裏世界を震撼させた『無の力』
アリアの司令室は、緊迫した空気に包まれていた。
ディスプレイには、二つの神託が並んでいる。
【神託1】:『もはや終焉』
【神託2】:『天の涙は、滅びの前兆』
そこへ、緊急情報が飛び込んできた。
「シスター! 敵対組織『ウロボロス』が、市内A地区の貯水池(浄水場)で異能テロを計画中との情報!」
「なんだと!?」
「実行されれば『天の涙(=雨)』のように、汚染された水が街全体に『滅び』をもたらします…!」
アリアは目を見開いた。
「……繋がった。神託の通りだ。導き手はこれを予見されていた」
彼女は部隊に対し、神託に基づきテロの阻止を厳命する。
「『導き手』が『終焉』と断言された以上、失敗は許されない。総員、出撃!」
◇
一方、その頃。コンビニ。
真木 悠斗の長いシフトが、ようやく終わろうとしていた。
最後の仕事は、ゴミ捨て。
「あー、やっと帰れる……」
彼は疲れ切った顔でゴミ袋を持つ。
最近、カラスや野良猫にゴミを荒らされることが多く、悠斗は「(どうせまた散らかってるんだろうな……面倒くさい)」と憂鬱になっていた。
(同時刻。A地区貯水池)
アリアの部隊と『ウロボロス』の実行部隊が、対峙していた。
「神託は絶対だ! 敵を阻止しろ! うおおお!」
アリアの部隊は「神託」という絶対の指針により、士気が異常に高い(ハイテンション)。
ウロボロスの部隊が「(な、何だこいつら、テンション高すぎて怖い…!)」とドン引きしている隙に、アリアの部隊は一方的に敵を制圧。
テロ計画は寸前で(ほぼ無傷で)阻止された。
(同時刻。コンビニのゴミ捨て場)
悠斗がゴミ捨て場に到着する。
彼は、いつもと違う光景に気づいた。ゴミ袋が一切荒らされていない。
「あれ……? 今日は荒らされてなくてラッキー」
悠斗は、自分が「ラッキー」と思った理由も、街がテロの脅威から救われたことも知らず、大きな欠伸をしながら帰路についた。
◇
アリアの拠点。
「シスター。テロは(楽勝で)阻止しました。ですが……解せない点が」
「何です?」
「敵の抵抗が、予想以上に弱かったのです。まるで…彼らの『存在意義』そのものが、何者かによって根源から否定されていたかのように……」
アリアは、戦闘データと、今まさに欠伸をしながらアパートに帰る悠斗の(監視)映像を交互に見る。
そして、悠斗がゴミ捨て場で「ラッキー」と思ったこと(=カラスがいなかったこと)と、テロリストが「無力化」された録画映像を思い出し、一つの事象として結論づけた。
「……そう。『無関心』」
アリアは戦慄していた。
「あの方にとって、ウロボロスのテロ計画とは、ゴミ捨て場を荒らす『カラス』と同レベルの『不快な害獣』でしかなかったのです」
「導き手は、テロリストの存在を『ゴミを漁るカラス』と同列に定義し、その『無関心』という名の絶対的な力で、彼らの存在意義ごと消し去ったのです…!」
裏世界で「導き手、最初の災厄を『無』の力で退ける」という衝撃的なレポートが完成した。




