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【連載版】「第五話」『別れさせ屋』の僕の計算式は、迷子の『復縁屋』に粉砕される。〜宮崎のポンコツ美少女は、僕の恋心だけを正確にハッキングしてくる〜

クラスメイトの「ヒソヒソ」という精神攻撃に耐えきれず、律はあすかの腕を掴んで(無意識)旧校舎の裏へと逃げ込んだ。


律:「……ふぅ。ここなら、あのアホらしい推測(恋仲という疑惑)から一時的に隔離される。あすか、今のうちに僕たちの『公式見解』を摺り合わせる必要があるぞ」


あすか:「……ちょっと律くん。腕、引っ張りすぎ。……それより、お昼食べよ? お腹空きすぎて、私もう戦えない……」


二人は並んで、古びたベンチに座る。


律は、ここぞとばかりに「冷徹な自分」を取り戻そうと、キリッとした顔でお弁当の包みを解いた。


律:「……ふん。栄養補給も工作の一環だ。僕は、母が用意した『計算された栄養素』を摂取して、脳機能を――」


パカッ。


律がお弁当の蓋を開けた瞬間、時が止まった。


白いご飯の真ん中に、真っ赤な桜でんぶで作られた「巨大なハートマーク」。


そしてその横には、**これでもかというほど丁寧に成形された「ハート型の卵焼き」**が、所狭しと詰め込まれていた。



律:「(絶句)………………あ。」

あすか:「(お弁当を覗き込んで)……ぷっ、……ふ、……ふふふっ!! あはははは!!」


律:「ち、違う! これは……っ、母が、……盛り付けの幾何学的美学を追求した結果であって、僕の意志は0.01%も介在していない!!」


あすか:「幾何学……!w ねえ、それ、一個ちょうだい。……律くんの『お母さんの愛』、食べてあげよっか?w」


あすかが悪戯っぽく、自分の箸を律の「ハートの卵焼き」に伸ばす。


「ほら、律くん。幾何学的な栄養素、摂取しなきゃでしょ? ……あーん」


あすかが、自分の箸で摘んだ「ハートの卵焼き」を律の口元に持ってくる。


至近距離で見るあすかの笑顔と、甘い卵焼きの匂い。


律:「なっ、……何を……! 自分の手で摂食する能力は備わっている! そもそも箸の共有は衛生管理上——」


あすか:「いいから。……はい、あーん。しないと、明日の工作、私が全力で邪魔しちゃうよ?」


律:「ぐっ……。……ひ、卑怯だぞ。……は、……はむっ」


律は観念し、プライドを全て捨ててその卵焼きを口に含んだ。


甘い。お母さんの味と、あすかの小悪魔な味が混ざり合って、律の脳内回路は完全にショート寸前。


その時。


「……あ」


旧校舎の角から、クラスメイトのAとBが、律の忘れ物のノートを手に、幽霊でも見たかのような顔で立ち尽くしていた。


クラスメイトA:「(小声)……おい。律が……あの、鉄仮面の律が、……あーん、されてる……」


クラスメイトB:「……しかも、あの卵焼き……ハート型じゃね? ……っていうか、律、今めっちゃ幸せそうな顔してなかったか……?」


律:「(卵焼きを口に含んだまま)………………ッッ!!!!」


律の顔面が、今日一番の速度で「警告色(真っ赤)」に染まる。


律:「(咀嚼しながら)……ご、誤解だ! これは、……摂食行動の外部委託による……時間短縮の……実験中であり……!!」


クラスメイトA:「……もういいよ。……お幸せにな。ノート、ここに置いとくから……」


二人はそっとノートを地面に置き、**「触れてはいけないものを見た」**という足取りで、全速力で立ち去っていった。


あすか:「……あーあ。律くん、今の、明日には学年中のニュース速報だねw」


律:「(膝から崩れ落ちる)……終わった。僕の『冷徹な工作員』としてのキャリアが……宮崎の歴史から抹消された……」


クラスメイトに「あーん」の現場を目撃され、人生最大級の屈辱に震えながら校門を出た律。


そのポケットの中で、スマホが「ピコン」と無慈悲に震えた。


律は恐る恐る画面を開く。そこには……。


【母さん:律、今日のお弁当はどうだった? ちゃんとあすかちゃんにも、幾何学的な愛(ハートの卵焼き)を分けてあげたかしら? ♡】


律:「(スマホを握りしめたまま硬直)…………な……ぜ、だ……」


あすか:「どしたの? 律くん、さっきより顔色が宮崎のナスを通り越して、紫陽花あじさいみたいになってるけどw」


あすかが横から画面を覗き込む。


あすか:「えっ! お母さん、すごっ! なんで私が食べたの知ってるの!? エスパーなの!?」


律:「違う……! うちの母は、……僕の行動パターンを24時間監視し、予測演算する変態的プロファイラーなんだ……! くそっ、……完全に読まれていたというのか……!」


【母さん:追伸:あすかちゃんが『美味しい』って言ってくれたら、明日は『3D立体ハート・オムライス』に挑戦するわね! 応援してるわよ、工作員(恋の)くん!w】


律:「(膝から崩れ落ちて)……やめろ……もうやめてくれ、母さん……。これ以上『3D』なんて持ち込まれたら、僕の弁当箱は物理的なラブコメの地雷原になってしまう……!」


あすか:「あはは! 3D!? 見たい! 私、明日も律くんの隣でご飯食べよーっとw」


律:「(絶望)……僕の平穏な、冷徹な日々は……一体どこへ行ってしまったんだ……」

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