無気力が生んだ、奇跡の戦術
雑魚を一掃したが、ウロボロスの上級幹部が登場した。
幹部は、アリアの部隊の前に立ちはだかり、強力な異能(周囲の空気を汚染・腐食させる『瘴気』)を発動した。
「(くっ…! この異臭…! まるでドブのような…!)」
アリアの部隊は、結界を張る以前に、その「悪臭」に苦戦していた。
「(ダメだ…この『瘴気』の臭いは結界を透過する…! 導き手の聖域(店内)までこの臭いが…!)」
アリアが鼻を押さえる。
「ハハハ! 終わりだ、シスター! この『瘴気』は、この一帯の『空気の流れ』全てを支配する! 逃げ場はない!」
幹部が高笑いした。
◇
一方、コンビニのバックヤード(休憩室)。
悠斗はまだ休憩中だった。
幹部の『瘴気』の影響なのか、バックヤードの換気扇が「ゴゴゴゴ…」と異常な音を立て始める。 さらに、どこからか(瘴気の)強烈な異臭(下水臭)が漂ってきた。
(さっきからうるさいし、なんか下水みたいな臭いまでしてきた…最悪だ。これじゃ休憩できねえだろ…)
彼は、騒音と悪臭の発生源(だと彼が思った)「換気扇」を見上げる。
(ああ、もう面倒くさい!)
彼は立ち上がり、バックヤードの壁にある「換気扇」のメインスイッチを、苛立ちながら「オフ」にした。
◇
その瞬間。
コンビニ(=聖域)という建物全体の「空気の流れ(=換気)」が、ピタリと停止した。
「(高笑いを止め)…なっ!? 『空気の流れ』が、止まった…? 馬鹿な!」
幹部の異能『瘴気』は、聖域を内部から汚染するため、建物の『外部にある吸気口』から『瘴気』を流し込み、建物全体の「換気システム(空気の流れ)」を利用して拡散させる術だった。
流れを失った『瘴気(=悪臭)』は行き場を失い、幹部自身の周囲で暴走・逆流し、凝縮される。
「ぐああああっ!? 我が異能が…逆流する…!? (自分でも耐えられないほど)臭い!!」
幹部は自らの悪臭で自爆ダメージを受け、気絶した。
アリアは戦慄していた。
(…! 換気扇が止まった? まさか…導き手は、この異能の『発動条件』そのものを見抜き、聖域の『空気の流れ』を支配することで、敵の力を逆用された…!?)
◇
戦闘終結。
悠斗が「(やっと静かになったか…タバコ吸いに行こう)」と、一服するために(休憩室から)裏口から出てくる。
そこで、自らの悪臭で気絶しかけているウロボロス幹部と目が合った。
「(震えながら)…お、お前は…全てを知っていたというのか…。我々の異能(の悪臭)の『核』を…ピンポイントで…!」
幹部が叫ぶ。
「お前は一体…何なんだ…!?」
悠斗は、目の前の光景にドン引きしていた。
(うわ、何だこの人、コスプレ? さっきの騒音と悪臭の人か? 面倒くさい…)
「……ただのコンビニ店員ですけど。…えーと、大丈夫ですか? (なんか臭いし…)」
幹部は「(『ただの』…? これほどのことをしておきながら、『ただの』だと…!? この俺の最強の異能(悪臭)を…『換気扇』ごときで…! この俺が、ただの『臭い奴』だと!?)」と、その底知れない器の大きさに絶望し、意識を失った。




