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【連載版】「第九話」『別れさせ屋』の僕の計算式は、迷子の『復縁屋』に粉砕される。〜宮崎のポンコツ美少女は、僕の恋心だけを正確にハッキングしてくる〜

退院して学校に復帰した初日。

律のデスクの中に、一通の「暗号化された封筒」が入っていた。

律は警戒しながら、あすかを連れて旧校舎の屋上へと向かう。

律:「……あすか、これを見ろ。僕の裏サイトの窓口に、直接届いた依頼だ。……『宮崎高校の律とあすかという二人が、最近あまりにも目に余る。一ヶ月以内に、彼らの仲を完全に破滅させてほしい』……だと」

あすか:「ええっ!? 犯人はクラスメイト!? ……っていうか、私たち、そんなに『仲良し』に見えてたの? 心外なんだけどw」

律:「問題はそこじゃない。……依頼主は匿名だが、提示された報酬が異常に高い。これは単なる嫉妬ではなく、僕たちの正体に気づき始めた『誰か』の仕業かもしれない」

律は眼鏡のブリッジを押し上げ、冷徹な目に切り替わる。

律:「……いいか。あすか。これは『一ヶ月戦争』の最終試験だ。僕たちがプロなら、この依頼を完璧に遂行し、自分たちを『別れさせて』みせるべきだ」

あすか:「……え? それ、本気で言ってるの? 私たちが、私たち自身の仲を壊す工作をするってこと?」

律:「そうだ。偽装工作によって、依頼主から報酬を奪い取り、かつ自分たちの『不仲』を世間に証明する。……これこそが、工作員としての究極の論理的勝利だ!」

あすか:「(呆れ顔)……相変わらず理屈っぽいなぁ。……いいよ。じゃあ、世界一ドロドロの『破局劇』、演じてあげようじゃない」

二人は不敵に微笑み合い、拳を……合わせるかと思いきや、律が咄嗟に避けた。

律:「……接触は控えろ。工作はもう始まっている」

翌日の放課後。高校の喧騒が残る教室。

律は、「依頼主」がどこかで見ていることを確信し、作戦を開始した。

律:「……あすか。時間だ。僕の端末に『浮気現場』のダミー画像を転送した。これを今から、わざとらしく僕の画面で見つけてくれ」

あすか:「了解w 役者魂、見せてあげるから」

律がスマホを机に置き、席を立つ。その隙を狙って、あすかが(クラス中に聞こえるような声で)叫んだ。

あすか:「ちょっと待って、律くん!……これ、何!? なんでこの写真に、知らない女の子と手を繋いでる律くんが写ってるのよ!?」

クラス中が凍りつく。律が冷徹な顔で振り返る。

律:「(棒読み気味に)……見られたか。……隠し通せると思っていたが、僕の論理的計算にもミスはあったようだ。彼女は……そう、隣町の私立高に通う、僕の『真のパートナー』だ」

あすか:「最低!! 私との『一ヶ月の約束』はなんだったの!? 3Dオムライスだって、あんなに嬉しそうに食べてたじゃない!!」

律:「(そこは触れるなと言いたげに眉をひそめ)……あれは、単なるカロリー摂取だ。……君との関係は、もう『減損処理デッドロス』の対象なんだよ」

クラスメイト一同:「(ドン引き)……うわぁ……。律、理屈っぽすぎて浮気の見苦しさが倍増してる……」

あすかは目薬を駆使した偽物の涙を流しながら、律の頬を(当たる直前で止めるプロの技術で)叩くふりをした。

あすか:「もういい! 絶交よ!! 二度とそのクマのついた顔を見せないで!!」

嵐のように教室を飛び出していくあすか。

律は静かにスマホを拾い、誰にも見えない角度で、依頼主への「報告用映像」を録画している隠しカメラに不敵な視線を送った。

律(心の声):

(……完璧だ。これで僕たちの『破局』は既成事実となった。……あとは報酬を受け取り、この茶番を終わらせるだけだ……が、……なぜだろう。……あすかの『最低!』という言葉が、妙に胸に刺さっている……)

