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「みかちゃん」
「どうかしたの? ひであきくん」
「見て、そら」
「そら――――、あ、わたがしみたいなくもだ!」
「くもって、たべれるのかな」
「たべれるとおもうよ、きっと、ふかふかしてて、おいしいとおもうよ」
「いっしょにたべようね、くも」
「うん、ぼくもおもったよ。ひとりだったらあんなにいっぱい食べきれないもん」
「おいしいんだろうね」
「うん」
「きょうのばんごはん、なんなんだろう」
「ハンバーグかなぁ」
「きのうは、カレーだった」
「わたしも、カレー」
「えへへ、おそろい」
「だね」
「秀秋さん」
「気持ち悪い」
「首が折れてしまいました」
「気持ち悪い」
「秀秋君が折ったというのに」
「気持ち悪い」
「その指で」
「気持ち悪い」
「ぼきり、と、折ったというのに」
「気持ち悪い」
「秀秋君の所為だというのに」
「違う」
「どうして否定をするの?」
「違うから」
「嘘吐き」
「嘘吐きじゃない」
美香は折れた首を戻してから、此方をじっと見つめた。
「秀秋さん、××××」
美香はそう言い、どこかへ去って行った。
美香はそれから僕の目の前から一度も現れなくなった。
夏の暑さが見せた、一時の幻と、思った。
幻、とぼくは信じ込む事にした。
信じ込む事しか、出来なくなっていた。
きっと、何者よりも早く、おぼれてしまうから。
きっと、
おぼれてしまうから。
ごぽり。




