっと人が少なくなっているエリアで手を振って僕らを呼んでいる。


「今行くよー!」


クラウドくんに呼ばれたため小走りで向かう。どうやらクラウドくんがいる場所は……。


「ふぅ……クラウドくん、ここがそうなの?だってここは……」


クラウドくんに呼ばれた行ったその先には青くて透明がかった

宝石みたいに綺麗な直径1mはあろうかという玉がドン!とおいてある。というか少し浮かんでる。

その玉の周りは円状の台座になっており、このオブジェクトのためにこの広場があるのだとさえ思える。


これは僕たち冒険者にとって馴染み深い、トラベラーストーンというもので、大きな町には大体置いて

あるという代物なのである。


もちろんただの綺麗な飾り物というわけではなく、冒険者は皆これを使う、いやこれの使い方を

覚えるのが冒険の第一歩という人も多い。

さて、この石、どのように使うかというと、最初は普通に触れるだけでいい。


そうすることで僕ら冒険者はジャンプという魔法を覚える。

例えばこのイストンの街のトラベラーストーンに触れたとすると、ジャンプイストンという魔法を覚える。

これを使用することで、どこの場所にいてもここイストンのトラベラーストーンの前に飛ぶことが

できるのである。


他にもこの大陸中央の国であるトラルセンにも似たようなものがあり

そこではジャンプトラルセンという魔法を覚えて煮たようなことが出来るというわけなのである。


なので新しい街に入ったらまずはこのトラベラーストーンに行け!といわれるほど重要な施設。ただ、ここは着地点専門なのであって、ここからどこかへ行くということはできないはずだけど……。


「よう、でこぼこ三人組、お前らもダンジョンか?」


そんなことを考えていると後ろから唐突に声をかけられる。

振り返ってみるとそこにはスキンヘッドの怖そうなあんちゃんが黒ずくめのフル装備でようという

風に片手をぷらぷらさせている。


「おいおい、シェぞっちかよ」


「俺をシェぞっちと呼ぶのはクラウド、お前くらいだぞ……」


「まあいいじゃんいいじゃん」


「シェイドさんこんにちは」


「やあシェイド君、今日は一人かい?」


「今日も、だろ」


「うるせークラウド!一言多いんだよお前は!」


現実の僕なら即逃げだしているような怖そうな人だけど、この人は僕の知り合いで名前はシェイドさん。いつもは一人でプレイしていて、たまにこうやって会うと組んで一緒にどこかいったりする。

会ったときにはクラウド君とこうして言い合うのもなんか恒例になってる。


「で、シェぞっちもダンジョンに挑戦するのか?」


「え、シェイドさん一人で挑戦するつもりなの?」


「一人は厳しいんじゃないかな、アップデート情報にはパーティーを組んで挑戦するのが

望ましいって書いてあったからね」


シェイドさんはソロプレイが多いけど、さすがにダンジョンは厳しくないかなあ。

おでんさんも似たようなことを思ってたみたいで、やんわりと危険を伝える。


「一人で行けるならそれのほうがよかったけどな、今日は野良でパーティーを組んでいくつもりだ」


ああ、一人じゃないのね。流石のシェイドさんでもここは一人じゃ行かないか。

ただ、それを聞いたクラウドくんは非常に驚いたような顔をしている。


「シェぞっちが野良でパーティーを組めるなんて、珍しいもの見させてもらったわ」


「お前俺をなんだと思ってるんだよ、募集に乗っかったりは俺だってたまにするぞ」


「シェイドさん、そろそろ行きましょう!」

するとシェイドさんの後ろにいた。(気付かなかった……)

剣士風の若い男とローブを纏った若い女性の2人がシェイドさんを促すと


「そうですね、行きましょう!・・・・・・じゃあなでこぼこ三人組、また会おうぜ」

そして彼ら3人はトラベラーストーンの前で気合を入れるようなしぐさで片手を伸ばし

それを重ね合わせて、リリース!と一言発した。


すると彼らはその場からふっと消え去ってしまった。どうやらダンジョンに進入したらしい。

ああ、そういうことだったのか。今までプレイヤーの皆がここで気合を入れてるからこんなしぐさ

をしてるのだとばっかり思ってた……実際はダンジョンに挑戦するための行動だったのか。

ようやく合点が行った。


「シェぞっちがパーティー組んでるなんてな、それに一人は女の子だったし、アイツもリア充だったの

か、いやここリアルじゃないな……よし、俺らも行こうぜ、行き方はわかっただろ?」


クラウド君がわけの分からないこといってるけど、行き方はよく分かった。


「うん!」


「クラウド君、タカシ君、準備は大丈夫ですか?」


「おうよ」

クラウド君がメニューを開き、ぴぴと指をタッチさせる、するとクラウド君の体はアイアンアーマー

つまり鉄の鎧一式とそれにくわえて背中に両手剣を背負った姿へと一瞬に変わった。


「大丈夫です」

僕も似たようにメニューをオープンし、装備を整える。僕の装備はスケイルアーマー、金属製の板を

張り合わせた鎧でクラウド君のよりは軽い。それとアイアンバックラーという小さい盾と

武器としてはアイアンショートソードという量産品の片手剣を腰にさした姿になった。


「私はいつでも大丈夫、タカシ君心の準備ができたら言ってね、君の合図で出発しよう」


おでんさんは神官風のローブを全身に纏って、片手にはメイスと呼ばれる棒状の持ち手の先に

鉄の塊がくっついているものを装備しており、片手には僕のと似たような形状の円形のラウンド

シールドを装備している。


「よし、行こう!」


豆知識

なぜトラベラーストーンの周りは人が少ないのかというと、転移時にストーンの周りに

人がたくさんいると転移の際に人を突き飛ばしたりしてしまうということが起きてしまった

ため、冒険者の間でマナーとしてストーンの周りには長居しないという暗黙のルールができたからである。






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