九条の残党からの脅迫文——『偽装工作はお見通しだ。代償を払ってもらう』。

律はその画面を睨みつけ、次なる防衛策を演算しようとしていた。だが、その計算を狂わせる「最大の外因」が目の前で発生する。

教室の入り口で、あすかがクラス一のイケメンでスポーツ万能な「佐々木」に呼び止められていたのだ。

佐々木:「あすか、さっきの見たよ。律みたいな理屈っぽい浮気男なんて、もう忘れな。……俺なら、君を泣かせたりしない。……放課後、空いてる?」

佐々木は、律への「破局工作」を信じ込み、ここぞとばかりにあすかに急接近する。

あすか:「えっ、あ、あはは……。佐々木くん……」

あすかは戸惑いつつも、背後で自分を観察している(はずの)「依頼主」や「九条の残党」の目を意識し、話を合わせようとする。

だが、それを見た律の脳内回路は、かつてないほどのオーバーヒートを起こしていた。

律(心の声):

(……佐々木。身体能力、偏差値、共に平均以上。社交性は僕の4.2倍。……あすかと彼が接触する時間は、工作上の不確定要素を増大させる。……不快だ。……極めて、非論理的に不快だ……!!)

律は、脅迫文への対策を放り出し、震える指でキーボードを叩いた。

律:「(小声で)……佐々木。お前のスマホに、今から『中学時代の黒歴史ポエム』を全校生徒に一斉送信するバグを仕込んでやる……。……あすかに近づくことは、セキュリティ上の重大な脅威だ……!」

あすか:「(チラッと律を見て)……あ、律くん、目がマジになってる。……っていうか、あれ絶対工作じゃなくて私情だよねw」

律はついに立ち上がり、あすかと佐々木の間に割り込んだ。

律:「待て。佐々木。彼女との会話は、現在『知的財産権の係争中』により禁止されている。……あすか、行くぞ。……僕たちの『本当の破局』に向けた最終ミーティング(ただの連れ出し)だ!」

律はあすかの手首を掴むと、驚く佐々木を無視して強引に廊下へと連れ出した。

誰もいない放課後の渡り廊下。

律に手首を掴まれたまま連れてこられたあすかは、壁際に追い詰められた……のではなく、自ら律との距離を「ゼロ」に詰めた。

あすか:「ねぇ、律くん。……今の、本当に『工作』のつもり?」

律:「(壁に背をつけ、後退りできない)……当然だ。佐々木との接触は、僕たちの破局劇のシナリオにないイレギュラー……。不確定要素を排除するのは、工作員の基本プロトコルだ……」

あすかが一歩、さらに踏み込む。律の鼻先に、あすかのシャンプーの甘い香りが漂う。

あすか:「嘘つき。……律くんの目は、全然ロジカルじゃないよ? ……今のって、ただの『嫉妬』だよね? もしかして、工作抜きで私のこと……好きになっちゃった?」

あすかの顔が、あと数センチで触れそうな距離まで近づく。

律:「(心拍数が宮崎の地鶏が逃げる速度を超える)……そ、それは……! 脳内のドーパミンおよびアドレナリンの一時的な異常分泌による、バグに近い反応であって、……感情的な『好意』と定義するには、……サンプル数が……ッ!!」

あすか:「サンプルなら、今ここで増やしてあげよっか?」

あすかが悪戯っぽく目を細め、そっと律のネクタイを引き寄せる。

律は呼吸の仕方を忘れ、眼鏡が曇るほどの熱量で硬直した。

律:「……ッ、あ……すか……」

その時。

律のポケットの中で、スマホが激しくバイブレーションした。

九条の残党からの、本当の「仕掛け」が発動した合図だった。

【通知:旧校舎屋上に、君たちの『工作の証拠』を設置した。今すぐ来なければ、全校放送で公開する】

律:「(一瞬で工作員の顔に戻る)……チッ、……タイムアップだ。あすか、サンプル採取は保留だ。……『本当の敵』が、僕たちの偽装を暴きに来た」

旧校舎の屋上の扉を蹴破るようにして飛び込んだ律とあすか。

そこで二人を待っていたのは…

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