神々
神々が住まう特別な世界、神界という名の通りの世界がある。
その世界には様々な神が住まい、嫉妬の神、怠惰の神、憤怒の神……。
中には猫の神や金の神、水の神といった多種多様な神がいる。
しかし、中には神を喰らい力を得る凶悪とも呼べる神、憎悪の神がいた。
容姿は子供に近い長く地に着いた黒い髪に赤い目。そして常に黒い霧と共に現れる少女。
憎悪の神は周りの神によって神界とは異なる空間、亜空間に封じ込められて毎晩、泣き崩れていた。
少女は知らなかった。憎悪の神は記憶がなく、そして知能がない。
そんな少女は理由を知らずに亜空間に封じ込められて永遠の闇に繋がれた。
それから何十年、何百年、何千年という幾年の時を越えたある神界。
そんな神界にある神が生まれた。知識の神が……。
知識の神は先住ではいるが既に年の老いた神。神の力を吸収して、そこから生まれた新たな神は知識の神として扱われた。
年老いた神は神の地位を新たに作られた神に奪われ、下界に人間として追放される。
身勝手なようで規則という縛りをつけた神界に生まれた知識の神はある日、過ちを犯した。
神として規則を破った知識の神は名誉も地位も何もかも、奪われて人間となった。
しかし、そんな哀れな者に手を差し伸べた者がいた。
「わらわを助けてくれたそなたには永遠の幸せを捧げようぞ」
目の前にいたのは狂喜を滲み出す残酷な少女……。
哀れな神は憎悪の神を解き放った。それによって憎悪の神と共に哀れな神は追放された。
だが、神は寂しくなかった。憎悪の神が傍にいる。
いつからか、神の心は憎悪の神のモノとなった。憎悪が望んだ世界。
それこそが魔界の始まりだったのやもしれない。