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『無気力なコンビニ店員が、裏世界では『終焉の導き手』と呼ばれている件 ~本人は電気代の心配しかしてない~』  作者: 伝福 翠人


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監視者の増員と、平和を邪魔する「影」

ウロボロスを二度も退けた。アリアは、悠斗が「災厄」を引き寄せ始めていると分析した。


「導き手ご自身は絶対的な存在。だが、我々は『聖域コンビニ』が汚されるのを座視してはならない」


彼女は、これまでの「監視」体制から、本格的な「護衛」体制への移行を決定した。


「『聖域の監視者』を増員。コンビニ周辺2ブロックを24時間体制で護衛せよ」



ここ数日、悠斗は「(なんか最近、常連増えたな…)」と感じていた。


商品を買うでもなく、雑誌コーナーで立ち読みしたり、コーヒー片手にイートインコーナーに居座ったりする、同じ顔ぶれの客。(=私服の『監視者』たち)


(万引きGメンか? それにしては人数多くない? レジから見張るの面倒くさいんだけど…)


悠斗は彼らを「サボってる警備員」か「面倒な常連」程度にしか思っていなかった。



コンビニ周辺に停められた監視車両。


『監視者』の一人が、異能索敵用の特殊なレーダー(タブレット端末)を操作していた。


レーダーは、人間のオーラや異能の微弱な反応を可視化する。


「Bポイント、クリア。Cポイント、クリア。聖域コンビニ内部、クリア…」


彼は一般客の反応(緑色に表示)を確認していく。


「…! シスター! やはり異常事態です!」


アリア(通信越し):「何が?」


「聖域内部、および全監視対象(一般客)の反応は正常。しかし…『導き手』ご本人の反応が、レーダーから完全に『消失』しています!」


レーダー上では、悠斗がいるはずのレジカウンターの中だけが、ぽっかりと『無』になっていた。


端末には


「$$ ERROR: 測定不能 $$」 (やる気ゼロ)


「$$ WARNING: 観測圏外 $$」(無気力すぎ)


というエラー表示が点滅している。


アリアはその報告を受け、戦慄した。


悠斗が持つ、絶望的なまでの「存在感の薄さ」(オーラの欠如、無気力、無関心)が、組織の高性能レーダーの測定限界を遥かに下回っているとは、彼女は夢にも思わない。


彼女は、『無の力』を思い出す。


(『消失』…? そうか、これこそが導き手の『常時発動型』の防御…)


アリアは結論づけた。


(ご自身の存在そのものを『無』と定義し、あらゆる観測・干渉を拒絶する『絶対的な結界』…!)


(我々が護衛するなど、おこがましいにも程があったのだ…!)


アリアは、悠斗への崇拝度をさらに深めていった。

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